三文オペラ (岩波文庫 赤 439-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243916

作品紹介・あらすじ

俗臭に満ちた登場人物たちが繰り広げる一大茶番劇。悪党が恩赦によって処刑寸前で唐突に救われるという皮肉たっぷりの結末は、いかにも「叙事的演劇」を唱えたブレヒト(1898‐1956)らしい。劇中に挿入された多数のソングは、クルト・ヴァイルによって作曲され、その魅力と相俟って最もポピュラーな作品となった。新訳。

感想・レビュー・書評

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  • 現象の再現でなく、異化効果を重視すると言われるブレヒトの演劇。政治やマルクス主義との関わりがあるというから、小難しい演劇かと思ったら、台本はとっても読みやすい。訳も新しいからか、80年代頃、日本の小劇場で行われている演劇みたい。まったく小難しい話ではない。

    従来の演劇は、「劇的演劇」と言われる。劇的演劇は、観客を役者に感情移入させる。出来事を舞台で再現して、観客に様々な感情を体験させる。

    対してブレヒトは自分の演劇を「叙事的演劇」と命名した。叙事的演劇では、現象の再現でなく現象の異化効果が行われる。日常繰り返している出来事とは違うことが、舞台上で行われる。観客は、自分の日常生活を新しい目で、反省的に見ることができるようになる。違和感から生じる新しい考え方。見慣れたものが、奇妙に見えてくる。劇的演劇は、現実から目を背けさせる美食家の演劇と言われる。叙事的演劇は、現実への認識を促す。

    以上の小難しい理論は抜きにして、『三文オペラ』は単純に面白い。

  •  1928年、クルト・ヴァイルの音楽つきで初演されたブレヒトの作品。かなり前に読んだものを再読。
     改めて読んでみると、結構面白い笑劇。主人公メッキー・メッサーをブレヒトは自ら「ブルジョワ」と位置づけているのが意外。
     げすな言葉が飛び交う、象徴的な意味のないナンセンスなコメディといったところで、感情移入を阻みどこかクールに笑っているような気配が、ブレヒトらしさなのか。

  • ブレヒトが手がけた、資本主義社会の風刺劇。序曲「Moritat」はあまりにも有名。

  • この本編とはまた別で、ポリーとルーシー、メックとブラウンの話が読みたい。


    メック
    「まあ、今は物語の初めだと思ってくれ。初めってやつは何でも難しい。……」

    ピーチャム
    「人のこの世の権利は
     幸せに生きることさ
     人生は短いから
     好きなことして生きるのは
     立派な生きる権利さ。
     でも、そうはうまくいくもんじゃねえ……」

  • 図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」

    クラブ・サークル名 合唱サークル

    請求記号:Iw-439-1
    所蔵館 2号館図書館

  • ハッピイエンドであった。

  • モリタートで三文オペラの存在を知って、ずっと気になってたあらすじをやっと知れた!
    なんじゃこりゃ、って感じだけど生で観たら結構楽しめそう。

  • 俗臭がぷんぷん

  • 山田うんさんがツイッターで「ブレヒトばかり読んでいたから…」とつぶやかれていたので、誰だろうと思って調べたらこの本が出てきた。それで、いつものごとくブックオフを巡回したら100円コーナーに発見。

    第二幕のフィナーレの歌が良かった。
    「諸君、どうしたらまともに生きられるか
     犯罪がやむかとお説教する先生たち
     まずその前に食うものをよこせ。
     お説教はそのつぎ、まず食うこと。
     自分の満腹と俺たちの善意を愛する諸君
     まずそのことを心得ておきたまえ
     どうごまかそうとはぐらかそうと
     まず食うこと、それから道徳。
     まず貧乏人までがでっかいパンから
     手前の分を切りとれること、これが第一。

     一体、人間はなんで生きるんだ?

     いったい人間はなんで生きる? たえず
     人を苦しめ裸にし襲い絞めそして食う。
     人間は生きているのさ、根こそぎ
     人間であるのを忘れることで。

     諸君、うぬぼれはやめたまえ、
     人間は悪業によってのみ生きるのだ。」

    われわれ日本人も様々な国や地域の人たちの過重労働や低賃金や貧困によって食っている。今や国内においても経済格差は広がり裸にされ襲われ絞め食われるものが出てきている。とても現代的な演劇なのではないかと思った。観てみたいなぁ~と思って、検索したら東京では9月に新国立劇場でやっていた。やはり東京は凄いなぁ~

    Mahalo

  • タイトルだけは知ってるけど内容はよく知らない…これもそんな1冊。ひとりの男を巡ってのふたりの女の応酬の場面が面白く読めた。古典作品の時代って結局は金持ちだけが得するような世界なのかな…。歌の場面が多いので舞台で見てみたい作品。2012/029

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著者プロフィール

ベルトルト・ブレヒト Bertolt Brecht(1898-1956)
ドイツの劇作家・詩人。1898年、バイエルン王国(当時)のアウクスブルグに生まれる。
ミュンヘン大学で哲学、医学を学び、第一次世界大戦末期に衛生兵として召集され反戦思想に目覚める。表現主義の影響のもと、劇作、詩作、批評活動をはじめ、1918年、戯曲第一作『バール』を執筆し、1922年に戯曲『夜打つ太鼓』でクライスト賞を受賞し脚光を浴びる。1928年に作曲家クルト・ヴァイルとの共同作品『三文オペラ』を上演。1933年のナチスによる国会議事堂放火事件後、亡命生活に入る。プラハ、ヴィーン、チューリッヒ、パリ、デンマークを転々とする。第二次世界大戦中はフィンランド、ソヴィエトを経て、1947年までアメリカに亡命。その後、チューリッヒを経て1948年に東ドイツに帰る。東ドイツでは劇団ベルリーナー・アンサンブルを結成し、1956年に亡くなるまで活動拠点にした。作品は『肝っ玉おっ母とその子どもたち』(1939)、『ガリレイの生涯』(1938-1955)、『セチュアンの善人』(1941)、『コーカサスの白墨の輪』(1944)など多数。
本作『子どもの十字軍 1939年』(原題)は第二次大戦中の1941年に書かれ、他の詩や短篇とともに『暦物語』(1948)に収められた。

「2023年 『子どもの十字軍』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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