ジュリアス・シーザー (岩波文庫 赤 204-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003220467

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。
    「ブルータス、お前もか!」が有名な一節の作品。ちなみに本場ラテン語では"Et tu, Brute?"
    古代ローマの話なのにイギリス文学に分類されているのは、かのシェイクスピアの作品であるから。
    史実では数年単位の話をギュッと数十頁にまとめ、かつ演劇向けに起承転結の波があるのがシェイクスピアによる本作の特徴。

    冒頭の一節は話の大オチかと思っていたが、ほぼ真ん中くらいで登場する。意外だった。
    その後も古代ローマらしい演説交えた政治劇や、シーザーが亡霊として登場したりで盛り上がりがあった。
    シェイクスピアが本作を執筆当時、後継指名せずに王座に居座り続けるエリザベス1世が居たとのこと。そこから、その後にイギリス国内で内乱が起きるのではないかという暗示がこの作品に込められている…、との意見を見た。この本を読んで、私はそこまで感じ取ることはできなかったが、2023年現在も似た政治シチュエーションが多い。そういうところが、シェイクスピア作品が今でもウケるのかと理解できた気がする。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • ギリシア悲劇古典悲劇と並ぶ、
    世界演劇悲劇最高峰とされる劇作家シェイクスピアによる作品「ジュリアス・シーザー」。

    舞台は古代ローマ。
    カエサルの生きた時代である。
    カエサルは紀元前100年に生まれた。
    今から約2100年前である。

    この物語はこのカエサルが暗殺される場面を中心にして展開される。

    「ブルータス、お前もか」
    息子のように可愛がったブルータスに殺された時のカエサルのこの言葉は非常に有名である。


    結局は、カエサルが行おうとした政策であり、見ていたビジョンがその後、実現されていく。

    ブルータスは古くからの共和制体制を守ろうとした。
    国のためにという想いがあった。
    だが、先見性がなかった。
    それが為にカエサルを殺してしまう。

    そして、最終的にブルータスはカエサルの腹心や、民衆達によって制裁される。


    しかし、
    彼の純粋な想い。
    お国のためにという、その想いだけは尊いことであり、忘れるべきではない。
    そのようなことを感じさせる最期の場面だった。


    同じ国を想う同士であるが、
    一方は共和制を崩す
    一方は共和制を守る


    そして、
    歴史は、結局は殺されたカエサルの描いた方向へ進むのだった。



  •  シーザーに不満を持つキャシアス、ブルータスがシーザー暗殺を図り、成功するものの、シーザーの腹心アントニー、シーザーの養子であるオクタヴィアヌスによって滅ぼされてしまうという悲劇。
     最近、「ジュリアス・シーザー」の芝居を見て、意外と面白かったので読んでみた。その芝居ではアントニーが最後オクタヴィアヌスに裏切られて殺されてしまう、という斬新な演出だった。アントニーの演説が有名、というのは知っていたが、実際とても面白く読めた。 "Friends, Romans, countrymen, lend me your ears!" で始まるこの演説、英語で暗唱できたらカッコいいかもしれないと思った。「何事にも潮時がある」 (There is a tide in the affair of men.)とかは有名らしいけど、全然印象に残らなかった。「ブルータス、お前もか?」(Et tu, Brute!)は案外あっさりと出てきて驚いた。
     個人的に印象的な台詞は「だが、謙虚がしばしば若い野心の足場とする梯子だということ、これだけはたしかな事実、高きを望む人間というのは、必ずこれに眼をつける。そのくせひとたび登りつめると、梯子にはてきめん背を向け、さらに高い雲をと望む、そしていま登って来た足許の階段には、たちまち軽蔑の眼を向ける。」(第二幕第一場)だった。あとは第一幕第二条にクレッチマーの性格と体格の話が出てくるというのも知らなかった。あとは第三幕第一場のキャシアスの台詞、「この崇高な場面は、今後万世の後までも必ずやくりかえし演じられるに違いない、いまだ生れぬ国々において、まだまだ未知のことばによって!」という部分に感銘を受けた。(16/07/03)

  • だいぶ前に読んだ。
    難しく感じる文章も、読んでいると慣れてくる。

  • 『ハムレット』など一群の悲劇が書かれた「悲劇の時代」の始まりを飾る第一作.英雄シーザーの死,アントニーの演説そしてブルータスとキャシアスの葛藤という三つのクライマックスが老練きわまりない手法でダイナミックに劇化されている.群衆煽動のあの一場一つにも人間研究者としてのシェイクスピアの恐ろしさを思い知らされる.

  • 「ジュリアス・シーザー」
    「ハムレット」などの一群の悲劇が書かれた悲劇の時代の始まりを飾る第一作。


    「ジュリアス・シーザー」はウィリアム・シェイクスピアによって書かれた悲劇。ローマの独裁官ガイウス・ユリウス・カエサルに対する陰謀・暗殺とその死の余波が描かれており、ローマ史に基づいてシェイクスピアが書いた「ローマ劇」の一つである。


    この劇において、シーザーは中心的人物ではなく(3場面に登場するに過ぎず、第3幕の始めに死んでしまう)、主人公はマーカス・ブルータス。なるほど、彼の登場がやけに多いと思いました。ブルータスの名誉欲、愛国心、友情の間の葛藤がものの見事に描かれていて、意外とドキドキしました。意外ととつけたのは、こういう書物にはアカデミックな空気がして、さほど気持ちが入らないことが多かったからです。


    見所は、シーザーの死に対してブルータスとアントニーが市民を前に弁論を繰り広げるシーンです。ブルータス、アントニー共に見事な演説と言い回しであり、それを受けて市民が高揚し、後の行動に移るシーンはなかなかの迫力。これは、演劇で見るべきかなと。


    ブルータスの心の中で最も強い光を放っていたのは、名誉欲でも愛国心でもなく、友情だったのではないかと思います。最後に進むにつれ、ブルータスは、友情とそこから生まれる葛藤の中で、決断を行います。


    そんな姿からは、あまり悪を感じません。これは、その時代に生きていなかった私だからこそ、感じることなんでしょうか。

  • 15歳の時にも読んでたらしいがよく覚えていない。。。なんでも当時のイギリスの政治不安を反映しているらしい。マクベスのほうが好きかな。。。

  • 現在権力を持っているものを蹴落とす、という筋はマクベスとも似ているし、ブルータスのキャラクター(造形)自体はハムレットにも似通ったところがある。また、それを一人で策略を巡らすのでなく、キャシアスというそそのかす役目がいるのはまた新鮮だ。野心はしばしば謙虚を梯子とする、という台詞も忘れがたい。
    群集の台詞、後半で明らかになるブルータスとキャシアスの対立、アントニーの演説などおもしろいところはたくさんあるが、それらを凡人であったシーザーが亡霊となって見ているようだった。

  • 高校2年生/図書館にて
    932.シ
    421

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