こわれがめ 改訳 (岩波文庫 赤 416-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003241639

作品紹介・あらすじ

オランダの僻村の村長で裁判官をかねるアダムは、恋する少女の部屋から逃げ出すさいに家宝のかめを壊してしまう。出女の母はアダムの恋敵である男を嫌疑者として告訴する。事件の取調べにあたるのは言わずと知れたアダム。自分の罪をかくして、なんとか男を犯人にしたてようと躍起になるが…クライストの傑作喜劇

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    ****************************オランダの僻村の村長で裁判官をかねるアダムは、恋する少女の部屋から逃げ出すさいに家宝のかめを壊してしまう。出女の母はアダムの恋敵である男を嫌疑者として告訴する。事件の取調べにあたるのは言わずと知れたアダム。自分の罪をかくして、なんとか男を犯人にしたてようと躍起になるが…クライストの傑作喜劇
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     著者の紹介。ハインリヒ・フォン・クライスト(1777〜1811年)はゲーテと同時代の人で出身地も彼と同じフランクフルトである。因みに「フォン」は貴族の生まれを示す。文学史的には古典主義からロマン派の過渡期の文学とされるが位置付けがかなり難しい人物とされている。彼は人中に数時間いてもむっつりと気重な沈黙を守った。そうでなければ口数が少なく、口が重く、口を開けばどもりがちだった。彼の人となりを語る文を抜粋。「彼と顔を合わせた人々はたいてい、彼に目を留めないか、申し合わせたように怖れと痛々しさを覚え、彼に背を向けた。彼の気心を知った人々は彼を愛し、愛した人々は彼を情熱を込めて愛した。とはいえそういう人たちの心をも、彼と同座しているとなんとも言いようのない不安が寒々とかすめ、心からの応対の邪魔立てをするのだった。相手に気を許すとなれば、このむっつりした男は胸の奥底をさらけ出した。だがこの奥底が奈落の底であることは、誰の胸にもすぐぴんと響いた。彼のそばにいて愉快になるものはいないのに、彼はごく親しい人たちを無性にひきつけてやまない。ひとたび気心を知ると彼を捨て去る者はいないが、さりとていつまでも傍についているわけにも行かない…」
     本作品は現在書店にて廉価で入手できる唯一の作品。『こわれがめ』は最初から行き着くところが約束された、いかにもといった、登場人物で構成されている。誰が甕を壊したか、という裁判を巡る喜劇なのだが、実は村長兼裁判官のアーダムが犯人であり、裁くべき人物が裁かれなければならないと云った面白い内容である。アーダムとその書記リヒトの会話から劇は始まるのだが、アーダムのいかがわしさ、リヒトの抜け目のなさが十分に開示されている。劇中アーダムの嘘がばれそうになって、それをまた彼が嘘で繕う。そういう堂々巡りの中で嘘が剥がれ落ちる。アーダムが犯人であるのを知っていながら弱みに付け込まれ口止めさせられていた娘エーフヒェンは容疑者に仕立て上げられたループレヒトとハッピーエンドを迎える。僕は怪しくて胡散臭いアーダムと純潔なエーフヒェンが特に好きだ。アーダムの怪しさは劇が破綻しようとするとスピードを増して、小気味良い展開に持っていく。このいかがわしさは凄いと思うのである。

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