魅せられたる魂 1 改版 (岩波文庫 赤 554-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003255414

作品紹介・あらすじ

裕福な家庭に育ったアンネットは、父の死後、異母妹シルヴィを知り、親しくなる。一方、破産を宣言され、恋人ロジェとも別れる。そして、彼との間に生れたマルクの母としてのたたかいの日が始まる。一次大戦前後のパリに生きる一人の女性を描く大河小説。

感想・レビュー・書評

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  • スタンダールの「赤と黒」がロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」だとしたら、「パルムの僧院」が「魅せられたる魂」にあたるのでは?

  • 「わたし結婚なんかしようと思わない。ああいう独占的な関係に適するようにわたしむいていないの。あなたは言うでしょう、幾百万という女がそれに満足しているのだ、わたしはあまり真剣に考えすぎるのだって。でもわたしはそういう人間なんです、わたしは何でも真剣にとるのです、わたしは自分を与えるとなれば、あまり与えすぎるのです。そうなると息もできなくなってしまう。首に石をつけて溺れるような気持なんです。それはわたしが十分に強くないからでしょう! わたしの人格は固まっていないのです。あまり強い絆――木蔦――はわたしの精力を吸いとってしまうのです。そしてわたしの分はいくらも残らなくなってしまいます。わたしは『相手』に気に入られようと、彼の望みどおりの理想像に似せようと一生懸命になるのです。そしてそれが悪い結果になるのです。自分の本性をあまり捨てると、人は自分に対する尊敬を失うのです。そしてもう生きては行かれなくなるのです。さもなければ、反抗して、人を苦しめるのです。・・・・・・わたしはひとりで生きるようにできているのです。(「魅せられた魂」ロマン・ロラン)

  • 百恵ちゃんが引退する少し前に「人はそれをスキャンダルと言う」というドラマをやっていた。サスペンスタッチでなかなか面白いドラマだった。
    その原作がロマン ロランの魅せられたる魂だと知って読んでみた。
    どちらも父親の死後、隠し子がいる事が判明し、腹違いの妹と出会うところから始まる。

    ドラマの蘭子はとんでもない性悪女で、何かと引っ掻き回してくれたけど、原作のシルヴィーは奔放なところはあるけれど、自力していて社会通念も持っている現代の我々からみたら好感度の高いチャーミングな女性。むしろ主人公のアンネットのほうが面倒臭い女。なんでしょう、自分から人生をややこしくしてしまっている。

    妹との関係、息子との関係、今後の展開が楽しみ。

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著者プロフィール

1866年、フランスの中部クラムシーに生まれ、1944年に没する。作家、音楽史家。第一次世界大戦中は反戦論を唱え、第二次世界大戦中も反ファシズムをアピールした。文学や芸術の領域で活動するだけでなく、現代社会の不正と戦い、人権擁護と自由を獲得するために政治的・社会的論争を起こし行動した。1915年、ノーベル文学賞受賞。主な作品に、大河小説『ジャン・クリストフ』、『魅せられたる魂』をはじめ、『ベートーヴェンの生涯』や『戦いを超えて』、『インド研究』などがあり、そのほか、小説、戯曲、伝記、自伝、評論、日記、書簡などの膨大な著作がある。

「2023年 『ジャン・クリストフ物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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