人はなんで生きるか 他四篇(民話集) (岩波文庫 赤 619-1)
- 岩波書店 (1965年7月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003261910
感想・レビュー・書評
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トルストイさん、愛だろ、愛!
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表題作「人はなんで生きるか」
トルストイが「民衆自身の言葉で、民衆自身の表現で、単純に、簡素に、わかり易く」をモットーに1年を費やした作品。
キリスト教のことはよく分からないし、聖書のことも知らない私でも非常に心が洗われる作品でした。
ラストにかけて光り輝く壮大な光景を目の当たりにしたような気持ちになれました。
「二老人」は形式的キリスト教徒と、真のキリスト教徒とを対立させているということですが、表題作よりも慈悲の精神、惜しみなく与える、の度が過ぎていてちょっとびっくり。
幾度となく禿頭が光り輝く、というシーンが出てくるんだけどその度シュール過ぎて、、、
何せトルストイの絵画的色彩描写がそれだけ凄かったのです。
「火を粗末にすると―消せなくなる」
「ろうそく」では悪をもって悪に抗するな、の思想の具現化。
説教的な内容ですがやり合う内容や言葉がなかなか大レベル。
消えないロウソクや、管理人の最後の理由がよく分からず何度か読み返した。
「愛のあるところに神あり」靴屋のマルツィンが、神のために生き、最後には彼の元へ救世主が来られたのだと悟る、という話。 -
はっきり言いますと、ここに書かれている話は現実と比べれば綺麗事なのかもしれません。ですが、それに対する嫌悪感は全くなく、むしろ大人の私でもストンと心に落ちるような話が多かったですね。
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私はキリスト教徒ではないが、心に響くものがあった。善について考えさせてくれる良い短篇集。
私は最後の話が好き。 -
45年ぶりのトルストイ、読みやすい。
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安易な道徳的民話と思うことなかれ。
人生が如何に空漠な物かを悟れば悟るほど、この作品に描かれている人間の高潔さが理解できるようになってくる。 -
道徳の教科書。日本の宗教観に置き換えて読むこともできるので、とても読みやすい。「お天道様が見ている」「八百万の神」「人を敬う」というなじみの感覚と近いものを感じる。トルストイの作品は恥ずかしながら本書が初めて。他の作品も読みたい。
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簡素な文だがしっかりとしたメッセージが込められてる作品。人は生きてく上で大切なことを見失っていく。それは愛や憐み、贈与の精神などである。現代に必要なのは宗教なのかもしれない。それは形式的な意味でなく、精神的な意味で。