- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003116920
感想・レビュー・書評
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日本国内だけでなく、シベリア鉄道に乗ってロシア横断してパリまで行っちゃったり、日本国内でも樺太まで旅行されたり、放浪されていてとても楽しそう。わたしも旅がしたくなった。
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80年くらい前に書かれたとは思えない。小難しいところはまったくなくてすごく読みやすかったし、おもしろかった。今の紀行文を普通に読んでる感じ。
何日もかかってシベリア鉄道でパリに着いたら、何日も寝てすごし、朝、目を覚ましてさて何をしたら?と途方に暮れる、なんてなんだかすごく優雅な旅行な感じが。ひとりでカフェで仕事したり、三日月パンとコーヒーの朝食をとったりする林芙美子、かっこいい。
パリ、樺太、大阪などさまざまな町の情景が読んでいて鮮やかに目に浮かぶような。
すごく素直な文章で、わずらわしいことをすべて忘れたくて旅に出る、というような思いとか、旅愁、不安とか寂しさ、卑屈な気持ちなんかがたまに出てくるところもいい。
林芙美子って、貧乏、か、森光子の放浪記の騒いででんぐり返りしてるようなイメージしかなかったんだけど、ぜんぜんイメージ変わった気がする。もっと林芙美子の書いたものが読みたくなった。
そして、ちょっと旅に出たくなる。-
「ぜんぜんイメージ変わった気がする」
思わず「へー」と声が漏れました。影響を受け易いタチなので、私も読みたくなりました(先ず、このお洒落な「...「ぜんぜんイメージ変わった気がする」
思わず「へー」と声が漏れました。影響を受け易いタチなので、私も読みたくなりました(先ず、このお洒落な「下駄巴里」から)。。。2012/07/18 -
わたしのこれまでのイメージがまちがってたのかもしれませんが(笑)。文章も、感動や楽しさが伝わってくるけれど淡々としていて、今の女性誌に載って...わたしのこれまでのイメージがまちがってたのかもしれませんが(笑)。文章も、感動や楽しさが伝わってくるけれど淡々としていて、今の女性誌に載っているちょっとおしゃれな紀行エッセイみたいだと思いました。(言いすぎかしらん)。2012/07/19
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「これまでのイメージが」
私も同じように思ってました。多くの人がそうじゃないかと。。。
しかし、下駄でパリって格好良いなぁ←それが気に入った...「これまでのイメージが」
私も同じように思ってました。多くの人がそうじゃないかと。。。
しかし、下駄でパリって格好良いなぁ←それが気に入った猫でした。2012/07/20
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まず何より、この時代に林芙美子が女一人で鉄道でロンドンまで行った、という事実に驚く。
なんでも見ようという外へ外へ向かう目と、どこへでも行けるという内側へ内側への切なさがないまぜになっていて、読んでいて一人の旅人の小さな姿が浮かんでくる。
当時の情勢の中で、彼女は一人のただの旅人。しかしその旅人は、自分の足で行動し、自分の目で物事をとらえる。
それは途方もないタフさを必要とすることだと思うし、同時に圧倒的な自由だなとも思う。
芙美子が望んでいるのは、強い自分と不安定な自由? その中で生きていくという覚悟を、彼女は自分に求めて旅の中で少しずつ確かめているのかもしれない。
楽天的でありながら、旅を求める彼女の切実さが詰まっているように感じられた。林芙美子の著作を読んでみたら、また印象が変わるだろうか? -
猫が殺される描写がある。そういうのがあると私は読めなくなってしまう。流し読みに近くなってしまうけど、それでもリアルで濃厚な内容だった。難しい漢字や描写も多いけど、全てが詳細で引き込まれる。猫の部分がなければ星5つだったかもしれないな。
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私からすれば林芙美子の、外国を一人旅する勇気はすごいなあ、と溜息ものなんだけれど、本人にしてみればこれらの旅はひどく切実なものだったのだと思う。行きたいから行く、というよりもむしろ、行って、自分の故郷が日本だということを、確認しているような。
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林さんの行動力、強さが滲み出た作品だった。
巴里に行くまで乗り継ぎをしながら電車で行く所。言語の違いもあるのに現地の人と楽しく会話する所。
文学作家として文章を綴り続ける所。
私も一人旅が好きだけど、ここまでは正直出来ない。貧しい幼少期を生き抜き、自分の作品を売り歩いたり、戦時中も記録員として戦場へ行ったり…。こうした背景も踏まえると行動力の塊だ。
そして単純に読んでいて楽しい。当時のパリってこんな感じだったんだと思う描写も多々。パリに行く時があれば再読してから行きたい。 -
フランス旅行に行くので持って行った。
巴里は眠くなる天気、御伽話のような街並みという感想は現代でも共感できる。 -
先日尾道に行った際に林芙美子の足跡に触れたこと、内田百閒の紀行文に日本郵船の船上で林芙美子と話したとあったことのなどから興味を持って読んでみた。「下駄で歩いた巴里」という秀逸なタイトルどおりの面白い内容で、戦争に突き進む昭和初期の日本で、これほど精力的に国内外各地を観て回る肝の座った女性がいたのかと驚かされた。「放浪記」も読んでみたい。
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放浪記とは違うまた新しい発見や驚きがあった。戦前の日本各地の街並みや自然の様、庶民の生活の様子、庶民と呼ばれていた人々の思いを知ることができた。今は行くこともできない樺太、ロシアの人々や文化に関する記述、戦前のヨーロッパの様子、戦前のヨーロッパでの日本の受け止められ方…「どこでもドア」のような本だった。
もう暫くは林芙美子氏から抜け出せそうにない。 -
特に何の前提知識もなく読み始めたら、第二次世界大戦ちょっと前くらいの話で驚いた。特別に裕福というわけでもない若い女性が、北京にもシベリアにもパリにもひとりで行ってしまう。
戦争の気配はそこここにあるし、著者もそれを感じ取って書き残したりしているのだけど、それはそれとして彼女はぽくぽくどこでも歩いて行ってしまうし、旅先の部屋に転がり込んできた知らない女性の面倒もみてしまう。片言で何でも手に入れてしまうし、何だかよく分からないものも買って食べている。強い。
軽やかな文章でするする読めるし面白かった。旅先で何が何銭だったとか書いてくれているのが、分からないなりにリアリティを感じる。