ゲーテとトルストイ (岩波文庫 赤 434-9)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243497

作品紹介・あらすじ

ゲーテ、トルストイを「自然」に、シラー、ドストエフスキーを「精神」に対比して、「自然」と「精神」の関係を論じたエッセイ。その関係を、それぞれが求めあう相互的な関係としてみようというトーマス・マンの論点は、彼の思想の重要なキーワードである「中間」「中間の立場」を理論的に述べたものとして重要視されている。

感想・レビュー・書評

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  • 文学作品よりもこの手の講演の方が、トーマスマンは得意だったのではないでしょうか。素晴らしいです。

  • タイトル通りの内容なのだけれどきちんとした意識を念頭にこの二人について、シラー、ドストエフスキーなんかも用いながら述べられている。二人に対して興味が持てるし、知る切っ掛けにもなれば語っているトーマス・マンにも親しみを覚えられると思う。とてもいい本だったと思う。読んで良かった。

  • ゲーテとトルストイを比較し、彼らに共通する思想を分析。この本を理解するには、それなりの教養が必要だなと思いました。

    ゲーテ「芸術作品が道徳的な結果をもたらすことは確かにありうる。しかし、芸術家に道徳的な意図や目的を要求することは、芸術家の仕事を駄目にすることを意味する」「私は作家たることを自分の天職としているが、自分が世界全体のためにいかに役立っているかを自ら訊ねたことは一度もなかった。私がひたすら努力してきたのは、自分の見識をより豊かにし、自分をより良くし、私自身の人格の内容を高め、そして、私が良しとし真であると認めたことを発表することだけであった」
    トルストイ「キリストの教えの意味は、キリストの名において、暴力によって社会を変革しようとすることにあるのではなく、人生の意味を見出すことにある」「もしも人間が、これほど鋭く決定的に判断したり、考えたりせず、また、永遠に疑問のままに止まるためにのみ与えられている問題に、必ずしも答える必要はないというふうに教わっていればよかったのに。人間がいかなる思想も誤りであると同時に正しいということを理解すればよいのに……人間たちは、この永遠に波立ち、寄る辺もなく、底知れず交りあった、善悪混沌のうちに仕切りを設け、この大海のなかに仮想の境界線を引いた。そして海がこの線に従って分割されることを期待している。この線のほかにもまったく異なった他の観点からの、そして別の平面の上に、何百万とも知れぬ区分が存在することを知らぬかのようである」

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著者プロフィール

【著者】トーマス・マン(Thomas Mann)1875年6月6日北ドイツのリューベクに生まれる。1894年ミュンヒェンに移り、1933年まで定住。1929年にはノーベル文学賞を授けられる。1933年国外講演旅行に出たまま帰国せず、スイスのチューリヒに居を構える。1936年亡命を宣言するとともに国籍を剥奪されたマンは38年アメリカに移る。戦後はふたたびヨーロッパ旅行を試みたが、1952年ふたたびチューリヒ近郊に定住、55年8月12日同地の病院で死去する。

「2016年 『トーマス・マン日記 1918-1921』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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