ノートル=ダム・ド・パリ(下) (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253281

作品紹介・あらすじ

無実の罪で死刑を宣告されたエスメラルダ。カジモドはノートル=ダム大聖堂に彼女をかくまい、おずおずとした愛情で優しく見守る。一方、エスメラルダへの狂おしい想いに取りつかれたクロード・フロロは、苦悩に満ちた愛の告白をする。エスメラルダは実の母親との劇的な出会いを果たし…。物語は佳境を迎える。

感想・レビュー・書評

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  • 醜いが純粋に人を愛するカジモド。聖職者でありながら肉欲に狂わされるフロロー。一途で美貌を持つも卑しい身分のジプシー。地位も美貌も兼ね備えているのに女癖が悪いファビュス…誰一人として欠点のない人物は現れない。そして、望むものを得られた者も誰もいない。それだからこそ、極限状態の人間の感情が生々しく伝わってきて、怒涛の人間ドラマに圧倒され、下巻は一気に読んでしまった。
    上巻の建物や街の描写にくじけてしまった人も、どうか、下巻までたどり着いて欲しい。これほどまで時間を忘れてページをめくる手が止まらなかった本に出会えてとても幸せだ。

  • 図書館で借りた。
    一人の少女を巡って邪恋・嫉妬・愛憎さまざまな感情渦巻く名作小説の下巻。叶わない恋がドラマを生む。
    下巻のほうが分厚く、500ページを超えた。文庫と言っても甘く見ると読み終わらない大作。

    鐘つきのせむし男にスポットが当たりがちな印象だが、個人的には司教補佐フロロも悪者ではなく、悲劇的なしてはいけない恋心を抱いた主人公に映った。見ようによっては現代の生徒に手を出すロリコン教師のように映るのだろうが…。

  • 表題はよく聞くのだが、読んだことはなかった「ノートル=ダム・ド・パリ」。というわけで今回初読。そして驚いた。こんな内容だったとは…。

    異形の者を含む下層市民らが跳梁跋扈するパリ市中の路地の一角は、あたかも治外法権のような「泥棒どもの王国」。その奇想な感じが力強く魅力的である。そして、その異形な者ども、下層の市民らが蜂起しノートルダム寺院を「攻城」する場面など、一大スペクタクルではないか!

    <以下、特にネタばれ>
    そして、最も驚かされたのは、主要登場人物が皆死んでしまうこと。惜しげもなくというか、作者はためらいなく彼らを殺してしまう。ほぼ全滅である。ヒロインである美貌の娘エスメラルダは、一時は処刑の危機から救出されるが、再び囚われ絞首刑の場へ。ヒロインであるから、例えば「三銃士」なんかだと、危機一髪で救いだされると思うのだが、死んでしまう。しかも、繩につるされて揺れる様を描いて、残酷さ、描写に容赦が無い。ヒロインなのに。しかもしかも、その直前には、エスメラルダの母も、母娘15年ぶりの感動の再会の直後、官憲(死刑執行人)に突き飛ばされて、敷石に頭を強く打ち、死んでしまう。救いが無い。(ちなみに、この母は、15年もの間、狭い石室に閉じ籠って祈り続ける苦行生活を送ってきた。中世的な地獄で、その半生も強烈である)。

    他にも、司教補佐クロード・フロロは、カジモドの手でノートルダム寺院の高所から突き落とされ墜落死。「悪役」ではあったが、それにしても、である。
    かようにして、無常非情なのである。未試聴だが、この原作をどうやってディズニー映画にしたものか、興味津々である。
    司教補佐が娘エスメラルダを執拗にストーカーし、聖職の身からすっかり狂気の男になってしまうなど、造形される人物像が強烈である。司教補佐の弟ジャンのチャラ男ぶり、ダメンズぶりも造形が濃い。そういえば弟ジャンも「寺院攻防戦」の折にあっさり殺されていた。
    なんとも濃厚で、エグイ物語を読んだな…という読後感である。
    終幕、エピローグ章で、何年も経ったあと、行方知れずだったカジモドのその後の姿が語られる。ここだけ、しんみりとして、ちょっといい話し。エスメラルダへの純愛純情を貫き、白骨の死骸を抱きしめるように亡くなっていたのだ。

    線の太い濃厚に造形された主要登場人物たち、狂気や感情爆発が連続する激しい感情表出、スペクタクル…。力強くエグイ。巻末解説では、ロマン主義の文学、と評しているが、私はなんだかゲテモノ小説を読んだ気分である(ほめ言葉である)。

  • 邪恋やら暴動やら、そして可憐な乙女の運命。
    フランス版時代物、大ロマン小説。

    ジプシーゆえに魔女狩りというのか、死刑を宣告されるエスメラルダ。その美しい娘はストーカー的に恋する中年の聖職者に追いかけられ、死刑から救ってくれた醜い背むし男にも純愛をささげられるが、娘は娘でちゃらんぽらん美男に恋焦がれるその行き違いの皮肉さ、どうしようもなさ。

    まあまあと、笑って楽しめたはずなんだけど、今は悠長に物語をたどっていく気がしないリアルの世界情勢。従って感想も何がなし滞ってしまってた。

    悪夢を見ているようだ、いえ、現実がフィクションを超えてしまった。
    人間の文明はどこに向かうのだろうか!

    この『ノートル=ダム・ド・パリ』の結末も救いがないとも言えるし、人間の業の深さは果てしがない。

  • 上巻の街並みなどの景観説明が必要だったのかが最後まで分からなかった。
    僕には必要ない駄文としか思えない。
    それに比べると下巻の物語の展開は凄まじく、面白い。
    フロロの鬼気迫る台詞は読む者を圧倒する。
    この物語には本当の悪人は出て来ない。
    精々、フェビュスの人間性に難が有るが時代背景や自分の恵まれた環境を考えれば仕方ない。
    なのに、皆が不幸になる。
    エスメラルダの母親の一生はなんだったのか?
    カジモトはフロロに育てて貰うより、捨て子のまま死ぬ方が良かったのではないか?
    このような酷い仕打ちを受けなければならないのか、遣り切れない嫌な後味が残る。
    人を愛する事は罪なのか?己の欲望を叶えようとする事が悪なのか?
    自分を見失った時、その人の人生は終わりなのか?

  • (上下巻)アニメやミュージカルにもなった「ノートルダムの鐘」の原作。舞台は1482年のパリ。醜い鐘番のカジモド、ジプシーの踊り子エスメラルダ、司教補佐のクロード・フロロ等の宿命に翻弄される人生が描かれる。なかなか本筋に入らず、建築や歴史、風習などの蘊蓄が続き挫折しそうにもなった。共感度0%のクロード・フロロですが、エスメラルダに対する狂気的な愛憎、聖職者としての苦悩には引きつけられその表現には背筋がゾッとした。下巻の後半部分はホラー小説を読んでいるような気分になった。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00230294

  • カ、カジモド〜!!!(泣)となりながら読了、司教補佐はジャニーズ用語でいうやらかしで、思い込みにより増幅された押し付けがましい愛情は凶器だなとしみじみ思った、、、フェビュスも司教補佐と同じくらいというか一番許してないです。

  • 劇団四季の公演を観に行く前に読み切るという目標を無事に達成できて満足。

    解説によると、ユゴーははじめこそこの作品を書くことに乗り気でなかったそうだが、結末を読んで、これが書きたかったのだろうと納得した。ディズニーのアニメは以前に観ているから、この陰鬱な物語がディズニーの手にかかるとあんなふうに作り変えられてしまうのか、というおもしろさがあった。ヒーローとヒロインのヘテロ恋愛というディズニー定形のハッピーエンドはあまり好まないが、エスメラルダのキャラクターはディズニーのほうがいい。ディズニーのほうのエスメラルダは、フィーバスが惹かれるのもやむなしという、自立した芯のある人間として描かれている。原作のほうは男の願望をつめこんだ、無垢でいたいけな少女という色合いが強く、おそらくユゴー自身がフロロにもっとも近いからだろうが、そのまなざしに気色悪さがある。原作ではエスメラルダの一方的な片想いに近く、フェビュス(フィーバス)はそれを都合よく搾取する、ただ軽薄なだけの男だが、原作のエスメラルダの幼さはその展開に必然性を与えるように思う。エスメラルダを人間としてあつかうのはカジモドだけだ。エスメラルダがカジモドを人間として扱ったから。

    登場人物の多くがそれぞれかかえる醜さがぐちゃぐちゃしていて、すごく読みごたえがあった。だからこそカジモドやエスメラルダの清らかさが燦然とまぶしく見える。

  • 映画、劇団四季を観た方にはオススメです。

  • 劇団四季の予習として。

    ディズニーでは「勇敢なフィーバスとかっこよくて美しいエスメラルダの愛」「フロロはただの悪者」のように描かれているけど、実際は卑怯でずるがしこい色男のフィーバス、弱くてわがままで他人に依存的、未熟なエスメラルダ。そりゃ16歳だもんな。わかってはいるが、女としては好きになれない。ディズニーのエスメラルダ程強くてすばしっこいわけでもないし。フロロの苦悩も人間らしい。カジモド、エスメラルダのこと「見た目さえ良ければいいのか!」と言ってるがそれはカジモドもフィーバスも同じなんじゃないかと。

    ディズニーは大衆・子供向きで、劇団四季はまだ原作に近い。カジモドも、ディズニーは弱い存在だが、原作・四季では力強いし。

  • 全く内容知らずに読んだのだけど…

    どうなるんだろう?!と。
    大丈夫だよね?って。
    レ・ミゼラブルは救いがあったものね…

    って読み終わったら、完全に悲劇やん!

    誰も助からないという。ハムレット かよ。

    冤罪は多かったとのこと、ひどい世の中だ。


    エスメラルダ、フェビュス殺しで絞首刑。
    フェブュス、司教補佐クロード・フロロに刺されたけど生きていた。それなのにエスメラルダの刑が確定しているし面倒なので放置したクソ野郎。
    それなのに、エスメラルダはわかっておらず、最後まで愛していた純粋おバカさん。
    おこもりさんは、エスメラルダの母親だった。最後に再会するけど、母親は頭を打って死ぬ。
    司教補佐はカジモドに突き落とされ死ぬ。
    司教補佐は完全なるストーカー。エスメラルダを手に入れたい一心で気持ち悪い。
    カジモドもエスメラルダが大好きだけど、完全なる片想い。
    ラストの墓の話もストーカーだわ。
    エスメラルダの気持ちを考えてほしい。

    男どもはろくな奴がいなかったな。

    エスメラルダと母親が逃げて助かってたら良かったのに。

  • 放置したが、読了

  • 読み応えあった

  • ここまで書く(描く)んやなぁ。
    精神的に落ち込んでしまいそう。

  • 退屈極まりなかった上巻とは違って、一気にドラマチックになって、最後は救いのない怒涛の展開に。ミュージカルを観る前に読み終わって良かった。

  • 気分悪い。

    登場人物すべて考えが足りない。レ・ミゼラブルより救いがない。

    それでもなお、ディズニー等の二次作品において、この世界観を崩してほしくはない。本作品はこれで完成している。手を加えるのは侮辱だ。

  • やはりユゴー…レミゼラブルと同様にロマンありつつ現実的なところで話が終わる。
    上巻と違ってどんどんストーリーが進むので途中、展開を予想して読み進めたくなかったです。オチまでは読めませんでしたが、悲しいお話だけどリアルな話だったんでしょうかね…。

    どうでもいいですが、私の中で赤毛のアンに続いて長ゼリフを書かせたらすごい人にランクインしました。

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