死都ブリュージュ (岩波文庫)

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制作 : 窪田 般弥 
  • 岩波書店 (1988年3月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003257814

死都ブリュージュ (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ・単純に筋だけ追うと大変めめっちいお話。
    しかし情景描写、小道具の使い方、全体を覆う憂愁が凄まじい。
    ・主役は町。
    ・町について語ることが自分について語ることになるという回路の発見。
    ・死にかけた町の中でジャーヌだけが生きている。町は彼女を放ってはおかないだろう。
    ・衰微するものへの哀歌。

  • <amazonからの転記>大学の授業で何年か前に読みました。
    象徴的な意味で、死ぬことなしには永遠という行為が得にくいこと、
    永遠であり続けるには、死に続けるしかないということが感じられます。
    死に続けるとは、時間を止めることなのか。
    無彩色のまち、黒い塔、鳴り響く教会の鐘、死したキリストを賛美する祭り。
    動いているはずのお話の中のまちが、時間を止めるように描かれているのは、
    まちを穏やかに死に続けさせるためなのかと思われます。
    そして死に続けるまちは、ずっとユーグのものとなる。

  • プログレバンド「夢幻」のアルバム『レダと白鳥』で、
    タイトルそのままモチーフにされた「死都ブリュージュ」
    を聴いて以来、気になっていた本をやっと読んでみた。
    そして、バレンタインデーであり
    同時に「ふんどしの日」でもある今日、読了。
    それはさておき(笑)
    愛妻に先立たれて悲嘆にくれ、喪に服す男が、
    ベルギーはブリュージュの街角で妻に瓜二つの女を見出す――
    という、
    19世紀末の作家ローデンバックによる小説。
    敬虔なカトリック信者としてのメンタリティが言動を抑制し、
    そこから生じるストレスが暴発して……といったところでしょうか。
    ともあれ、「男」と「女」と「古い街」の
    三角関係とでも呼びたくなる様相。
    挿絵代わりに鏤められた、
    運河を初めとする当時のブリュージュの風景写真が
    寒々とした雰囲気を一層盛り立てている。
    尚、20世紀に入って
    E.W.コルンゴルトによって翻案され、オペラとして上演されたそうな。

  • 最初は鬱々とした雰囲気がよかったし、描写も素敵だったけど、ジャーヌが現れてから魅力が半減。ただ情景を楽しみたかったのに。
    暗い気持ちのときに読んではいけない。

  • ベルギー、ブリュージュ、フランドル……、私にとっては霧に包まれたような不思議な響きだ。ローデンバック(永井荷風によればロオダンバック)という名も(彼の同輩は、メーテルリンク、それともメーテルランク?)。歴史的・文化的にも複雑だから、と説明することもできるけれど、まずもって私には、この『死都ブリュージュ』のイメージが鮮明だから、かもしれない。"BRUGES-LA-MORTE" を『死都ブリュージュ』とするのは間違いだ、と、森茉莉が熱弁をふるっているけれど、私には、これでいい。この物語の主人公は(本書解説にもあるように)ブリュージュという「灰色の都」だから。そのためにも、30葉余の写真が「書割」として必要だったのだから。宿命とか、(本人たちもあずかり知らぬ)深い血のつながりによる恋の物語、どうしてこのように心をとらえて放さないのだろう、私は幾度、この本を開いては溜息とともに閉じただろう。「解説」によれば、荷風は、ロオダンバックとレニエを愛したとのこと、宜なるかな。同じく荷風先生による、掘割の都としての、ヴェネツィア、ブリュージュ、そして島原…、ああ、なるほど。

  • 試みはおもしろいが、うまくいっているようには思えなかった。

  • [ 内容 ]
    沈黙と憂愁にとざされ、教会の鐘の音が悲しみの霧となって降りそそぐ灰色の都ブリュージュ。
    愛する妻をうしなって悲嘆に沈むユーグ・ヴィアーヌがそこで出会ったのは、亡き妻に瓜二つの女ジャーヌだった。
    世紀末のほの暗い夢のうちに生きたベルギーの詩人・小説家ローデンバック(1855‐98)が、限りない哀惜をこめて描く黄昏の世界。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 悲嘆した金持ちのオッサンが死別した妻に似た女を見かけて・・という三文オペラな小説。正直、なにが佳いのか分からなかった。
    ブリュージュは最も繁栄したのが14世紀から15世紀にかけてであり、静かに衰退している町が、亡き妻と重ね合わさって「死都ブリュージュ」らしい。
    ブリュージュ住民にはすこぶる評判が悪いらしいが、それはもっともだ。

  • 亡き妻への想い、敬虔な宗教心、と息苦しい程の静謐さが支配する作品の中で、ただ一人ジャーヌだけが現状に飽き飽きし侮蔑している。その不協和音が増せば増すほど読者の苛立ちもまさり、主人公との同調を余儀なくされるだけにプツリと音楽が中断されたような終わり方にハッとさせられた。印刷の都合かもしれないがエッチングのような街の挿入写真が良く合っていた。

  • 過去の幻影にとらわれ、亡き妻に似た女性を追うユーグの物語というよりは、作者のはしがきに生きているとおり、ブリュージュという都の物語と意識して読むほうがひろがりがある。ただ、現実のベルギーの都ブリュージュは作者の生前から、「死都」などと形容されることに異議を唱えるような、美しい観光都市である。フェルナン・クノップフに深い感慨を持つ画家として、私はこの作品を読んだ。珠玉の名品。

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死都ブリュージュ (岩波文庫)の作品紹介

沈黙と憂愁にとざされ、教会の鐘の音が悲しみの霧となって降りそそぐ灰色の都ブリュージュ。愛する妻をうしなって悲嘆に沈むユーグ・ヴィアーヌがそこで出会ったのは、亡き妻に瓜二つの女ジャーヌだった。世紀末のほの暗い夢のうちに生きたベルギーの詩人・小説家ローデンバック(1855‐98)が、限りない哀惜をこめて描く黄昏の世界。

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