トニオ・クレエゲル (岩波文庫)

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制作 : 実吉 捷郎 
  • 岩波書店 (2003年9月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243404

トニオ・クレエゲル (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読んだ感想を言葉にして片付けたくない珍しい作品。
    定期的に読みなおしたくなる。

  • 面白い小説がある
    こちらを引き込み夢中にする小説
    熱中して心が歓喜しうっとりとさせてくれる逸話。
    今回は違った、でもこの小説は非常に”意味の深い小説”なのだ。


    トーマス・マンの自画像的小説『トニオ・クレイゲル』
    よくぞ書いたと、思う小説だ。
    そして私はありがちにこの小説に躓いて悩まされてしまっている。
    この”共感”と”重なり合い”はあまりにも甘美だ。
    若いね、我ながら。



    芸術を描いた物語ね。
    それを掘った、というか深めたというか、
    一番適切なのは憧憬をもってして”ふたを開けた”という表現為なのかもしれない。
    快活な精神とともにエネルギーを健全な活動で消化できる存在。
    それとは対照的なマンの言う”凡人”たちの絵や言葉という表現に覆われた世界の中にしか出口を持つことができない存在。
    しかし、いわば光と闇の対比であるこの世の中を彼は第三者を設けた。
    マンは現実をちゃっかり持ち出してきたのだ。



    芸術とはそれが与える印象と同じようにけして美しい存在とは限らない。
    芸術とは”痛み”である。
    確かに『健全な芸術』というものもあるだろう。
    清らかな光、優しさや感動から生まれるものもある。
    しかし、それらをひっくるめての直接的な感情から錬成された芸術とは揺るぎない存在とあれるのか?
    それは、いわば多感な青春期に寄り添った芸術が見せた一種の幻影に過ぎないのではないだろうか。
    つまりそれは一種の感情や経験でしかなりえないのではないだろうか。
    私の考え得る「健全な芸術」とはそれ以外に考え得ない。
    つまり、私はそんな存在を知り得ていないのだ。



    芸術とは、人のロマンチシズムに寄生することでのみ存在できるのではないだろうか。
    それは侮蔑だろう。
    そして悲しみであり、哀れみでもある。
    だがそれはそれを享受できるという選民意識を与えもする。
    だが、どうだろうか、
    それでもやはり彼らはその上に生きる以外に道を持つことが出来ないのだ。
    光ある方向のものに”成れない”のだ。
    しかも、けして”そう成ろうとしない”からでもないのだ。
    ”成れない”のだ。
    どうあろうともそちら側に行けない。
    そうしてどちらの世界も見えてしまうものの苦悩は、いかほどのものか。




    この小説は、芸術が”侮蔑”ではなく市民権を得た今の世の中にあって、誰にも一種の答えと歓喜を与えてしまうだろう。
    ならば、誰をもがかい始めた一種の”闇”の特効薬として芸術はこの世の中をどう処方すればいいのだというのか。






    『芸術に生きることが出来たらどれだけ幸福だろうか

     芸術に死ぬことが出来たらどれだけ幸福だろうか

     芸術を失うことが出来たらどれだけ幸福だろうか』




    さて、
    あなたはどれだ、

  • トーマス・マン読みにくいとか言われたけどそんなこと全然ないと思う。
    自然描写がステキです。

  • 読んでて辛くなっちゃった。

  • 1990 読了

  • 難しい。読み進めていくうちにさらに難しい。言いたいことはわからんでもないが、私の学力が追い付かない。消化不良とはこれかもしれないなあ。彼の感じているものは一体今の世の中にどれだけいるのだろうか、という事を多く書いているような気がする。何を読んでも同じ感想しか書けないことが恥ずかしい。カフカに通ずるものがあったなあ。

  • トニオは道を踏み外した俗人。凡庸な人達の幸福な姿に憧憬を侮蔑を覚えている。芸術対人生というくくりが解説にある。普通の生活への憧れと嫉妬が強烈だ。

    トニオはインゲが自分にこう言わなければいけない、と妄想する。
    「私たちのところへ入っていらっしゃいな。機嫌よくなさいよ。わたしあなたがすきなのよ。」
    この場面、トニオが一人閉めきった窓際に立ち、遠いインゲの笑い声を耳にしながら妄想していた場面は情けなさと共感と同情で泣きそうになってくる。この小説の名場面だと思う。

  • 性別、国籍、時代を問わず、思春期の葛藤は生まれるんだなぁ
    自分にもそういう時があったと共感でき、また、大人になった今見る若者の態度に重なった

  • 成功した車輪の下

  • ハンスとインゲの住むリア充の世界に入れず、さりとて天才詩人として早逝する僥倖もないトニオは、世間的な成功を収めるも、生業としての売文業に人騙しのような罪悪感をおぼえて悶々としている。感傷から人手に渡った、かつての生家を訪ね、その後、デンマークの北の海辺の保養地へゆき、偶然にも大人になったハンスとインゲ夫妻に再会する。彼等のダンスを覗きながら、己がやはり永遠にリア充から疎外されているのを痛感し、悲しみにくれる。後半の「建物探訪」+「孤独のグルメ」=住居侵入及び無銭飲食容疑で職質されるみたいなくだりが哀しい。

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トニオ・クレエゲル (岩波文庫)の作品紹介

「最も多く愛する者は、常に敗者であり、常に悩まねばならぬ」-文学、そして芸術への限りないあこがれを抱く一方で、世間と打ち解けている人びとへの羨望を断ち切ることができないトニオ。この作品はマン(1875‐1955)の若き日の自画像であり、ほろ苦い味わいを湛えた"青春の書"である。

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