半自叙伝,無名作家の日記 他四篇 (岩波文庫 緑 63-3)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003106334

作品紹介・あらすじ

『文藝春秋』を創刊し、出版人としても功成り名を遂げた菊池寛(1888‐1948)。生い立ちから紆余曲折を経ながら作家として世に出る頃までを描いた「半自叙伝」。他に、自身をモデルにした短篇小説二篇、恩師・上田敏と友・芥川龍之介についての回想文を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 菊池寛って無名作家だっけ?

  •  
    ── 菊池 寛《半自叙伝・無名作家の日記 他四篇 19530505-20080116 岩波文庫》
    「葬式に行かぬ訳/回想「上田 敏先生の事」/晩年の上田敏博士/芥川の事ども」
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003106334
     
    …… 二十五歳未満の者、小説を書くべからず。
    ── 菊池 寛《小説家たらんとする青年に与う 192312‥ 半自叙伝》
    http://www.aozora.jp/misc/cards/000083/files/shosetsuka_tarantosuru.txt(*)
     
    https://twilog.org/awalibrary/search?word=%E8%8F%8A%E6%B1%A0%20%E5%AF%9B&ao=a
     Kikuchi, Kan 18881226 香川 東京 19480306 59 /
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%B5%C6%C3%D3+%B4%B2
     
    (20140816)(20210708)
     

  • 読み終わったとしておきながらも半自叙伝と無名作家の日記しか読んでいないのであしからず。

    ※一部ツイッターより転載

    半自叙伝…
    私の初読の感想後の文末メモ書きによると

    「自虐している割にやる気を出さない。
     これは文学と言うより随筆の類。
     人物が縁のない人なのでイメージしにくい。
     文壇はつながっているよう」

    とある。
    まあ他人様の日記を見ているのだからこうなるのも無理はなさそうな。


    無名作家の日記…
    一般に、この作品の登場人物は菊池の身の周りにいた文士たちの事だと言われている。山野や桑田は、芥川や久米をもじった名前らしい。夏目漱石を頂点に置いていた当時の文壇は、その下に芥川や久米など帝国大学の文学青年によって構成されていて、菊池も最初はその一人だった。しかし、ずんぐりむっくりで熊のような見た目に自信のなかった菊池は、まず彼らとの見た目の違いにやや引け目を感じ、文壇で彼らが名を馳せ始めると、今度は自分の作品がそのように日の目を浴びることはないのではないかと思い始めた。
    そんな彼の考えをパロディ化したのが本作であるが、この作品に書いてあることは必ずしも実際の出来事と全て一致するわけではない。この作品が、半自叙伝と同書に収録されていることに注目されると分かるが、明らかに時期を同じにしていると思われるにもかかわらず、半自叙伝に記されていた青木の學ラン盗難事件のことは全く書かれていないのである。これは、実際の出来事と本作に書かれている部分へのギャップ、ズレを意味する。授業で解説されたところによると、この作品を当時の文学青年たちが読んで、主人公と自身の身の上を重ねることが出来そうではあるものの、そうした事実と作品とのずれがあることから、単なるパロディに終わらない作品である、とのことだ。
    とはいえ難しい解説抜きにした感想としては、菊地寛を応援したくなる楽屋落ち小説でした。これ当時読んでた人笑っただろうなあ、と。

    全体的に感想よりも解説が必要そうな印象であります。

  • 『半自叙伝』

    『無名作家の日記』
    作家を目指す「俺」。東京の仲間たちから離れ京都で執筆活動を行う。認められない彼の作品。東京の仲間たちが出版した同人誌の良い評判に対する嫉妬。彼の周囲の人々の低評価を聞き慰められるが世間での高評価に嫉妬は増大する。

    『葬式に行かぬ訳』

    『上田敏先生の事』

    『晩年の上田敏博士』

    『芥川の事ども』

  • 旧制高校の雰囲気や、
    芥川や菊池寛が持っている価値観というのは
    良くわかる本。
    若者が文学をする、ということは今では何か古い感じがしてしまうが、
    あのころは流行の最先端であった。
    今でいう映画監督のような花形的な地位であったのだろう。
    若者が自らの知性や感性を武器に、戯曲や小説を書きあげる。
    挫折にのたうちまわる無名作家もいれば、
    気のきいた文章を書きのし上がっていく作家もいる。
    そういうことに昔の若者も夢中になった。

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著者プロフィール

1888年生まれ、1948年没。小説家、劇作家、ジャーナリスト。実業家としても文藝春秋社を興し、芥川賞、直木賞、菊池寛賞の創設に携わる。戯曲『父帰る』が舞台化をきっかけに絶賛され、本作は菊池を代表する作品となった。その後、面白さと平易さを重視した新聞小説『真珠夫人』などが成功をおさめる一方、鋭いジャーナリスト感覚から「文藝春秋」を創刊。文芸家協会会長等を務め、文壇の大御所と呼ばれた。

「2023年 『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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