トオマス・マン短篇集 (岩波文庫 赤 433-4)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243343

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  • ノーベル賞作家トーマス・マンの初期短篇を17篇収録。芸術と凡俗の対立や狭間を描く、清新で峻厳な作風が光る。

    予言者や神童、障害者やアル中など、常識的な生き方や俗世間から離れたアウトサイダーの姿を描く作品が多い。

    <幻滅>では人生の始めと終わりを意識させるある種の達観をみせる。
    <道化者>は世間と距離をおいた人物の独白。例えていえば「頭のいいニートが恋をしたら」といった内容で、自尊心と幸福について考えさせられる、とても現代的なテーマ。
    <トリスタン>はトリスタンとイゾルデの伝説になぞらえて、芸術と凡俗、恋愛と結婚を対比させる完成度の高い小品。
    <小フリイデマン氏>の心痛な結末、<幸福への意志>の清らかな愛が、それぞれに深く心にしみ入る。
    <ルイスヒェン><ある幸福>はそれぞれ、裏切られた配偶者の心理が繊細に描かれている。結末が真逆なのも興味をひくところ。
    <神の剣>は青年の純粋さが鮮烈で、本書で最も強いインパクトを残す作品。

    1929年にマンがノーベル文学賞を受賞した際には26歳のときに書いた『ブッデンブローク家の人々』が受賞理由として挙げられたそうで、本書は初期作品群とはいえ、早いうちからその天才の程をみせている短篇集だといえる。映像的にも印象深い作品が多く、折を見て再読したい一冊だった。

  • 「およそ不幸というものは、たった一つしかない――自分に対する好感を失うことである。」

  • 授業であつかったなつかしい泣
    『墓地への道』先生のお気に入りだった…

  • 誤解を恐れずに言ってしまうと
    やっぱり長編作家なのね、でしょうか。

    なんか「あ。これは、アレの前振りね」「これはアレの習作かあ」みたいなのが多くて・・・

    だってだって「魔の山」とはいかなくてもヴェニスかトニオくらいのは期待しちゃうじゃないですか・・・

    一番面白かったのは「神の剣」かなあ。
    ちょいと変わった傾向の話で、研究者的に面白いのでしょうか、論文がいくつもネットでひっかかりました。

  • 新書文庫

  • 長編「ベニスに死す」と同じく、短編も途中で哲学的な方向に暴走するのがトオマス・マン難点。愛犬家が読んだら激怒しそうな「トビアス・ミンデルニッケル」と、乱歩や夢野久作を思わせる幻想的な「衣装戸棚」の二編が傑作。

  • 幻滅、神の剣は本当に素晴らしい。幻滅は言葉が心に響き、神の剣はひたすら美しかった。訳が古いのが、逆に味があって良い。
    救われない、沈鬱な物語が多く、短篇であっても、実にトオマス・マンらしい。

  • ブックオフ太田、¥280.

  • ううん…面白いのかなぁ?古典系は文体で好き嫌い出ますよね、もしかしたら訳者が合わないだけかもしれないけど。

    「神の剣」の「知とは深刻な苦悩ですよ~…」ってくだりが好き。何も考えない方が愉快かもしれないけど、最後の最後で救われないかもしれないことを(いろいろ考えても悩むもののようにも思いますが)「知=煉獄の火」っていったのですかね。

    「小フリイドマン」に妙に心惹かれた。オスカー・ワイルド的ななにかを感じる。

  • ◎「幻滅」

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