- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003262276
感想・レビュー・書評
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チェーホフが「自分を鍛えなければなりません」とサハリンを調査して回った紀行文。まあこつこつと調査しているのだが、目的が自己修練なのでそれほどカラフルな本ではない。それでもさすがなのはなにか文章にそこで暮らしているひとたちの息遣いを感じさせるものがあるからで、上巻を読み終わった今、寒くて湿気ていて茫漠とした土地を訪ねてみたくてたまらなくなっているのだった。
サハリンを植民地化するために送り込まれた囚人たちが、刑期を終えるとそのままサハリンに住み着いていく。北海道の開拓の歴史を思うと、もっと寒いのに無理じゃないかと思ってしまうのだが。現在までのサハリン史が気になる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チェーホフのサハリン島滞在記、上巻。
その村には何人の人間が住んでいて、彼らはどういう身分で……など、淡々と事実を記しながら、随所に作家的な描写が垣間見えるところが面白い。上巻の終盤、南へ移動する船内で、他の乗客との交流を描いた12章冒頭には、チェーホフの短編における人間描写に通じるものがあるように思う。
そういえば村上春樹の『1Q84』で『サハリン島』からの引用が幾つかあったなぁ……。 -
チェーホフのジャーナリズム精神みたいな雑な紹介のされ方をされて読んだ。流刑地サハリンでのインタビュー調査の話がメインではあるが、たまに民族間交流の話が出てきて、日本人との交流や、ギリヤーク人という民族が存在したことなどが書かれていて、こんな言葉を使うのが癪に障るが、「歴史の授業で教えられない」記録で面白い
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札幌に転勤して、サハリンには72時間以内だったらパスポートなしで滞在できることを初めて知った。
稚内から船でいくのだ。行こうかどうようか思い悩んでいると、1890年にはシベリアを横断してあのチェーホフが訪れていたことを知った。この本はその記録なのだ。
当時は流刑の地。いったい何のために苦労して30歳のチェーホフは向かったのか!? -
古本屋で。
あった~~!と衝動的に上下買ってしまったことを少し後悔する。
旧字体に細かい。作家自身の注釈が、一層細かい字!
アルションが単位として使われていた時代だ。。。
チェーホフは短命だった。還暦の心境が書いた時、そでに
本人自身の人生は晩秋に入っていたのかと思う。
サハリンの鉄道に魂を注いで働いている日本人を父に持つ人物をつい数日前、ニュース番組で見た、、そういえば。 -
佐藤 直樹 @naokisatoasyl
「ギリヤーク人は農業を大変な罪悪と見なしており、地面を掘り始めたり、何か植えたりしようものなら、その人間は必ず死ぬと信じている。」(チェーホフ『サハリン島』) -
2009/
2009/
復刊ドットコムより。