日本の島々、昔と今。 (岩波文庫)

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著者 : 有吉佐和子
  • 岩波書店 (2009年2月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003118023

日本の島々、昔と今。 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品は「複合汚染」をはじめベストセラーとなっていますが、これまで読んだことはありませんでした。
    ふと本屋で手に取ると、勤務先となった北海道の離島が載っているではないですか。旅もしたくなっている気分でもあり読んでみる。

    取材当時とその過去との比較と明確にテーマが設定されています。過去は江戸時代であったり、文字として記録に残っている限りの昔までさかのぼるのです。
    最近流行の気分と印象のみを伝える紀行文と違い、軽い印象はなく問題提起型です。必ず市の水産課にいって話を聞くという突っ込み旅。というよりルポ。
    深く掘る分やっぱり興味深い話がでてきて面白い。

    当時の水温の上昇についても触れられていて、やっぱりどんどん進行しているんだとダイバー的にいまさらながら衝撃を受ける。

  • (5/31一読、6/8二読)

  • あの「恍惚の人」の有吉佐和子が日本の最西端、最南端の島々から北海道の天売・焼尻島まで飛び、各島の漁業事情を中心にルポして回ったもの。佐野眞一の沖縄本の流れから読むことになったが、これが結構面白い。小説家なので文章に力があるし、政治・社会に物申す言葉も力強い。もちろん漁業だけにとどまらず、その島の歴史も深く掘り下げ、そのどれもが興味深い。またこのルポの原稿を書いていた1980年、今から30年前の社会情勢もしっかり伝えてくれている。(イランのアメリカ大使館人質事件、ソ連アフガニスタン侵攻、それに伴うロシア五輪ボイコットetc.)この当時から石油事情が厳しく漁業の存続が危ぶまれていたということもよくわかった。それから30年、日本の漁業はますます苦しい状況に追いやられている。
     そして、なんといっても最もおもしろいのが北方領土、竹島、尖閣諸島。このころから問題視されていて、今もって何の解決も見られていない。進歩なし。日本って人がいいのね~。有吉さん、生きていらしたら怒りで泡ふきますよね。

  • 著者の語り口が軽妙、歴史から現在のインタビューはとても読み応えあり。ただやはり領土問題に踏み込むと論争的になり、それが何章も続くと読むのには疲れる。

  • 本書は1980年頃に「すばる」に掲載された有吉佐和子による、国境の離島を巡るルポタージュ。奇しくも、石油高騰の時期であり、訪れる島々の漁民の間でも、石油不足が話題に上る。そして、昔は豊富に獲れたはずの魚が乱獲により全く獲れなくなり、他国や国内の他県の人たちとの漁獲競争が起きていた。竹島や尖閣諸島へのアプローチもあり、時代を超えても尚、海をめぐる問題というのは変わらないのだと思い知らされた。

    自分の知らない島、という観点では、北海道の北方四島の話がもっとも興味深かった。北方四島には、北海道にはない紅鮭がのぼる川があり、温泉もあり、冬でも下草が生えるくらい温暖で馬の飼育が非常に盛んだったことという事実に、この四島の豊かさを初めて知った。

    しかしながら、重い問題だけではなく、自分が訪れたことのある島々の風景を頭に浮かべながら、ははぁ、あの集落のあの辺りの記述だな、昔はこうだったのか、と思いをはせるのも楽しい。生きた島の記録が残っていた。

  • この本は昭和55年から56年にかけて「すばる」に連載された内容なので、作者の有吉さんはそれ以前にそれぞれの島を訪れて、まとめたものです。海には線はひかれていないが国境はあり、さまざまな問題が提起される。行われる漁業も漁場も荒らされ、時には拿捕されダメージを受ける。
    海洋国家である日本の漁業の現状が過去からとても良く解る。
    そして、最終章の「尖閣列島」。30数年前からの問題!作者が30年前から描いている離島等の諸問題、今日本人として真剣に考えよう。

  • あの名作「恍惚の人」の有吉佐和子さん著。
    素晴らしい日本の島々。
    読んでいるとすーっと日常のわずらわしさを忘れます。
    時折現代の切実たる問題で引き戻されます。
    この本には「日本」が詰まっています!!

  • 時間のあるとき、ゆっくり読むと味のある本だと思う

  • 先の梶山季之といひ、岩波文庫の顔ぶれも変つてきましたね。
    本書は元々1981(昭和56)年に集英社から初版が出てゐました。取材はその前年といふことになります。
    有吉佐和子さんは離島小説もいくつか書いてゐて、離島にはとても高い関心を示してゐました。
    かういふルポルタージュを手がけるのも必然だつたと申せませう。

    とりあげた離島は、焼尻島・天売島・種子島・屋久島・福江島・対馬・波照間島・与那国島・隠岐・父島。
    上陸したら、もつぱら漁協を訪ねて、精力的にインタビューをします。この人の取材はいつも強引であります。読んでゐる分には面白いですが、突撃される方は困ることも多いでせう。しかし、手順を踏んだ上での取材では、通り一遍の内容しか得られないだらうことも理解できます。要するにこれでいいのでせう。

    本文にもしばしば触れられてゐるやうに、海が国境になり、これらの島では常に隣の国を意識しながらの漁業となつてゐるのです。時には拿捕されたり、拿捕したり。
    海洋国家日本の現状(30年前の)が、いかに心もとないかが分かるのであります。

    そして番外として、上陸できなかつた島々が「竹島」「択捉・国後・色丹・歯舞」「尖閣列島」であります。きな臭くなつてまいりました。特に尖閣に関しては今まさに問題になつてゐますね。与党の代議士が尖閣の歴史を知らず、「これから勉強して...」なんて言つて失笑を買つてゐましたが、すでに30年前に本書でいきさつと問題点が網羅されてゐるのでした。地主さんの問題もね。「そこに石油があるからだ!」...
    わが国の外交は、もう100年は希望が持てさうもないな...

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-184.html

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北は天売・焼尻へ、南は波照間・与那国へ飛び、種子島では鉄砲伝来とロケット基地を、隠岐ではイカ釣船の水揚や流人の歌を島誌に探る。八〇年当時の領有権、日韓大陸棚、二百カイリ問題とは?海も政治も激変したが日本はどこまで日本なのか。昔の問いは今も新しい。

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