厭世家の誕生日 他六篇 (岩波文庫 緑 71-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003107140

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  • 岩波文庫の復刻版で入手。岩波の別の文庫にも入ってる「西班牙犬の家」がここにも。しかしそれ以外はおもに、私小説っぽいものや誰かの人生の伝聞のような作品が多かった印象。

    中国が舞台の「星」は、淡々としながらも歴史大河もの的な二世代にわたる運命が描かれていて面白かったのだけれど、主人公の行動や思考回路が薄っぺらくてそこはあまり共感できなかった。美人を手に入れるためにとった行動にもっとちゃんと意味があれば良かったのだけれど。

    「一夜の宿」と「旅びと」は語り手がなんだか上から目線であまり好きじゃなかったです。

    わりと気に入ったのは「侘しすぎる」。すでにバツ2、さらに親友の奥さんと不倫して親友も恋人も失ったという、いかにも結婚にむいてなさそうな男(でもなんかモテるっぽい)が、ぐだぐだ自分の生活の駄目さを嘆いたり、やっぱり離婚した弟の元奥さんに会いにいったりするだけの話なんだけれど、そのウジウジ、ウダウダっぷりがだんだん面白くなってきて、意外と好きでした。

    ※収録作品
    「西班牙犬の家」「お絹とその兄弟」「一夜の宿」「星」「旅びと」「侘しすぎる」「厭世家の誕生日」

著者プロフィール

さとう・はるお
1892(明治25年)~ 1964(昭和39年)、日本の小説家、詩人。
中学時代から「明星」「趣味」などに歌を投稿。
中学卒業後、上京して生田長江、堀口大學と交わる。
大正2年、慶応義塾を中退、
大正6年、「西班牙犬の家」「病める薔薇」を発表し、
作家として出発。
「田園の憂鬱」「お絹とその兄弟」「都会の憂鬱」などを
発表する一方、10年には「殉情詩集」、14年「戦線詩集」を刊行。
17年「芬夷行」で菊池寛賞を受賞。23年、芸術院会員となり、
27年「佐藤春夫全詩集」で、29年「晶子曼陀羅」で
それぞれ読売文学賞を受賞し、35年には文化勲章受章。
小説、詩、評論、随筆と幅広く活躍。

「2018年 『奇妙な小話 佐藤春夫 ノンシャラン幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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