少年少女 (岩波文庫)

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制作 : 三好 達治 
  • 岩波書店 (2002年7月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (100ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003254318

少年少女 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • (01)
    少年少女は不幸から遠ざけられている。暴力や貧困から彼ら彼女らは守られている。誰が不幸を遠ざけ、誰が暴力や貧困から守っているのか、という裏の主題が見える。
    少年少女の世界に親や先生、老人といった他者も登場するが小さな世界に敵対(*02)してはいない。そして小さな世界は、主に少年少女の自治によって守られているようでもある。そこに労働はなく、休息や遊戯、そして散歩が自立的に営まれている。
    こうした小さな「かわいい」世界がどのように維持されるのか、大人の自覚は今一度、考えてみてもいいだろう。あるいは、世界にはこのような「かわいい」一隅があるからこそ、大人も子どもも生きていかれるのかもしれない。

    (02)
    子どもの友は子どもだけではない。動物、道具、植物、乗物がいつも少年少女の傍らにありながら、子どもの自立をバリケードのように守っているようにもみえる。友がきともいえるような状態に子どもたちはある。
    そしていつも求心的なのは、甘さ、温かさ、かわいさであり、少年少女はこれらの魅力のまわりをうろちょろしている。
    歌やリズム、ことばや運動が安息を調子づけている。ただこうした動きは、練習やものまねのような軽みがあり、この軽快さが天使のふるまいに近づけている。子どもたちに深刻さがないではないが、その深さや重さもきっと解消されるだろうというような楽観に支えられている。おそらく著者はこの楽観こそを、現実社会に対する救いとして、あえて、子どもたちを題に、その平和だけを取り定めて、本書の情景を描いている。

  • フランスの少年や少女の生活を描いた短編集。本当に美しい本だと思う。アナトール・フランスのふくよかで味わい深い文章、郷愁を誘うルグランの挿絵、詩人三好達治の達意の翻訳、この三つの要素が溶け合って、素朴な美の世界を作り出している。プロットで読ませる本ではないので、その点は物足りなさを感じるが、それを補って余りある内容を持っている。わずか2ページの作品「厩」が一番気に入った。馬を世話する少年を描きながら、子供を優しく励ます内容。作者の祈るような気持ちが伝わってきて、温かな気持ちになれる。

  • 子どもたちの生活を描いた掌編集。おつかいであったり、ままごと遊びであったり、兵隊ごっこであったり、魚釣りであったり、そんな日常の様子をごく短い文章で綴っています。ただそれだけなのに、めっぽう面白いのです。そこに少年少女が現れ動き出すのです。それこそが文章の力なのでしょう。
    アナトール・フランスが綴り、三好達治によって訳された文章によって、奥行きが生まれ世界が広がるのです。そして行間やその向こうにちらりと別の世界を垣間見るのです。
    一度に読んでしまうのが勿体なく、ひとつひとつを噛み締めるように味わいました。

  • 2010.9.9 読了

  • 人間だれしも子供時代がある
    子供時代の感覚は、徐々に失われていくものだ
    その感覚全てをもったまま大人になると、周りの人との違いや軋轢に苦しむだろう
    全てを失って大人になると、軋轢なくスマートに暮らしていけるだろう

    世の中には、その軋轢に苦しみながら生きている人が沢山いると思う
    苦しみながらも、その感情を昇華させ芸術作品を創作する、など
    発散方法を得た人がいる一方
    中にはストレスが所有欲へと転化してしまい、
    子供時代を象徴したものを蒐集しだす人もいる

    私もそんな折り合いをつけることが難しい感情に(一人で勝手に)悩んでいましたが
    この本に出会って、自分を認めてもらえたような気がしました
    大人になるための最低限の要点を掴んでいれば、そのままで良いんだよと、作者から応援されたような気分になれます


    平易でとても美しい文書は胸の奥の泉のような部分に
    ゆっくりと響いてきます
    フランス語が出来れば、原本で読んでみたいです

  • 易しい文章と内容とのギャップが魅力的。三好達治氏の訳がとてもすてき。

  • 2009.07

  • 短くて、教訓的で子供らしくて、安心してなつかしい世界に浸れる。それに三好達治のぎこちなく美しい訳文!最後の「ジャクリーヌとミロー」で本が閉じられるというのがふさわしかった。腕白小僧に内気な子、澄ました女の子の楽しい穏やかな話が続いた最後に、何かが失われる。淡やかな永遠も含んだ瑞々しい子供時代と言う道が、ふと途切れてしまう。その寂しさは誰の胸にも感触は残っており、それ自体が大切な共通の記憶になっているのではないかと思う。しかし失われるからこそ、現実ではない記憶の中で、秘密の道を人は作れる。だから、「ジャクリーヌとミロー」はラストを飾るにふさわしい。

  • 少年少女の出てくる短編集。

  • 三好達治さんの名訳。

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