中国民話集 (岩波文庫 赤39-1)

著者 :
制作 : 飯倉 照平 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 94
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003203910

作品紹介・あらすじ

かつて柳田国男が「驚くほど豊富な昔話の貯蔵地」と呼んだ中国。「さるかに合戦」「絵姿女房」「古屋の漏り」など、私たちが幼い頃から親しんできた日本の民話にもそのつよい影響が見られる。人口の90数パーセントを占める漢民族の語り伝えた民話から、代表的な話、また日本・朝鮮の民話との比較研究上注目すべきもの44篇を選び収めた。

感想・レビュー・書評

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  • 「十二支の由来」は今まで知っていたストーリーとは違ったので新鮮でした。

  • 日本と中国(漢民族?)間の類似の話しの多さよ。
    例えば七夕や十二支いった大陸由来の話しは承知していたが、意地悪継母や異類婚姻譚といった話しは世界共通の認識があるのかもしれません。

  • あえて日本の民話と接点のあるものを中心に収録してあったのもあると思いますが、かなり既視感のある話が多く、こんなに共通民話があるんだとびっくり。十二支や七夕の由来はもともとあちらが本家なので当然としても、舌きり雀や花坂爺さん的なもの、あとタニシ女房や絵姿女房(天人女房)系の話なんかも、元ネタは中国から来てたのかと意外でした。まあ日本と中国に限らず、民話は世界的になぜか不思議と共通の展開をみせたりするので面白いですね。

    1話目の、人食いキツネと三姉妹の話はちょっと新鮮でした。こういう民話や童話は、だいたい兄弟だと無欲な弟の幸運を強欲な兄が真似して失敗系、姉妹ものだと末っ子が一番優しいのに父に誤解され追放、でも最終的に幸せになる系など、三匹の子豚にせよ七匹の子ヤギにせよ、末っ子ほど利口で強運というパターンが世界的に共通な気がするのですが(この本でも他の話はほとんどそう)この話だけは、末っ子だけが馬鹿で、賢い長女と次女が生き延びるという珍しいパターン。

    異類婚姻譚も当然多いですが、雌の熊と子供作っちゃった男の話はさすがにびっくり。いや大体異類婚姻譚の場合、元は動物でも人間の姿に化けて嫁いでくるのがほとんどなのに、これはそういう描写がなくて、たぶん熊のままなんですよね(笑)

    虎と木こりの話など、義理堅い動物と人間の友情ものは癒されます。滅多にないけど、善良な主人公がちゃんと幸福になる終わり方のものに、たまに出会うとホッとする。

  • 底本は恐らく他の少数民族文学集と同じだと思いますが、子供向けの絵入りにしたのがこれ。何ともいい風合いのニジガロが大暴れをしていて、個人的には可愛くて大好きです。
    ただ、本自体が既に骨董の域に達してて、すさまじい風合いを帯びてるんだ……運がよければ図書館で出会えるかもしれない本です。

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著者プロフィール

1934年千葉県生まれ。東京都立大学人文学部文学科(中国文学専攻)卒。出版社勤務ののち、神戸大学文学部教員、雑誌『中国』編集部、平凡社版『南方熊楠全集』校訂者ののち、1974~97年、都立大教員。南方熊楠邸の資料整理に協力。2004年南方熊楠特別賞受賞。
著書に『南方熊楠 森羅万象を見つめた少年』(岩波ジュニア新書、1996年)、『中国の花物語』(集英社新書、2002年)、『南方熊楠 梟のごとく黙坐し居る』(ミネルヴァ日本評伝選、2006年)、『南方熊楠の説話学』(勉誠出版、2013年)、訳書に『中国民話集』(岩波文庫、1993年)などがある。

「2019年 『中国民話と日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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