ブレイスブリッジ邸 (岩波文庫)

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制作 : 齊藤 昇 
  • 岩波書店 (2009年11月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003230251

ブレイスブリッジ邸 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

  • ブレイスブリッジ邸で行われる婚儀に招かれた、語り手でもあるクレヨンの目を通して、地主一家や使用人たち、村の人々、その屋敷や村で起こった出来事が、ユーモアを交えて描かれる。

    クレヨンは、これから始まる物語の内容を、何か厄介ごとや面倒な出来事が起こる気配などなく、静音で単調な内容になるだろうと予言するが、当然、何も起こらないはずはない。

    物語を通じて、語り手クレヨンの筆致は静穏で抑制的だが、そこに描かれた出来事や人々の心の機微は、平穏でも抑制的でもない。厄介ごとや面倒ごとは立て続けに起こり、賑やさと騒々しさが物語に満ちる。

    だから、わたしたち読み手は、語り手クレヨンの行間から滲み出る登場人物たちの心の機微に思いをめぐらせ、そしてまた語り手クレヨンをも含めた登場人物たちの心の動揺、隠された感情や意図を想像しながら、ページをめくることになる。

    クレヨンは、ユーモアを交えながら個性的な人々や賑やかな出来事を描写するが、時おり無常観や寂寥感が顔をのぞかせる。そんな無常観や寂寥感が、そこに生きた人々の墓標を眺めるような物悲しささえ伝えてくるところが、この物語の大きな魅力のひとつだ。

  • 19世紀イギリス、地主を中心とした片田舎での日常が穏やかに、愛着をもって語られている。特に挿絵が当時の雰囲気をそのまま伝えていてとても良かった。有閑階級だけでなく、村の教師やジプシーといった人々の描写も丁寧。

  • 岩波文庫(赤) 080/I
    資料ID 20102004718

  • 欲しい本。

    19世紀英国の牧歌的生活を描いた物語。
    ランドルフ・コールデコットという人のの魅力的な挿画がふんだんに入っているらしい。

  • よかったです。挿絵も素敵。1817年にW・アーヴィングが英国の詩人スコットの邸宅に招待され、その見聞を元に書かれたらしいです。「スケッチブック」の続編の趣。1817年といえば、ミス・オースティンの亡くなった年。作中の地主の愛する古き良き昔の習慣とか、古風な暮らし方って、リージェンシーの風俗習慣かしら?総て手作業の時代ですから、下層階級の労働は大変なものだったに違いないのですが、豊かな地主や大きな自作農の暮らしはゆったりしていて、楽しみに満ちています。「スケッチブック」は中学生の頃読まなくてはならなくて、文庫を買ったはずですが、「リップ・ヴァンウィンクル」しか覚えていません。もう一回読まなくては!

  • 古き良きイギリスの田舎の大地主と村の人々の話。作者のアーヴィングは、起伏のある物語ではないけど、丁寧に人々の暮らしぶりを描いている。上手い作家だと思った。
    そういえば、カズオ・イシグロも『日の名残り』でイギリスの昔の執事を書いてたなぁ。
    貴族とか執事がいた世界は、もはや今となっては、アーヴィングが考えたように、ほとんど跡形もなくなってしまったのかもしれない。でもこの作品を書いてくれたおかげで、自分たち後世の人間が少しでも知ることができる。そういう意味で、本にして残す、というのは素敵なことだと思った。

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