- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003227633
作品紹介・あらすじ
動物を人間に改造しようとするモロー博士の悲劇を描いた表題作をはじめ、未来の新聞が読めるようになった「ブロンローの新聞」、薬品による精神と肉体の交換を描く「故エルヴィシャム氏の物語」など、H・G・ウエルズのSF・怪奇短篇集。うち本邦初訳2篇。
感想・レビュー・書評
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多少の古臭さは否めないが楽しめました。
表題作は、倫理学上の問題や科学上の問題、様々な問題を内包しているとは思うが、純粋にエンタメとしてその設定の奇抜さでグイグイ読ませる。その他、個人的に好きなのは「パイクラフトの真実」「ブラウンローの新聞」。
ところで、江戸川乱歩はウェルズの影響はどれくらい受けているのかな。SFとミステリーなので少し違う気もするが、作品の雰囲気は似ていると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代の我々の感覚からすれば、首を傾げるような考え方を作品の語り手が語っている場面がいくつかあるが、全体を通じて面白く読めた作品集。
「モロー博士の島」は、確かにこう収束するべきだ、という結末。島における動物から人間へ、というベクトル(少なくともモロー博士の実験が目指していたベクトル)が、いざ人間社会に戻ると人間から動物、というベクトルに移り変わるのが対照が効いていてうまい。そもそもこの作品は人間の獣性を示すエピソードから始まったのだった(コイントスで犠牲者を決める、酔っ払った艦長が主人公を海に流す)。
「アリの帝国」には、ぞくっときた。人間対アリの競争の結末が示されていないのが余計に怖い。 -
エピオルニスの島
蛾
紫色のキノコ
バイクラフトの真実
ブラウンローの新聞
故エルヴィシャム氏の物語
マハラジャの財宝
デイヴィドソンの不思議な目
アリの帝国
モロー博士の島
どれもピリッと切れ味よくて、読んでいて楽しい。
表題作のモロー博士の島は、動物を人間に改造しようとするモロー博士の悲劇というディストピアのお話。
マッドサイエンティストとしてモロー博士が自分のイカれた信念を簡潔で明快に表明するくだりは、狂っているけど小気味いい名調子。 -
全部おもしろい。今読んでもとてもおもろかった。