西脇順三郎詩集 (岩波文庫 緑130-1)

制作 : 那珂太郎 編 
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003113011

感想・レビュー・書評

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  •  詩の世界はまだ遠い。
     あのフランス、
     ノルウェー、
     リトアニア。
     情緒を連れて行く旅人。

  • きっと、シュールレアリズムの影響を受けた詩の読み方というものもあるのだろうが、一つ一つの語感に想像力を啓発されながら読むのも、その一つの方法ではなかろうか。

  • 失われた眠りをさがす女の
    眠りの中に眠りをさがす女の
    幸福のさびしさに永遠の中に
    さまよう女の川ながれの冬眠!
    愛は眠りか死の中に生きのこる
    夢は夢の中にしか生きられない
    男は女の冬眠のための道具にすぎない
    残忍な春にすぎない

    たとえばこのような言葉の羅列、限りなく美しく、豊饒な言葉の洪水に驚く。シールレアリスムの詩人恐るべし。

  • 詩業全体を読むことが出来ましたがやはり、教科書で取り上げられてきたような「雨」や「天気」等、初期の作品により牽かれたのを再確認出来た一冊でした☘️


    秋 Ⅱ

    タイフーンの吹いている朝
    近所の店へ行つて
    あの黄色い外国製の鉛筆を買つた
    扇のように軽い鉛筆だ
    あのやわらかい木
    けずつた木屑を燃やすと
    バラモンのにおいがする
    門をとじて思うのだ
    明朝はもう秋だ

    『近代の寓話』から

  • やはり「詩」は苦手だ。さらっと読めないもんね。気合がいる。
    あとがきのみの読書なり。

  • 『ambarualia』前後はやっぱりシュルレアリスム(の西脇的な読解)の色が強くてどうしても表層的、というよりかはやってる方は楽しいんだろうけどさ…感があった。当時のモダニズムの思潮になじめないところがぼくにあるだけなのかもしれないけど。

    『旅人かへらず』『失われた時』あたりに入るとドヤ感を出しつつも抒情的だった。有/無、存在の西脇的な主張をところどころ織り交ぜてくるところはちょっと哲学しすぎじゃねって思ったけれど、浮いてしまうのでもなくそれはそれで詩的で、だからそれなりに読めてしまえるのはいいですね。

  • 116年前の1894年1月20日に新潟県で生まれた詩人で英文学者。

  • 長い長い旅のかけらがひとつの宝石として瞬間瞬間を現象する。

    旅なんか、はじめから、してこなかった。

  • 西脇順三郎を再評価するムーブメントが起きているのだろうか?
    講談社文芸文庫と岩波文庫が次々と復刊。
    ずっと読みたいと思っていたんだよ、この人の詩。
    彼は詩でノーベル文学賞に推挙された唯一の日本人。

    先に出版された講談社版の初期詩集を数ヶ月前に読んだ時は正直物足りなさを感じた。
    「アルバムワリア」は西洋詩学の焼き直しにしか思えなかったし、「旅人かへらず」は冗長すぎた上、淋しさのその先にあるものが何だか曖昧で。

    でも分量を増した岩波版を読んでら、これがしっくりきた。
    「えてるにたす」辺りの中期?は特に分かりやすく、田村隆一が影響を受けたという全容が自分の中で明らかになった。
    人間らしさというものを平易な言葉で書いてる作風がいい。
    受け手も受け手で「そうだよ、淋しいんだよ!!」みたいな(笑)。
    彼の出自がそう思わせるのか?
    詩人としてのデビューが何と39歳。
    人間として円熟を帯びたからこそ書けるシンプルな詩は誰が読んでも好きになるはず。

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