車輪の下 (岩波文庫)

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制作 : Hermann Hesse  実吉 捷郎 
  • 岩波書店 (1958年1月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243527

車輪の下 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 中学・高校時代の読書感想の対象本だったのを読み直してみました。

    古いせいか、訳はちょっと違和感ありますが。内容は色んな意味で良いです。巻末の解説にもありますが、暗記型の押しつけ教育を「大人の無理解・利己主義」と否定するもの。これがこの本の最大のテーマです。これを読書感想の対象本に選んだ先生のセンスもGoodでした。私立の進学校でしたけど(笑)

    それにしても、最近は暗記型押しつけ教育の復権って感じがしますが、いかがでしょ? 日経なんか見てると、「国際的に日本の若者の点数が低下した」「ゆとり教育のせいだ」と煽ってる印象がしますが?

    ま、テーマをちょっと横に置いて。原文を読んだわけではないのですが、訳文でもヘルマンヘッセのセンスは良いと感じさせられました。

  • 20世紀前半のドイツの詩人・小説家ヘルマンヘッセ(1877-1962)の自伝的小説、1905年。

    「若さ」という生牡蠣のように傷つきやすく鋭敏な感受性は、或る覚醒を契機に、「社会」という即物性・散文性に対して美的であることを、「社会」の規矩に対して自由であることを、その純粋さゆえに自己を滅ぼしかねないほどの極端な徹底さで以て、希求する。この潔癖にして感じやすい内面の直接的な純粋性は、「社会」という媒介的俗物性とは、本質的に相容れない。そして、この老獪な「社会」にあっては、そうした純粋性への志向それ自体が、恰も罪であるかの如く"矯正"の対象とされてしまう、純粋性のあらゆる疾走が禁じられてしまう。なぜなら、それは、「社会」の「社会」性、"中庸"と詐称されるその欺瞞的安寧を、紊乱しかねない不穏さを帯びたものであるから。よって、「若さ」という感受性は、「学校」という装置に於いて施される"特殊な訓練"を通して、美的志向に羈絆がつながれ、対「社会」向けに馴致されてしまう。純粋さとは、それ自体、反「社会」的だ。純粋さと折り合いをつけ得ない者は、「社会」の即物的暴力性を、まるで罰として、剥き出しの痛覚で以て受け止めねばならない。「社会」とは、即物的な生を――何事とも冷笑的に両立可能であるような中途半端な生を――強要する、暴力だ。現代、その暴力性は、20世紀初頭の比ではないだろう。

    少年は、「学校」と「homosociality」に組み込まれることで、「男性性」が心身に刻み込まれた「社会」人となる。

    一切奇を衒うことのない文体と物語は、その全編がハンスの内面そのもののようだ。

    「偉大な英雄的行為はできるが、日常の退屈な、こまかしい仕事はできない、という気持ちだったのである。そういうわけで、かれは再三再四、絶望的なためいきをつきながら、自分自身をかせのなかへはめこんだ」

    「そしてまたただひとりとして、学校と父親や二三の教師たちの、やばんな名誉心とが、このきずつきやすい人間を、こんなことにしてしまったのだ、ということを、ゆめにも考えなかった」

    「・・・、かれはみじめなきもちになった。あれだけの苦労と勤勉と汗、あれだけの投げすてられたささやかなたのしみ、あれだけの自尊心と名誉欲と、あかるい望みにみちた夢想――すべてはむなしかった。すべてはただ、今あらゆる仲間よりおくれて、みんなに冷笑されながら、最小の見習い小僧として、製作所へゆくことができるため――そのためのものだったのである」

  • 少年の青春時代の心の悩み、移り変わりが書かれた作品。それにしてもなんと可愛そうな。主人公はあまりにもまじめで、純粋だったためにこんな悲劇的なことになってしまったのか。周りの大人たちはなぜ何もしてやれなかったのか。悲しい悲しい結末です。

  • 受験戦争に勝ち抜いて神学校へ入学した主人公の少年が、アウトローな友人の感化でどんどん孤立、落ちこぼれ、鬱になって退学させられ故郷へ帰るもニート生活、やっと就職したのは肉体労働で、仲間たちと飲みに行って深酒するにつれて自分の人生に対して悲観的になり、うっかり自殺(事故死?)してしまうという、なんというか、普遍的な名作というのは、現代に置き換えてもありそうな要素を含んでるんだなあというお手本のようなお話。ラスト以外はほぼヘッセの自伝的な感じらしいです。あまり救いのない話ですが、神学校時代の描写は、さながら萩尾望都の世界で楽しかった(笑)。

  • 誇りと喜びにあふれて首都の神学校に入学したハンスがそこで見出したものは、詰めこみ主義の教育と規則ずくめの寄宿舎生活であり、多感で反抗的な友人の放校であった。疲れ果てて父の家に戻った彼は機械工として再び人生を始めようとするが……。
    重い「車輪の下」にあえなく傷つく少年の魂を描くヘッセの永遠の青春小説。

    初めて読んだのは中1の時です。旺文社文庫のものを読みました。
    『少年の日の思い出』の授業中、担当教師が薦めてて、なんなとく読みました。
    意味がわからなくて挫折しました。
    再読してようやく意味が分かったつもりです。

    周りの人々から期待されていたけど、期待に押し潰されてしまったハンス。
    タイトルの「車輪」というのは、彼の生きる「社会」なのだと再読して気付きました。
    優秀だったという過去の事実が、機械工として生きる道を妨げ、やがて死んでしまう……。
    死に方に「え!?」って思いました。どうしてそこに行っちゃったのって。
    ハンスに救いの手を差し伸べる人が居なかったというのが、何だかやるせないです。

  • ーーーーー完全にネタバレですーーーーー
    有名な作品ですし、ネタバレしただけでつまらなくなるような作品でもないと思いますが。これは、どうしてもハンスに感情移入せずには読めない。日本で教育を受けた人なら誰だってそうなのかも。ハンスはつめこみ教育と、まわりからの期待とに押しつぶされて死んでしまう。たぶん、自殺だったのだ思う。僕自身は、教育はある程度つめこみ的に行われるべきだとは考えながら、厳しい教育は受けたことがないし、両親にも過度な期待はされなかった。幸せに育ったものだなあ。感想になってないか。

    ヘッセの翻訳を読むのは、中学1年の時に、教科書にあった『少年の日の思い出』という、クジャクヤママユなる蛾をめぐる話を読んで以来。Wikipediaによればその作品は1947年から教科書に採用されていて、2009年度は81.7%の中学生が読んでいるというから、誰でも知ってる作品だ。ちなみに高橋健二訳。今回、積読していたこの本を読んだのは、この高橋健二が登場する『文学部をめぐる病』という本を読んでるうちに、読まなければと思うようになったから。あとは、たまには新書みたいの以外にも読まないと体に悪いかな、と。

    引用。「そしていつでも科学は、新らしい革袋に気をとられて、古い酒を忘れてしまったし、その一方、芸術家はのんきにいろいろとせんぱくな誤りを固執しながらも、多くの人達をなぐさめたり、喜ばせたりしてきた。批判と創造、科学と芸術のあいだには、昔ながらの、不釣合な戦いがあって、その場合、そうなってもだれのとくにもならないのに、いつでも前者は正しいとされるが、しかし後者は、信仰と愛情となぐさめと美と永世感のたねをまいては、再三再四いい土壌を見出すのである。なぜなら、生は死よりも強いし、信仰は疑惑よりも優勢だからである。」(p.51,52)科学と芸術、もしくは科学であろうとする神学と芸術である神学との対比。よくわからないですけど(訳のせい?)。

    訳は、まあ読みやすかったと思うし、気に入ったとこもあります。たとえばホオマアを辞書をひきながら読むときの、「ふるえるほどのいらだちと緊張に満たされて」(p.65)とかを読んで、ホメロスってそんなすごいのかあと。ただ、「車輪の下」というのが本文中に出てくるのを知ってたのに、どこだったのか気づかなかった。それは解説にもあるように、unters Rad kommenを直訳せずに「車にひかれる」としてるから。でも、車にひかれるだと、具体的過ぎて本当に車にひかれるということを意図しているようにしか聞こえない。多分、そうではないと思うのだけど。

    http://miura.k-server.org/newpage117.htmによれば、高橋訳、実吉訳とも低水準で、旺文社の岩淵訳(絶版!)がよいそうです。というわけで、感想らしい感想も書かずに終わり。

    訳・解説は実吉捷郎。

  • 百年以上も前の作品であり、神学校や田舎の暮らしなど、私たちの生活とはかけ離れているにも関わらず、少年の押しつぶされ傷ついた心に共感できる。
    心は不変なものだと感じました。

    神学校時代もそうだが、田舎に戻ってからの少年の、友も少なく死に囚われた描写が痛々しい。救われてほしかったけれど、悲しい最後でもやもやしました。

  • 優秀さ故に大人達から勝手に期待されて勝手に失望されて
    勉学と引き換えにせっかく築いたはずの友情は脆くも消え去り鬱状態になったあげく
    初恋の純情は弄ばれ
    仕事は二日目にして早くも苦痛で
    仕事仲間が一週間の楽しみにしているらしい酒盛りもそれほど楽しく感じられない
    そりゃ辛いよね…まして若くて繊細な子だもの…

    名作はどの時代にも通じることが描かれているから名作なのだと、改めて思った。

  • 洋物の小説は時に不可解なものでアール

  • 周囲の期待におしつぶされていく主人公。社会に出るまでの過程が
    描かれているのですが、きっと誰もが似たような経験があり、共感できる部分が
    多々あると思います。 悲しい結末ですが「自分は主人公とは違う!」という気持ちで読んでもらえるといいですね。

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車輪の下 (岩波文庫)の作品紹介

誇りと喜びにあふれて首都の神学校に入学したハンスがそこで見出したものは、詰めこみ主義の教育と規則ずくめの寄宿舎生活であり、多感で反抗的な友人の放校であった。疲れ果てて父の家に戻った彼は機械工として再び人生を始めようとするが…。重い「車輪の下」にあえなく傷つく少年の魂を描くヘッセ(1877‐1962)の永遠の青春小説。

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