- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003107720
感想・レビュー・書評
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本書が文学作品として逸品かどうかを、私は客観的に判断できない。それは、私が無類の川釣り好きで、本書の「川釣り」というストレートなタイトルだけで、星5つをつける気分になるような有様であったからである。
当然のように本書は私の心を躍らせた。欲を言えば、井伏氏が釣りをしている写真などを一枚でも載せてくれたらと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
釣り好きの井伏鱒二氏の随筆。
実話かどうかはともかく、古い作品であるのに心情や情景などの描写が読みやすく、楽しむことができた。
白髪を釣り糸にする話はとても印象的で面白かった。 -
渓流釣りの静謐な心持ちが、本を通じてよみがえる。
あと、釣りの前の「ほかはさて置き」感も。
川の釣りが好きな人は、読めば誰もが井伏鱒二の筆力に驚くことだろう。むろん、俺も大いに驚いた一人だ。 -
昭和27年の本。
しかし、昔も今も釣り人と魚の関係は変わらないことが実感できます。古き良き時代ということではなく、新しい発見もたくさんあります。
「著名な作家の古い本」とくれば、敷居が高く小難しい感じがするかもしれませんが、短編をひとつでも読んでみるならば、それは全くの誤解ということに気が付くでしょう。韻を踏むような軽快なテンポで綴られていく趣味の世界と目の前に広がる自然、そして、滑稽なまでの釣り人とその仲間たちの様子に、思わずほほえんでしまいます。
また、昭和27年という不安な時代を感じさせない表現力には、半世紀以上経っても色あせない作家としての存在感を感じます。
井伏鱒二の釣りの師匠である佐藤垢石氏は、「つり人社」を創立(S21)。伊豆の河津川が度々登場します。井伏の定宿「南豆荘」は、残念ながら廃業となったそうです。