- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003230114
作品紹介・あらすじ
科学者であるとともに出版業者、哲学者、経済学者、政治家、そして何よりもアメリカ資本主義の育ての親であったフランクリン(1706‐90)。その半生の記録がここに淡々とつづられている。
感想・レビュー・書評
-
デール・カーネギーの『人を動かす』に記述のあったアメリカ資本主義のキーパーソンであるフランクリン自伝を手に取ってみた。恐らく原文ではとても素晴らしいことを書いてあるのだろうと思うも、自分には直訳風の日本語訳が合わずしっくりいかない。原文を読めるような語学力がないのが残念。中でも有名らしい十三得を記す。毎日自問しこれを習慣化していくべしとの事。
いきなり食べ過ぎなワタクシである。
≪十三得≫
第一 節制…飽くほど食うな、酔うほど飲むな
第二 沈黙…駄弁を弄するな
第三 規律…物は場所を決め、仕事は時間を定めよ
第四 決断…なすべきことをなさんと決心しべし
第五 節約…浪費するな
第六 勤勉…時間を空費するな、益有ることに従え
第七 誠実…詐りを用いて人を害するな
第八 正義…他人の利益を傷つけるな
第九 中庸…極端を避け、激怒を慎め
第十 清潔…身体、衣類、住居の不潔を黙認するな
第十一 平静…小事、日常茶飯事に平静を失うな
第十二 純潔…性向に耽り頭脳を鈍らせ信用を失うな
第十三 謙譲…イエス、ソクラテスに見習え詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で借りた。
ベンジャミン・フランクリン、アメリカ合衆国建国の父として並べられるうちの一人。と言っても大統領などトップに登り詰めた訳ではないので、知らない人も少なくないかと思う。
政治家ではあるが、科学者や出版業者の側面もあり、私は「アメリカの渋沢栄一的な人かな?」と思った。私が知ったきっかけも科学者的側面だ。電磁気学の本で、有名な実験「凧揚げで雷が電気であることの証明」で知った。
そんな人の自伝が岩波文庫として、しかも赤(アメリカ文学)として残っている。それはなぜかと言うと、社会人がよく読むジャンル「自己啓発本」としてベストセラーになったかららしい。
たしかに怒るより好みから入り込むコミュニケーション術であるとか、女性の教育の考察であるとか、様々な側面で参考にはなる。現代でよく聞く定説が、ところどころで感じ取れる。
ただ読んでみて私の感想は、おじさんの半生自慢の印象のほうが強いかな(笑) -
フランクリンの生い立ちとかはあまり興味ないし読み物としてもさほど面白くもなかったので読み飛ばしたが、周囲から評価され社会に貢献し続けている人生だったということはなんとなくわかった。
13の徳を積む具体的な方法、その週に重視し反省する徳目を定義するという話についてはかなりよさそうなので実践しているところ。そこだけ読めばこの本の6割くらいの価値はあるような気がする。 -
20190429
アメリカ独立戦争時代に、アメリカ建国や資本主義確立の父となったフランクリンの自伝。明治時代の著名人達も愛読した。
植民地となっていたアメリカを代表して各国との条約調整といった政治力や、稲妻の発見といった科学的実験、また、消防や図書館などの組合を作って地域貢献するといった経済的アイディアに富んでいた人である。信頼をベースにした互助を形成し社会を発展させるといった思想が、資本主義アメリカの基礎を築いていったのだと思う。
そんな思想をフランクリンが育むことができた理由には、印刷工として成功を収めた若い時代からの職業倫理なのではないだろうか。とにかく勤勉、誠実たること。それが結局は信頼を形成し新たなビジネスを引き寄せることになるのだ。しかも当時において宗教に頼らない合理的な思考で徳を磨くことが成功につながると理解している点は参考になる。さらに、13徳として立てたプランを実践し、評価し、再定義している点は習慣法として今でも輝きを放つ考え方である。
自分もビジネスパーソンとしてどう行きていくか、フランクリンから学ぶ点は大いにある。
//MEMO//
アメリカ資本主義の父であるフランクリンについて知ることで、欧米の人たちの考え方を理解する一助となる。
また会話する際の教養という点でも押さえておくべき人物である。
さらに、成功した人物の考え方・ロジックを学びたい。
フランクリン 1706〜1790
宗教ではなく徳のPDCA
13徳
節制
沈黙
規律
決断
節約
勤勉
誠実
正義
中庸
清潔
平静
純潔
謙譲 -
”「フランクリンの十三徳」が有名だが、巻末の付録「富に至る道」を興味深く読んだ。
暦のなかで毎日良い言葉に触れていたとしても、いざ欲望の対象が目の前に来ると、教訓が吹き飛んでしまうことをもシニカルに描いた小ストーリー。いろんな意味を感じる。
なお、十三徳については、小さな工夫が随所にあることを改めて認識した。
・明確を期するために、少数の名称に多くの意味を含ませるよりも、名称は沢山使って、各々の含む意味はこれを狭く限定しようと考えた。(p.137)
・同時に全部を狙って注意を散漫にさせることはしないで、一定の期間どれか一つに注意を集中させ、その徳が修得できたら、その時初めて他の徳に移り、こうした十三の徳を次々に身につけるようにして行ったほうがよいと考えた(p.138)
・1つの徳をさきに修得しておけば、他のいずれかの徳を修得するのが容易になろうとも思ったので、私は前に挙げたような順序に徳を並べたのである(p.138) ※苦手な順ではなく、身につけやすくなるように。
・最初の一週間は、節制に反する行為はどんな小さいことでもこれを避けるように十分に用心し、他の諸徳は格別に注意しないでなるように任せておき、ただ毎晩その日に犯した過失を書き込むことにしたのである。(p.140-141)
・こうして最後まで進んでいくと、十三週間で全コースを一と廻りし、一年には四回繰り返すことができよう。(p.141) 4週ずつを13個まわすよりも身につきそう。マンディーノ本との違いはここか。
自分なりの十三徳をつくって実践しよう。
1つめは「振返」。これを身につけると、先の習慣化に大いに資するはずだし、いまできていないことだから。
※富に至る道は、ブログへ抜き書き(なんと103個も教訓が書かれていた)。
<関連リンクとして設定>
<キーフレーズ>
★ある男があって私の近所の鍛冶屋から斧を買い、斧の表面全体を刃の部分と同じように光らせてくれと頼んだ。鍛冶屋は砥石の車輪を廻してくれるなら、望み通り光らしてやろうと(略)
「もっと廻しなさい。その中にだんだん光ってきますよ。これではまだ所々しか光っちゃいませんよ」
「そりゃそうだが」と男は言った、「私には所々しか光っていない斧が一番いいようだから」
私は多くの人の場合、こうであったろうと思う。彼らは私が用いたような方法を知らないために、このほかの徳不徳の点でよい習慣を身につけ、悪い習慣を破ることの困難に出会うと、これと戦うことを断念し、「所々しか光っていない斧が一番いい」と結論を下してしまうのである。(p.146)
※これ、ある。
・事実、規律の点では、私の悪癖は矯正しがたいものがあった。年を取って記憶力が衰えた今では、この徳の不足を身にしみて感じている次第である。しかし、大体から言えば、私は自分が心から願った道徳的感性の域に達することはもちろん、その近くに至ることさえできなかったが、それでも努力したおかげで、かような試みをやらなかった場合に比べて、人間もよくなり幸福にもなった。(p.147)
※心から願った、が重要! この記述をしているフランクリン氏は79歳!!
・私は1つ1つの徳について、短い註釈を書き、その徳を持つことの利益と、その反対の悪徳に伴う害を示すつもりであった。そして署名は、『徳に至る道』とする考えであった。(略)
しかし、この註釈を書いて公刊しようという私の考えはけっきょく実現されないでしまった。(p.148-149)
※「富に至る道」の続編の予定だった? 自伝を書くことを強く勧めてくれたベンジャミン・ヴォーン氏の手紙にも記載あり。(p.120)
・各会員は問題の提出その他ジャントー・クラブと同様な規則を持つ従属クラブをめいめい創設することに努める、ただし、ジャントー・クラブとの関係は知らせないでおくというのである。(p.163)
※「ある大規模な計画」がこれ。「人類全体の利益の見地」から「修徳同盟」を興す。
※陰徳という意味で隠しているのかと思ったけれど、意見が広まるという実利を兼ねていたみたい。p.164の記述より。
<きっかけ>
人間塾 2015年4月の読書会課題図書となったため再読。
手元の本には2004/7/6読了、とのメモあり。(2004年4月24日 第64刷発行)
→現在書店で販売しているのはおもに新版で、文字が大きくなりページ数も増えているみたい(上のページ番号は旧版のもの)” -
ベンジャミン・フランクリン。
健全な自尊心をもち、相当な読書好きで勉強をしたことがうかがえる。
何故この本が古典となったのか? その価値は青年に向けて、節制や勤勉や誠実であることの重要性を、一庶民であったフランクリンがそれらの特性を養いながら立見出身できたところにあるのではないか。
良い本は行動を促す本だと思うが、
まさにこの本はそれだ。 -
久々にめぐり合った素敵な本でした。
ベンジャミンフランクリンと言えば、科学者、出版業者、哲学者、経済学者、政治家、アメリカ資本主義の父など多才であるゆえ、フレンチ、イタリー、スパニッシュを軽くマスターしてしまう人。
ここまでスゲーと何やらどこかの貴族とかお家がいい坊ちゃんだとか思ってしまうのだが、貧しく卑しい生まれであったとフランクリンはよく引き合いに出している。
そこで空っぽの頭で何で彼がこんなにすげーの?って考えてみた。
やぱチョー有名なフランクリンの十三徳でしょ。
1. 節制 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。
2. 沈黙 自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。
3. 規律 物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。
4. 決断 なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。
5. 節約 自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。
6. 勤勉 時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。
7. 誠実 詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出ですこともまた然るべし。
8. 正義 他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。
9. 中庸 極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。
10. 清潔 身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。
11. 平静 小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。
12. 純潔 性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これに耽(ふけ)りて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし信用を傷つけるがごときことあるべからず。
13. 謙譲 イエスおよびソクラテスに見習うべし。
7つの習慣のコヴィー先生の言葉を借りるならば、ミッションステートメントって奴だね。
彼の最たるものは、毎日十三徳をチェックして日々の悪しき習慣を徹底的に排除し、良き行いを習慣にしてしまった点である。特に一定期間にどれか一つに注意を集中させ、その徳が習得できたら、また次の徳へといった具合でだ。
その徳たちは数百年たっても、彼の文章全体に宿り、たった一度の人生をどう生きるか、そのひとつの解を与えてくれる。文才というものがあるのも一役買ってはいるのだが、何より事細かに記されている彼の勤勉さ、節制、配慮の行き届いた人への接し方、彼の人となりが自己を振り返らせる機会となる。ここまで人は模範的に立派に生きられるだろうかとも思ったが、それこそ十三徳を追求していた結果なんだろう。勤勉さが彼を多才にし、節制が多くの富を生み出し、若い頃磨いた文才が彼を有利な立場に導き、決して争わない物腰柔らかい接し方が多くの友を連れてきた。
最初は何も持たざる者であった彼が、それなりの財産と素晴らしい名声を日々の努力で手に入れたという事実が僕を元気にさせてくれる本でした。 -
座右の書のひとつ。
勤勉と節制 -
●P24 -
事前の知識としては、フランクリンはアメリカ資本主義の父、ということくらい。あと雷に関係すること。ほぼ何もしらず読んだが、思ったよりも人間臭く、共感を覚えた。前半は主に立志までの青年時代、後半は戦争に関連した話題となる。前半は少し動きが重たい気がしたが、後半は筆が早い。
あとがきでわかるが独立戦争が関係しているよう。文筆家としての才能を遺憾なく発揮したからこそ、後世に残ったのでは、と感じた。アメリカの精神を理解するには欠かせない。