辰巳巷談,通夜物語 (岩波文庫 緑 27-13)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003127131

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  • 初泉鏡花。いやあ、中々に難しい。
    舞台的というか、脚本的というか…。
    まず、場面の切り替わりが分かりにくい。
    解説を読んでから再読してようやっと理解した感じ。それでもやっぱりよく分からない部分も。
    あと、彼らがなぜそんな行動を取るのか理解できないってのもある。
    着物についての描写が詳しく、そこに情熱をかけていることは伝わってくる。

  • 再読。「辰巳巷談」は、ひらたく言えば四角関係。両想いの若い男女お君と鼎、しかしお君のほうには落籍したときの借金を負ってくれた宗平という男がおり、鼎には母のように(実際母だったのか?)溺愛してくる沖津という女がいる。正直みながそれぞれに身勝手で、あまり誰にも同情できない。もっと長編になりそうな物語を端折って詰め込んだ感もあってイマイチ。

    「通夜物語」も、なんだか微妙だった。売れない絵描きでチンピラみたいな色男の清さんとその愛人の遊女・丁山、金に困って清の伯父の家に強請タカリに出かけるも、失敗。かつて清を慕っていた従妹のお澄のピュアさの前に清はくじけ、そのお澄の夫や母に嘲られて丁山は逆上。血でもって襖に絵を描くというラストシーンは凄絶だけど、正直同情の余地があまりない。そもそも強請に出かけているので、正義がどっちにあるのかよくわからないんだよなあ。モヤモヤ。

著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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