市民の反抗―他五篇 (岩波文庫)

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著者 : H.D.ソロー
制作 : 飯田 実 
  • 岩波書店 (1997年11月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003230732

市民の反抗―他五篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「統治することの最も少ない政府こそ最良の政府」、政府とは高々一つの方便にすぎない。常備政府が振り回す常備軍とは腕にすぎない。人民がそれを通じて行動を起こすことができないでいるうちに、政府そのものが常備軍と同じように乱用され始める。

    メキシコ戦争は常備政府を自らの道具として利用している比較的少数の個人のなせる技。政府というものを見ていると、人間は自らの利益のためなら、まんまと騙されるばかりでなく、自分自身を騙すことができる。

    政府とは人々が互いに干渉し合わないでうまく暮らしていくための一つの方便にすぎない。

    政府を打倒するのではなく、「もっとマシな政府」を作ろう。「多数派」が支配する社会は正義を基礎においているとも思えない。一人一人に備わった良心によって決定できるような政府はないか・・法律が人間をわずかでも正義に導いた試しなど一度だってなかった。むしろ法律を尊敬する人が不正に手を貸した。

    大多数の人間が人間ではなく機械として国家に仕える。防衛のためには反乱と革命を起こすべき。私は遠方の敵に対してではなく、我が故郷の近くにいながら遠くの敵と協力し、その命令に従っている人に対して異議を申し立てているのである。彼らがいなければ遠方の敵など害にならない。

  • 森の生活を読んで感銘を受け、購入。「歩く」のチャプターが好きで、よく僕も散歩に出かけるようになりました。ソローはサマセット・モームの「読書案内」で紹介されていた覚えがあります。

  • 「国家が個人を、国家よりも高い、独立した力として認識し、国家の力と権威はすべて個人の力に由来すると考えて、個人をそれにふさわしく扱うようになるまでは、真に自由な文明国は決してあらわれないであろう。」知人に教えていただいて、いま、選挙の前に読みたいと思って急いで読みました。
    「森の生活」を書いた、H.D.ソローのこの著作は、ガンディー、キング牧師、マンデラらの市民運動に影響を与え、世界を変革したそうです。(不勉強でした)
    冒頭に引用した一文読むだけで、現在の某政党が考える憲法改正案とは自由な文明国を志向する国が持つべきではないものだということが明らかだと思います。(私は、憲法改正絶対反対論者ではありません)
    6篇の短編からなる短編集ですが、冒頭の「市民の反抗」だけであれば、岩波文庫でたったの47ページ。今週末の選挙に行くのに、投票する先を迷っているのであれば、なにかのヒントになるかもしれません。
    私は読む前に期日前で投票しちゃったのだけど^^;

  • 「森の生活」を記し、ナチュラリストの先駆けとしての生き方を示したソロー。

    一方で彼はそれだけにとどまらず社会批評や講演をいくつもしていたそうです。
    その中の数本をまとめたのがこの本。

    なかでも「市民の反抗」は、間違った政府のもとでは正しき人がいる場所は牢獄である、として、ガンジーをはじめ後の世の人々を励まし続けました。

    「森の生活」「市民の反抗」。3.11を経た今の私たちにとって、これら著作から、ソローから、学ぶことは多いのではないでしょうか。

  • 「ウォールデン 森の生活」で有名なアメリカの思想家ヘンリー・D・ソロー。自然との共生という生き方に憧れる人達にとっては、シンボル的存在(今でいうところのC.W.ニコルみたいな人w)ではあるが、個人的には米墨戦争の不正義に対して一市民が何が出来るのかという問いに、不服従という行動で答えたことがソローの最も偉大な点であると考える。彼の行動がのちに、ガンジーやネルソン・マンデラにも影響を与えたことを考えると、アメリカが世界に誇れる思想家といっていいのではないだろうか。

  • 「森の生活」で有名なソローの論文集。
    1章の『市民の反抗』読んでたらガンジーの不服従運動を思い出したのですが、案の定ガンジーはこの論文に影響を受けていたそうです。
    国家の不正に手を貸すな。それで投獄されたらば誤っているのは法であり行為者ではない。

    「罪は不道徳なものから、いわば非道徳なものへと代わり、ついに、われわれが営んできた生活にとって、まったく無用とばかりはいえないものになってしまうのである」

    「政治家や議員たちは、完全に制度の内側に身を置いているために、その制度をはっきりとありのままに眺めることはとうていできない」

    解説によれば、この論文のテーマは、
    ①連邦政府あるいは州政府の法律や政策が、個人の良心-より高い道徳的法則-と矛盾をきたすような場合には、前者よりも後者のほうが尊重されるべきである
    ②政府がいちじるしく正義の観念にもとるような「暴政」に走った場合には、市民は納税拒否といった平和的な手段に訴えて政府に抵抗する権利を有する
    のふたつ。

    2章の『ジョン・ブラウン大尉を弁護して』では、奴隷制度廃絶にむけて戦ったジョン・ブラウンについて書いてます。
    彼を狂信者と罵ったメディアの体質に批判したりしてます。

    その後の章は結構、『森の生活』と重なるような議論が多かった。

    「われわれはいまなお成長しつつある子どもでなくてはならないのに、早くも小さな大人になっている」

    「いわゆる知識の大部分は、多少ものを知っていることへのうぬぼれにすぎず、むしろ実際上の無知から生じる利益をわれわれから奪いとってしまうものではあるまいか?」

    「働く者の目的は、生計を立てることや「よい仕事」にありつくことではなく、特定の仕事を立派にやりとげることでなくてはならない。また、金銭的な意味からいっても、街は労働者たちに十分な賃金を支払い、それによって彼らが単なる生活費の獲得といった低次元の目的ではなく、科学的、さらには道徳的な目的のために働いているのだ、と感じさせるほうがかえって経済的である。金のために働く人間ではなく、その仕事を愛するがゆえに働く人間を雇うべきである」

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