- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003232613
感想・レビュー・書評
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外形の描写に終始した淡白な文体であり、登場人物の心理はちょっとした仕草やセリフから読み取るしかない。直接的でない表現であるからこそ、読者はその背景にあるものを積極的に想像しようとし、自分自身を立体的な像として登場人物の中にみることになる。
ブレットに恋をしつつも性的不能であることからくる無力感をどうすることも出来ずにいるジェイクが、闘牛の中に求めているものはやはり戦争そのものなのだろうか。ロメロのように闘牛士としてその場に立つことは不可能であり、その疎外感がナルシシズムに転化されている。去勢牛とジェイクが重なる。失われたものを取り戻すことは出来ないのだ。しかし、だからこそ、その若者の姿が胸を打つ。
以前読んだ高見浩訳の『武器よさらば』では、風景描写がなかなか頭に入ってこなかったためにヘミングウェイを避けていたが、その印象が塗り替えられた。とても読みやすかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
the sun also rises.
これこそ。 -
文豪の古典的名作ということで少々身構えていたが、当時の若者の熱狂的な反響をよんだという煽り文句もさもありなん、意外にも面白くすらすらと読んでしまった。
登場人物たちとは時代背景も境遇も違いすぎるので共感は別にしなかったが、若いっていいよね、楽しいねと思わせてくれる。
簡潔な原文に輪をかけて簡潔な訳文も良い。 -
文章に既視感がありました。
しかし、それは多くの現代作家がヘミングウェイの影響を受けているためでしょう。
ストーリーとしては、主人公の状況を把握するだけでも一苦労でした。しかし、それは読書において楽しみの一つでもあります。
あまりのビックネームにハードルを上げすぎたためか、最初は文章は上手くとも退屈という感想でしたが、終盤のスペインに入ってからは幸福そのもの。
電車の中で区切りながら読むよりは、休みの日に一気に読み上げるのが私としてはおすすめです。 -
第一次世界大戦後の
「失われた世代」の若者達の話。
当時の人々にえらく共感されたらしい。
こういう文学は、
そのころの時代背景とかを知らないと、
あまり面白くないという事が分った。 -
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ちょっと訳が…ずいぶん前のだからかしら?
ヘミングウェイの作品は3冊目で、前の二冊はとてもすきだったけど、今回のはすこし期待はずれかなぁ -
この旧い訳がいいのだ。第五十一刷、後書きの最後には昭和三十三年夏とある。見所の汚い、皮肉った言い回しと表裏にある知的さなんかが、少し時代遅れの日本語で訳されているのでよく出ている。
ハードボイルドの先駆け。ここからチャンドラーが生まれ、そして村上春樹が生まれたのだ。
この頽廃的な感じは、あるいは今の時代には合わないかもしれない。今の人々(特に若者)は頽廃的ですらないからだ。頽廃も一つのパワー、知的さ、傾向だとすれば、今の時代には何が残っているのだろう? ここには無知、無関心、無為が横たわっているだけだ。そして、この本を読む若者は言うだろう、「下らない」と。ではなにが下るというのだ?
無為の世界に栄光のあらんことを。 -
初めてヘミングウェイに手を出してみたが、情景描写が今の本より圧倒的で、目の前に浮かんだ。
昔の作品に慣れてないせいか、読むのに時間がかかり、理解出来ない箇所も多々あった。
あと、アメリカ的?というのか、登場人物にちょっと移入できなかった。
昔からのファンの人は嫌うかもしれないが、今風に訳せると、おもしろいのかもしれない。 -
戦争を知らない我々は、戦後の喪失感も共感しにくいものがある。