大地 3 (岩波文庫 赤 320-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003232033

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  • 物語は王龍の息子たちから、孫たちの時代に移ります。
    王虎は息子・王元を、自分と同じ軍人にしようと教育しましたが、王元は祖父のように土に惹かれていまました。
    しかし育ちの良い王元は、農民たちの生き方を醜いと感じて、農民になりきることもできません。
    やがて王虎の下を飛び出した王元は、都会の住む義理の母娘と暮らすことになりました。近代化が進んだ都会では、若者たちは古い慣習を嫌い、自由気ままに生きていました。王元は、そんな生き方にも溶け込むことができません。

  • 近代から現代への移り変わりの速度。それは、外国文化が強引に、しかし、好奇心と共に急激に受け入れられた過程でもある。その点は中国も日本も変わらず、また、そのような変化に柔軟な若者が文化の担い手となったという点でも、類似した時代背景を見せるのである。

    農業から一代を成した王龍の息子から、そのまた息子たちの時代。軍を率いる王虎。その息子、王元の話がメインになる。そして話が現代に近付き、主役が若返る程に、恋への悩みを抱えた思春期の苦悶に物語を譲り始めるのである。

  • 軍閥の巨頭として,着々と地位を築く王虎(ワンフー)に,子供が生れた。
    自分の後継者を育てようと意気込む父将軍の意に反して、
    息子元(ユアン)は軍事に関心が持てない。
    父の執着を振りきるように,都会に出て新しい生活を始める元。
    彼を迎えたのは、思慮深い義母、派手好みの妹、いとこたち。
    そして何よりも、変貌する中国社会があった。(全4冊)(Amazonより)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    王虎がついに子供を作ります!
    その前に、匪賊の頭の女だった女性を心も体も愛していたのですが、
    彼女は彼に心を開いたように見せかけて、彼をだまし、
    彼の軍閥を危機に追いやろうとしていたのです...

    王虎はそのせいで深く傷つき、女性を愛せなくなってしまいます...
    なので、梨花(リホワ)と結ばれるなんて全くありませんでした(´・ω・`)

    って言うかこの梨花と言う女性、いい人!
    世の女性たちの鑑となりそうな貞節ぶり。
    また弱いものに優しく、父のように愛した王龍の
    弱い長女も引き取り共に暮らし、王一のせむしの息子も
    彼女の温かさにひかれ土の家(元の王龍の家)でともに暮らしています。

    彼女の存在が、唯一息子たちにとっても良心となっているようですが、
    土地を売りたい彼らはそれが煩わしくもあるようで。

    うまくいきませんねぇ。

    で、王虎はその傷から女性を愛せないので、
    子供を産むために妻とした二人の女性のこともまーったく顧みません。

    でも、本当ならもっと早く子供を産むために結婚してもよかったのに、
    王虎の本当の心は愛を求めていて、傷つくまで愛に期待して
    結婚できずにいたと思うとかわいそうにもなってくる...

    若いころには恋した人を父に奪われ、
    大人になって愛した人からは裏切られ...

    その王虎の実は重たい愛情が、次は一心に
    一人息子の王元(ワンユアン)に向かって行きます。

    王虎は王元を立派な後継ぎにするために、大事な腹心をそばにつけて軍人教育に励みます。

    が、王虎のその愛情が息子に重たくないはずがない!

    彼らに限らず、子供と言うものは親の思った通りにはならないようで...
    特に若いうちは無駄に反抗したり絶対思い通りにならないと意地を張ったりしてしまいがち。
    そこをまた頭から押し付けるものだからなおさら反抗しちゃって。

    そもそも王虎からして、王龍が自分と同じように土と働く男にしたいと思っていたのを、
    勉強したい!軍人になりたい!と逃げ出したわけですから、因果応報と言うか何と言うか...

    サーガは歴史は繰り返す、的なものも面白いですよね。

    そして親は当時の自分の気持ちなど忘れて、
    お前のためにこんなにしているのに!と思っちゃう。

    王元は結局王虎のもとを飛び出し、
    例の土の家に逃げ込みます。
    その王元は、王虎と違って土に喜びを感じ、
    王龍が育てたかった小作人としての生活をしたいと望み始めます...

    ああうまくいかない...

    ですがその生活も長く続かず、王元は母違いの妹のいる都会へ留学に出ます。
    そこにはもう一人の母親、母親違いの元気がよく現代的な妹、
    そして都会の華やかな生活が待っています。

    この都会の描写もいいですね。
    富める者はあくまで華やかに。
    持たざる者はその影に付きまとう...

    都会でも、その差は歴然としていながら、
    その中では混沌としてどちらもどちらを見ずにいられない。
    心を動かさずにいられない...


    にしてもすっかり忘れていましたが、作者はアメリカ人なんですよね。
    リアリティがありすぎて、そんなことまったく感じさせない...
    でも、現地の方が読んだらどうなんでしょうね。
    もしかしたらほんの少し侮蔑の表現とか感じてしまうのかも...

    と言うか、働く中国人がリアルすぎます!
    賄賂がないと動かなかったり、少しでも誤魔化してお金をせしめようとしたり。
    上も下もお金に対する執着心と来たらなかなかです。
    いや、お金に対する執着心ではなくて、
    自分は人よりうまくやれるって言う見栄、かな...?

    逆に主人公一家にはあまりそう言う部分がなくて
    (次男は多少?)、差別化がされてるようです。

    崩壊した家で、そして都会の中で、王元は何を学び、
    そして王龍の孫たちはどのように成長していくのでしょう。

    待て次号(しつこい/笑。

  • 纏足怖い。

  • 恵まれた境遇の主人公が、自分だけ恵まれてていいのか?と思ってる。わりとありがちな設定。でも、最終巻が楽しみです。

  • 王虎の息子王元の物語

  • 大地(1)に記載

  • 大地主の王、商人の王、王虎(ワンフー)それぞれ自分の家族を持ち、息子や妻に翻弄されていく。
    王虎は息子の王元(ワンユアン)に自分の築いた軍と領地をゆずろうと過度の期待を寄せるが、
    王元は軍人にはなりたくないと父の元を離れていってしまう。

  • 名作。

  • ○2008/07/03 
    この巻だけでずいぶんと時代が現代に近づいてきてるのにびっくりした。ちょうど時代が移り変わる狭間あたり。当時のことは知らないけど、細かく描写してあって分かりやすかった。
    今回は、三男虎(フー)と、その息子元(ユアン)の話が主。視点の切り替えがあんまりにも自然だったのは、話に入っていたからなのか書き方が上手かったのか。…両方か?
    前2巻よりはちょっとだらだらしてきたというか、切迫感がないのは戦なんかが減ってきたから、かな。虎の衰退があっけなかったのがちょっと残念だった。
    さて、元はどうなるのやら。

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著者プロフィール

(Pearl Sydenstricker Buck)
1892-1973。アメリカの作家。ウェスト・ヴァージニアに生まれる。生後まもなく宣教師の両親に連れられて中国に渡り、アメリカの大学で教育を受けるため一時帰国したほかは長く中国に滞在し、その体験を通して、女性あるいは母親としての目から人々と生活に深い理解をもって多くの作品を発表した。1932年に『大地』でピュリッツァー賞を、38年にはノーベル文学賞を受賞。また1941年に東西協会設立、48年にウェルカム・ハウスの開設と運営に尽力するなど、人類はみな同胞と願う博愛にみちた平和運動家としても活躍した。

「2013年 『母よ嘆くなかれ 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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