パルムの僧院 上 (岩波文庫 赤 526-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003252659

作品紹介・あらすじ

優雅で美しく無垢な青年ファブリス。ナポレオン崇拝のあまりワァテルローの戦いに飛び出してゆく彼の衝動的行動から物語は始まり、波瀾万丈の展開をみせる。恋、政争、冒険、生と死。『赤と黒』と並ぶこのスタンダール(1783‐1842)の代表作は、一生のあらゆる段階で読み返されるに値し、そのたびに味わいを増すとまで讃えられる。

感想・レビュー・書評

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  • ファブリス・ヴァルセルラ・デル・ドンゴは北イタリアの侯爵家の次男。時は18世紀末。1796年5月、ナポレオン軍はミラノ入城。物語はこの地の状況、時代の空気から説き起こす。ファブリスはその翌年97年に誕生。そして1815年、18歳を迎える頃 ファブリスはナポレオンに憧れ、その軍勢に合流するため単身フランスへと旅立つ。
    ナポレオンを追って欧州の街道を往くファブリスは程なくその軍勢にまみえる。その地はワーテルローなのであった。イタリアの一青年が歴史の大きなうねりにいきなり放り込まれる、その展開の速さが小気味良い。

    “ナポレオン軍参戦”というファブリスの無鉄砲な行動はその後、彼の故郷で反体制的行動とされ、官憲の目を恐れる身となる。ファブリスはその後も、後先を考えない無軌道な行動を繰り返す。
    色恋から刃傷沙汰で人を殺めてしまう。青年期特有の若気の至り。青年期は状況を広く見渡せる視野を持ち得ないんだよな…とかつての自分自身の青年期を少しく回顧したのであった。

    一方、ファブリスのやらかし事件は、庇護者の伯爵夫人らの尽力奔走でカバーされる。金と人脈での揉み消し工作がなされるのだ。富裕な貴族階級の傲慢さ、時代の不合理を感じた。

    ・パルム公国は架空の国らしいが、パルマをイメージして読んでいいのか。
    ・ミラノ、フィレンツェなど、かつて自分が実際に旅した地も舞台になっていて楽しく読める。

    ・叔母である伯爵夫人が、ファブリスに恋心を抱き始める。親族なのに…、読み違い?…と戸惑いを抱き続けた。
    ・ファブリスは、自分は恋心を持ち得ないのでは? という疑念があり、それを確かめるべく、無闇な恋愛を繰り返す。( このこと、このサブテーマは後半・下巻でも展開されるのか。 )

  • 新潮社の大岡昇平訳は読めたものではなかったが、これは読める。

    とりあえず上巻を読み終わったが、名作と言われる理由がまったく分からなかった。

    ファブリスの行動の動機がよく分からないし、恋をするような情熱が自分の中にはないと言いながら、その辺の女にすぐちょっかいを出すし、トラブルになると叔母や叔母の恋人(伯爵)が助けてくれる。。。そんなとりとめもない話が展開していく。読み進めるのがちょっと苦痛である。

    とにかく、がんばって下巻まで読んでみる。

  • 下巻にまとめます

  • 駆け引きが最も面白いところであり、この点はディケンズを越えているが、全体的には。。。。

  • ファブリスは、十町ばかり来てからふりかえって見た。だれも追ってはこない。家は炎につつまれている。ファブリスは例の橋を見た。傷を思い出した。… この朝わが主人公は実に冷静だった。多量の出血で、その性格の小説的なところが、すっかりきえてしまっていた。

  • 作者が地の文で読者に話しかけるのは、古くさい表現かもしれない。
    でも、スタンダールの話しは、なんだかついつい耳をかたむけてしまう。

  • 上下2巻のうちの上巻を読み終わった。翻訳文を読みなれていないので少し読みにくかったが、書いてあることはわかりやすかった。この上巻では主に、ファブリスがいかにイケメンであったかについて語られている。本当に、この物語は「イケメン」ということを主軸において書かれているといっても過言ではない。上巻を読み終わって振り返ると、序盤はファブリスの少年らしい向こう見ずなところに重点が置かれていたが、中盤からは、ファブリスに心を惹かれる女性の話が大部分であった気がする。なんか途中から源氏物語を思い出してしまった。イケメンは何をしても「女性からは」許されるのだよね…。パルムの城塞が須磨に見え、クレリアが明石の君に見えた僕なのでした。

  • 上巻読了。ほぼ完璧といって過言ではない展開。
    スタンダールのもう一つの代表作である赤と黒以上に人間描写や物語性が優れていると思う。
    ナポレオンのワーテルローの戦いを背景とし、伝統的な中世を面影に移り変わろうとする時々や人間の抱く普遍的な愛情や憧れが集約される。

  • ラノベばりに登場人物の年齢が低くて、30過ぎると立派な婆さんな世間で話がまわっている。ざっくりした筆遣いで描かれた油絵のような世界。国境をくぐっての逃亡が面白い。

  • こんな男いるかよっていうくらいモテる男の話。作者は全然モテない醜男だったらしい。きっとそのコンプレックスが主人公ファブリスを生みだしたんだろうね。そんなファブリスが19世紀前半のイタリアを舞台に己の感情の赴くまま突っ走る!色々な味わい方ができる名作です。

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著者プロフィール

スタンダール(本名アンリ―・ヘール)は、フランス革命からはじまるフランスの歴史的な激動時代を生き抜いた、フランスの代表的な作家。著書に「赤と黒」「パルムの僧院」「恋愛論」など。

「2016年 『ディズニープリンセス 「恋愛論」 Disney Princess Theory of Love』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スタンダールの作品

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