風と共に去りぬ(六) (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003234266

作品紹介・あらすじ

スカーレットとレットにボニーが生まれる。レットは娘を溺愛するが、スカーレットはアシュリーを忘れられず、レットとの関係は次第に冷えていく。やがて起こる決定的な出来事…。厳しい再建時代にも終わりが見え、南部も新たな時代へ。壮大な物語、全六冊完結!

感想・レビュー・書評

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  • 「風と共に去りぬ」が長い間愛され続けているのが分かります。 知らぬ間にこの物語に感情移入していたことが読み終わって気づきました。この一冊の中にたくさんの出来事があり、私自身がアトランタでスカーレットたちと暮らしているかのように感じました。読み終わった余韻もすばらしく、また苦みもあります。
    これで物語は完結ですが、これからのスカーレットの人生やレットとの関係がもっと読みたいです。
    これはほんとうに素晴らしい壮大なロマンス作品です!

  • 一年くらいかけてようやく読了した。
    良い文学作品を読み終えた後は何とも言えぬ疲労感を覚えるが、本作品もそうだった。
    南北戦争の敗戦を経て、少女スカーレットは成長していくが、本質的には戦争前の幼さが抜けきれていない。
    それゆえに、身近な人とすれ違いが起こり不幸な出来事が起こっていく…
    そのような事態に直面した際、彼女は力強く踏ん張って対処するところが本当に尊敬する。

  • 何回読んでも面白すぎる。激動の物語だから、筋が分かっていると少し勢いがあせるかとおもったらそんなこと全然なくて、それはもちろん物語の筋は面白いんだけれど、本質的には、なぜそんなことが起きてしまうのかという分析の地の文の力が本当にすごいからなのだと思う。

    それにしても、最終巻の残酷さといったら、ちょっと驚いてしまう。レットとのすれ違い、流産、ボニーの死、そしてメラニーの死、怒涛の出来事と、そこで少しずつ失われていくものがとんでもなく繊細に描かれていて、最後まで読むと胸が張り裂けそうになる。よくもまあ、こんなにスカーレットを突き放せるものだと唖然とする。
    「スカーレットはアシュリーを理解できれば彼を愛さなかったし、レットを理解できれば彼を失わなかった」的な文章があるのだけど、本当に大切なことをそのタイミングで適切に理解できるというのが人生における聡明さだということは分かるが、適切なタイミングがあったのにいつも見誤るスカーレットのことを決して責められない。大切なことはいつも振り返った時初めて気づけるもので、霧の中を走っている時には、指の隙間からこぼれ落ちていく。そういった人生のある種の真理が驚くほど克明に、残酷に描かれている。特に最後の章は、機を逸したもの、壊れてしまったものは、泣いても喚いても懇願しても決して元には戻らない、人生は自分の力でコントロールできるなんて思い上がりは捨てなければならないのだと、読んでいて悲しくて悲しくて、泣いてしまう。
    無知で傲慢で世界が自分の思い通りになると思っている庇護された子どもが、確実に成熟した大人になっていく女性のビルドゥングス・ロマンなのだけれど、同時にそれはあたたかくなんの不安もない避難所(母的なもの)をすべて失っていく過程であり、真に孤独になっていく過程でもあった。噛みしめるたびに深く、悲しい物語で、これ以上必要なものはなにもないかもしれない。

  • 映画が有名なので読んでみました。
    アメリカの南北戦争が起こっているときに、南側に住むスカーレットが古い風習に縛られず心のままに自由に生きようとする話。恋愛に関してはめちゃめちゃにすれ違ってしまう。最後はすれ違いが戻ることなく別れてしまったけれどそれもリアル。

    話が丁寧な分、長いのでそのあたりがちょっとだれるかなという感想です。でも面白かった。映画はたぶんだれる部分をカットして面白いところを抜粋したんだろうなと思います。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/686847

  • 出産後、ウエスト20インチ(約50cm)で太いだなんて(笑)

    スカーレットは考えなければならないことでいっぱい。
    その場で感情で言葉を発すると相手を傷つけたり。
    「明日考えよう」今考えると潰れそうになるから。
    そして、ちゃんとその時その時で反省して考えなかったからこんなことに…感情に任せて突っ走りすぎた。

    自分のための行動だと行動力があるのに、周囲の人たちのことについては無視して行動しない。
    メアリーが感謝していることについても、表面は助けていたように見えるが、結局スカーレットは自分のためにしたことだ。
    (それでも大変な目にあってたのだからスカーレットはよく頑張った。メアリー以外の人にはわかってもらえてないのはかわいそう)

    気付くのが遅すぎる。

    トマス・ハーディの『テス』で「もう遅すぎる」手遅れとテスが言うけど、その言葉を思い出した。

    メアリーの死。泣きました、この場面は。
    メアリーが死ぬ時、スカーレットはやっと真実に気付いた。
    遅すぎる。
    メアリーが大好きだった。
    アシュリーを理想化して恋していただけ。愛してはなかった。
    レットはスカーレットを愛していて、自分も愛していたのだと。
    自分の周りから誰もいなくなる。自業自得。

    続編を熱望されていたらしいが、ここで終わっているからこの小説に価値が上乗せされていると思う。
    読者のいくつもの想像にお任せでいい。

    私がレットの立場なら、もう無理かな。
    冷めたものは戻らない。失望だもの。
    年寄りになって記憶が遠く薄れた頃に再開したらまた違うかなあ。
    そんな感じでいろいろ想像が膨らむ。

    簡単な登場人物紹介、地図、解説、年表、注釈付き。

  • 2017.06.23

  • 3.8

  • 出色のヒロイン、スカーレットの物語は、過去に読んだアイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」にあった次の一文を思い起こさせる。

    「円は自然にかなう運動であり、私たちの周囲の無生物界にあるのは円運動だけだと人は言うけれど、直線が人間の記章なのだ、と彼女はおもった」

    スカーレットは行動する。摂理にかなう円運動ではなく直線を引こうとする。彼女の直線運動はたいていの場合、惨めで呪わしい結果を生む。愚かなのだが愛さずにいられないのは、愚かさゆえ。

    よりどころ、たよるべき人を貪欲に求めて鞍替えしていく姿は、浅ましい。だが悪徳も魅力と思わせる描き方がされている。彼女の生き方が呼ぶ波紋を通して、南北戦争前後のアメリカ社会を知ることができる。

    また一方で2つの比較、豊かなタラ農場の土の匂いと、興っては滅びそしてまた復興する人工的なアトランタの街との、対照が鮮やか。たしかなものは大地のみであり、スカーレットの生きた証である直線運動も、俯瞰してみれば円運動なのだという気がしてくる。

    本書は荒このみさんの訳が小気味良い。また各巻の解説が充実しており、これを読むためだけでも、岩波文庫を選択する価値があると思う。

  • 荒このみさんには時代背景の理解が必要で今の言葉で翻訳すべき作品を手掛けて欲しい、フォークナーやヘミングウェイやスタインベックや......

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