動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)

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制作 : George Orwell  川端 康雄 
  • 岩波書店 (2009年7月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003226247

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動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 角川文庫版と岩波文庫版どちらにするか迷ったが、岩波版を購入。「出版の自由」「ウクライナ語版のための序文」が付録。どちらも読みごたえがあってこの作品に対する理解が深まる。
    角川文庫版には「象を射つ」「絞首刑」「貧しいものの最期」などのエッセー及び開高健による短い文章も収録されているのでこちらも購入する予定。

    最も新しい訳のためか、非常に読み易いものとなっている。原書初版に付けられている“A Fairy Story”=「おとぎばなし」、寓話としての読み易さを考慮したものと思われる。

    各キャラクターのモデルがレーニン・トロツキー・スターリン等々、他の農場がイギリスやナチスドイツであるのは言うまでもない。だが読み進めるにあたって頭の中で「えぇっと・・・あれがああだから・・・」と実在のものに当てはめると時間がかかり、小説としての面白さ、のめり込み具合が半減することに気付いた。
    なので一旦これらを忘れて脇に置き、ひとつの小説、おもしろい読み物として読むことにした。割と短い話なので、2回目に読む際には改めて現実世界に当てはめると二度おいしいと思う。

    僕は小学校高学年から中学生にかけて、ベルリンの壁とソ連が崩壊し、世界地図が次々に塗り変わっていくのを目の当たりにした世代だ。なので体感としてそこの記憶がはっきりとあるが、今の若い世代ではどうなのだろうか。
    いや、今の世代にこそオーウェルはぜひ読んで欲しいと僕は思う。「1984年」が描いたディストピアが翻案され続けるように、「動物農場」が寓話として描かれたように、だからこそオーウェルの作品は永続性と普遍性を持つのだと思う。

    『小説の舞台はイギリスに置かれていますが、これは英語を話す民族が生来的に他より優れているわけではないこと、全体主義はもし戦わなければどこにおいても勝利しうることを強調するためです。』

  •  初めて『動物農場』を読んだ(読まされた)のは、高校の夏休み。英語版を買って読んで訳して来い、という宿題だった。
     その時は何が何だかよくわからなかったのですが、大人になってから「あ、あれか!」と気づいて再読(?)。いやー、こんなに面白い話だったとは!

     人間の搾取に耐えかねた動物たちは、人間を追い出し、動物たちの自治による「動物農場」を成立させる。
     しかし、動物農場のリーダーである豚たちは、他の動物たちが必死に働いているのを尻目に、だんだん贅沢な暮らしをするようになる。そのことを不審に思った動物たちが疑問をぶつけると、
    「豚が頭脳労働をするためにはベッドが必要だ」
    「ジョーンズ(かつて「動物農場」のオーナーだった人間)が帰ってくるぞ!」
     と言い逃れたり脅したり。いつしか動物たちは以前よりも苦しい生活に喘ぐこととなっていた…
     ロシア革命からソ連の共産主義体制までの欺瞞を痛烈に風刺した寓話。

     建前で平等・公平を過度に謳う体制ほど、何やかんやと指導者が理屈を付けながら建前の例外層を生み出し、いつしか独裁体制に至るものである。そして、それを許すのはいつも民衆である。
     本作では、動物農場の動物たちは、すぐ豚に言いくるめられる愚鈍な民衆として描かれているが、我々だって程度の差はあれ、本質的な部分ではこの動物たちと同じである。思考を放棄し、見たくない現実から目を背け、誰かが何とかしてくれると政治の問題を他人任せにする…そういう態度が独裁制の芽を育てるのは、ファシズムの台頭や共産主義体制下の独裁制が示すところである。

     結局、民主主義を統治システムの前提とするなら、我々は権力者に全幅の信頼を置くことなくどこかで監視の目を光らせなければならない。と同時に、権力者の言うことが正しいかどうかを判断できる資質・素養を磨き続けなければならない、ということになる。
    (ちなみに、ここで言う「権力者」は政府や公権力だけではない。政府や公権力を監視する「マスコミ」も立派な権力者であり、彼らの発信する情報や言論にも監視の目が必要である)

     …正直、七面倒くさいシステムだと思う。でも、現行の統治システムが民主主義に則っている以上、面倒くさがっていると政治の腐敗や独裁制がわき起こってくるから、腐らずにやるしかない。
     民主主義とは、つくづく手間のかかるシステムだよなぁ、と改めて思わされる。

     独裁制とは民主主義下で初めて発生する政治体制である、という指摘をどこかで読んだ記憶があるが、本作はそれを痛感させられる寓話である。

  • 史実を知って読むと、もっと面白いんだと思う。

  • 13/02/27 開高健の訳でも読んでみたい。

  • 農場に住む動物達が人間を追い出し、自分達のための農場経営に乗り出す、というのが物語の始まりです。
    それぞれの登場動物が、書かれた当時の誰(なに)を象徴するのかを知ってからみると、より奥深く感じられます。

    オーウェル自身による付録も収録されており、また注釈も丁寧で親切な編集だと思いました。
    おとぎ話風の邦訳も読みやすく、また幼い表現がかえって広く伝えられるべきこの物語のメッセージを的確に表現しているようにも感じました。

    アニメ版の同名作品もありますが、これでは充分に語りきれていない要素があるような気がします。
    動物達が「ジワジワと」「知らないうちに」「妄信的に」なっていく過程が、表現され風刺されるべき問題なのだと思っていますので。

  • Animal Farm(1945年、英)
    共産主義を批判した寓意小説。動物農場はソビエト社会主義共和国連邦のアレゴリーである。メージャーじいさんはレーニン、ナポレオンはスターリン、スノーボールはトロツキーをモデルとしている。ユートピアを目指していたはずの農園が史上最悪のディストピアへと変貌していく逆説は、人類が忘れてはならない歴史の教訓だ。

    しかし、これを読んで「共産主義怖すぎ」と他人事のように言っていられるほど、世界は単純ではない。作品は1944年2月に脱稿していたにも関わらず、その発表は翌年8月17日まで待たねばならなかったという事実がある。日本のポツダム宣言受諾から2日後、米ソの冷戦時代の始まりだ。

    発売されるやいなや、本書が世界的ベストセラーとなったのは、傑作だったからには相違あるまい。しかし、他言語への翻訳を積極的に推奨したのは米国だったこと、敗戦直後の日本に本書の翻訳をいち早く許可したのはGHQだったことなどは、銘記しておくべきだ。プロパガンダの愚かさを皮肉った作品が、プロパガンダとして利用されるという二重の皮肉である。

    それでも、様々な人々の思惑を超えて、作者のメッセージは21世紀の私達にも強く訴えかけてくる。私の尊敬するクリエイター、宮崎駿氏の言葉を引用させて頂く。
    おとぎばなしは、まだ終わってはいない。

    「自分が善意であるからといって、自分が善良な存在だとは思ってはいけない。とくべつお金を稼いでいるとか、楽をしているわけじゃないから、自分は無罪だ、とは思ってはいけないんです。しくみのなかでは、自分だってナポレオンなんです。そのしくみの問題はいっぺんには解決できないですけど、だからといって、手をこまねいて、無関心でいられること自体、すでにそれはナポレオンなんだってことなんです。(略)社会にはしくみがあるということ。複雑になってはいるけど、でも根源には、労働者がいて収奪者がいるという、そのしくみは変わってないんです」

  • タイトル的にもっと可愛い話かと思ったらガチの思想小説だった。

  • 思っていたよりずっと読みやすくて、サブタイトルになっている「おとぎばなし」だと思いました。

  • おもしろかった。

    農場で飼われてる動物たちが人間を追い出して自分たちの力だけで農場を運営しようとするというおとぎ話という体を成しているが、実際は結構な社会風刺が込められた内容。

    出版に際して一二悶着あったというのも読んでみて良くわかった。

    第二次大戦直後ぐらいの出版らしく、当時のどこかの国の政治家や民衆が病んで行く様子を動物たちに投影して描いているようだが、それが非常に巧妙で読み応えがあった。

    出版から60年以上も経ってるけど、この風刺を嫌がるであろう社会が現存していることを思って不快な気分になった。

  • 当時のソ連を「動物農場」とそこを自治する(実際には豚達の独裁)動物たちになぞらえて、当時のスターリン体制を批判した本。
    本書では結局支配層が人間(ロマノフ家や帝政派)から豚たち(スターリンをはじめとした共産党幹部)に変わっただけで、以前と同様、またはそれ以上の圧制が敷かれていることへの痛烈な非難が見てとれた。
    また本編もさることながら、付録の「出版の自由」において、公権力側からではなく、当時のソ連礼讚のイギリスの空気から本書を出版することが難しかったことが書かれており、公権力を憲法で押さえ込んでも「多数派の専制」は防ぎづらく恐ろしいものであると感じた。

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動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)の作品紹介

「すべての動物の平等」を謳って産声をあげた動物農場。だがぶたたちの妙な振舞が始まる。スノーボールを追放し、君臨するナポレオン。ソヴィエト神話とスターリン体制を暴いた、『一九八四年』と並ぶオーウェルの傑作寓話。舌を刺す風刺を、晴朗なお伽話の語り口で翻訳。

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)のKindle版

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