ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 下 (岩波文庫 赤 405-4)
- 岩波書店 (2000年3月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003240540
作品紹介・あらすじ
秘密結社"塔"の主宰者、神父から修業証書を授けられ、ヴィルヘルムの修業時代も終わりを迎える。登場人物たちの意外な関係が次々に明らかとなり、物語は結末に向かって収束してゆく。ミニヨンと竪琴弾きの哀しい運命等、理性を超えたものの余韻を残しつつ…。
感想・レビュー・書評
-
レヴュは上巻にて。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんか基層がいまいち感じられなくて表層をストーリーが流れていくという感覚に捉われて読み進めなくてはならない感じ。原点からしてそうなのか訳の関係上そう感じられるのか… 『遍歴時代』をどうしようかな
ーーーーー
舞台は,ゲーテが生きたのと同じ18世紀封建制下のドイツ.一女性との恋に破れ,演劇界に身を投じた主人公ヴィルヘルムは,そこで様々な人生の明暗を体験,運命の浮沈を味わう.文章,手法,構成のすべてにわたる完成度の高さに,ノヴァーリスが最大級の賛辞を捧げ,トーマス・マンが範としたドイツ教養小説の代表作.ヴィルヘルムの修業時代は転機を迎える。秘密結社〈塔〉の主宰者,神父(アベ)から修業証書を授けられ,ヴィルヘルムの修業時代も終わりを迎える.登場人物たちの意外な関係が次々に明らかとなり,物語は結末に向かって収束を遂げてゆく.ミニヨンと竪琴弾きの哀しい運命等,理性を超えたものの余韻を残しつつ…. -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707703 -
教養小説と呼ばれるからには、多少のお堅さや説教臭さは甘受しなければいけないのだろうなと想像していたが、全然そんな必要はなかった。因果と偶然からなるあらゆる出来事が折り重なり、話が進むにつれぐんぐん引き込まれる。感服です。一人の人間の修養過程がひたすら描かれるが、それでいてあまり理想の人間像の押し付けになっていないのは、才能の差や偶然といった不可避の要素を否定していないからだろう。「人の幸福は、自分の持っているものを磨くことのうちにのみ見出される」というようなことを言っていたショーペンハウアーがこの本を賞賛するのも納得である。それにしても、意外なほど宗教色がないのには驚いた。また、多様性に対する肯定も感じられる。たぶん現代人が最も抵抗なく読める部類の古典だと思う。
-
なんということでしょう。
ヴィルヘルムはテレーゼに婚約を申し込んでOKになったけど、この後どうなったかは
わからない。とにかくこのあたりは少しわかりにくいけど、ミニオンはヴィルヘルムがテレーゼに告白したショックで死亡し、男の子の方はマリエーネ(ヴィルヘルムの元恋人)の子供だったというどえらい展開になってしまった。
それにしても彼のように青年期から壮年期までを「修業時代」として人格形成において最も重要な年代というのはよくわかる。
ヴィルヘルムほどではないだろうけど、私も色々ありましたからね。 -
七巻で終わっておけばよかったのに。
八巻以降のの恋愛話はどうにもイライライライラしちゃう。
自分が一方的にした誤解が原因で愛しい人を死に追いやったのを知って、忘れ形見の幼い息子を育てる決意をして、家庭的な理想の女性に息子の母親になって欲しいとプロポーズをした、直後に、貴族の奥様方との妄想で頭をいっぱいにするとか、ヴィルヘルム、いい加減にしろよ…。
ミニョンが死にかけてるのに!グダグダ言わずにミニョンのところへすっ飛んでけ!!
ゲーテ先生は、実はみんな関係者だったってのがやりたかったんですか?
ゲーテは貴族階級出身なのかな。 -
深く感動した。ゲーテは偉大だと作品を読むごとに思う。主人公ヴィルヘルムの人間的成長がテーマのいわゆるビルディングロマンス。理想の女性の探索、商取引、演劇、育児などとキリスト教的求道が縦横の糸になり主人公の成長を促す。メタ的な小説論の体現したものでもある。物語の構成は『ドン・キホーテ』を踏襲し、フリーメーソン、古典古代、カトリック的な聖女、『ハムレット』などが組み込まれた立体的な構造で古典主義と呼ばれるに相応しい。その意味でラストはご都合主義というよりは秩序と調和なのだと思う。
伏線をはりラストに繋がるのはミステリーのよう。
ヴィルヘルムは受動的で思想は語るがキホーテのように積極的に行動しない。スタンダールの『パルムの僧院』のファブリスにも繋がりそうだ。ファブリスは思想を語ってなかったと思うが。理想の女性の探索はアーサー王と円卓の騎士たちの聖杯探索の変形で、類型化された女性たちは『薔薇物語』の変形だろうか。 -
『ヴィルヘルム・マイスター』がようやくひとまずの完結を迎える巻。結社「塔」から修業証書を渡され、ヴィルヘルムの人間形成が達成された…と感慨に浸る暇すらなく、新たな人間関係ができあがっていく。そういったストーリーを踏まえると、第8巻は余計とも言ってよいレベルの内容であるが、しかしここは『遍歴時代』に期待しつつ本の扉を閉じるべきだろう。
-
がっつりゲーテにハマるならこれ。ただ単に冒険小説として読んでも楽しいのだ。
-
下巻に入り話の展開がガラリと変わった。率直な感想として面白くなかった。ミニヨンに焦点を当てていたので、所々で出てくる愛くるしい仕草、歌、心の変化に心踊りながら読んでいて、最期の悲劇はとても胸が苦しくなった。だが主人公の女性に対する優柔不断な所に辟易とした。久々に読んで後悔した一冊だった