夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003229415

作品紹介・あらすじ

息もつかせぬ展開と最後に用意された大どんでん返し-何度も上演され、映画化された、イギリスの劇作家プリーストリー(1894‐1984)の代表作。舞台は裕福な実業家の家庭、娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れて、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、全員がそのことに深く関わっていることを暴いてゆく…。

感想・レビュー・書評

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  • 面白くて一気読みした。
    貧しい若い女性の自殺に、全員がそれぞれの理由で関わっていることが徐々に判明していく展開、シンプルだけど気になってぐいぐい読んでしまう。
    自分としては些細な行為が誰かを追い詰めているというケース、この物語が生まれた頃よりも現在の方が増えてそうだし、リメイク版が舞台で上演されないかな。

  • たまたま手に取った。短い戯曲なので一日で読み終えた。表紙に「最後に用意された大どんでん返し」とあったので、「騙されないぞ」と注意深く読み、「落ちが当たった」と思ったら、もう一捻りあった。さすが古典的名作。

    登場人物の中では、シーラが一番まともか。
    ジェラルドもエリックも人の弱みにつけ込んでしょうもない奴らだ。ヒトを死なせてしまってから反省するのはどうなん?と思ってしまう。反省するのは、夢見が悪いから、だけであって、けっして、エヴァ・スミスの死を悼んでのことではなかろう。


  • 作者ジョン・ボイントン・プリーストリー(1894-1984)は
    イングランドの著作家、劇作家、司会者。
    てっきり小説と思って買ってみたら戯曲だった……って、
    有名なんですか、私が無知なだけですか、そうですか。
    しかし、読んでみるとなるほど戯曲ならではの面白さ。
    小説だったら短い話のわりに
    視点があっちこっちへ行き来して
    リーダビリティが低くなるに違いないから。

    舞台は1912年、
    イギリスはミッドランド地方北部の工業都市ブラムリー。
    ある春の宵、裕福な工場経営者の家。
    アーサー&シビル・バーリング夫妻の娘シーラと
    ジェラルド・クロフト青年の婚約を祝う家族の食事会。
    列席者は他にバーリング夫妻の息子=シーラの弟エリック。
    グールと名乗る警部がアポなしで現れ、
    和やかな雰囲気を乱されて不機嫌になるアーサー。
    警部は服毒自殺を図って二時間前に病院で死亡した
    エヴァ・スミスという若い女性について話し始め……。

    警部に詰め寄られる五人全員が、
    それぞれに後ろめたさを抱えており、一問一答ごとに
    見るからに幸福そうなブルジョワジーの闇の部分が――
    あたかも切り裂かれた皮膚からまろび出す内臓のように
    ――露呈する。
    一同にとって胃が痛むような時間が過ぎ去った後、
    めでたしめでたし、ではなく「話はこれからなんだが」
    といった雰囲気で、
    ミステリのはずがホラーの様相を帯びて終わるところも
    素晴らしい。

    「あらゆる贅をつくして――しかも沈まない、絶対に沈まない」
    タイタニック号が来週出帆する、と
    序盤で主人アーサーの口から語られるのが
    何とも皮肉が利いていて愉快。

  • 映画で見て面白いなと思って、読んでみました。
    映像を見ているから、わかりやすかったけど、本から読み始めていたら、ちょっと読みにくかっただろうな~と思う。

    ただ、映画のシーラとエヴァスミスがいまいちだったので、映画を見ないで本から読めばもっと自分なりのシーラとエヴァがイメージできたかも?とは思う。少し残念。

    終わり方は、映画も小説も??な感じで終わったけど、小説の方が良いかな。

  • 幸せの形にひびを入れていやがった。ちくしょーとなる若者にたいして、それがどうしたこっちはこっちと、理解しない大人。そこら辺がよくわからない。家を裏切ってこそ恋愛とすべきで、訪問者への問題は、道義的責任として反省して、大人など軽蔑すればよい。

  • 有名なタイトルに、読んでおくか程度で開いたら意外。思っていた以上に引き込まれるものがあった。
    また、あまり読み慣れていない戯曲という形態ではあったけれど、ほぼ会話のみ、少ない登場人物、固定地点での舞台展開というそこから広がる「ならでは」のおもしろさ、改めて感じさせてもらった。

    自分が何をしたというのか。
    浮かび上がる家族のひずみ。
    想像の膨らむラスト。

    テンポもいい。
    得した気分の1冊だった。

  • 絶対好きだから、と友が強くおすすめしてくれた「夜の来訪者」読了。淡々とした会話劇(戯曲)なんやけど、じわじわ空気が濃くなって最後はトマトがぐしゃっと潰れるような展開は圧巻。これ10代のときに読んでたらわたし劇団員目指してたかも、てほど好みでした。さすが友。

  • 何度も過ちを犯す人間というのは、本当に心底から反省せず、自分の都合しか考えず、事件を忘れようとするものなのだということがよく分かる。
    警部の「私達は一人で生きているのではなく、共同体の中の一員であり、お互いに対して責任があるのだ」という言葉が印象深い。
    最後の大どんでん返しにもやられた。

  • 息もつかせぬ展開と最後に用意された大どんでん返し―何度も上演され、映画化された、イギリスの劇作家プリーストリー(1894‐1984)の代表作。舞台は裕福な実業家の家庭、娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れて、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、全員がそのことに深く関わっていることを暴いてゆく…。

  • これ、子供の頃NHKのドラマで見たんだよなぁ、、日本人の配役で。この本を読みながら、あぁそうだった、こういう話で、こんなかんじの結末だった、、と確信した。見たことをいまだに覚えているくらいだったので、よほど印象に残ったのだろう。この戯曲を読んでも十分面白いけど、いつかそのドラマをまた見てみたいと思う。

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