ティラン・ロ・ブラン 4 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003273845

作品紹介・あらすじ

北アフリカでティランは囚われの身となるも、ついにはイスラム教国を軍事的に征服したばかりかキリスト教に改宗させることに成功する。そして、ギリシャ帝国への帰途につき、想い姫とめでたく婚約したのだが、好事魔多し…。騎士道小説の金字塔、全四冊完結。

感想・レビュー・書評

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  • 3巻はこちら
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4003273834

    ついにティラン・ロ・ブランの物語が終結する。この物語を現代読者に向けて再評価したのは、日本語出版用に挨拶を述べたバルガス=リョサだそうだ。
    物語はカタルーニャ語で書かれたカタルーニャ文学だ。作者のマルトゥレイも決闘を重んじた騎士だった。この物語でカタルーニャの民族や風習、歴史や宗教、騎士道精神を書き記しつつ、物語としても楽しいものを創ったのだろう。
    後書きによると、騎士が出てくる話であっても「エキゾチックな架空との土地でスーパーヒーローの空想冒険・恋愛物語」は「騎士道本」といわれ、「現実に基づいた物語」は「騎士道物語」となるらしい。
    『ティラン』の場合は、基本的には現実に基づいている。魔法も出てこないし、夜寝るとかご飯食べるとかの人間の生活も行われる。
    私がこの物語を読み始めたのは『ドン・キホーテ』が愛読した物語だからなのだが、魔術とか悪魔とかを信じていたドン・キホーテは、「騎士道本」も「騎士道物語」も両方を楽しんでいたわけか。

    さて『ティラン』の3巻から4巻はとにかく戦争戦争戦争。私は子供の頃から日本や中国の軍記物を楽しんでいたのだが、戦死者の数の桁が違うんだ(-_-;) 
    こちらの四巻の巻末には、『ティラン』の移動した距離が書かれ、それはつまりは戦争の行われた範囲となっている。この広さで戦争していたらそりゃー戦死者と戦利品の桁が違うよなあ。

    ❐ティランくん、北アフリカでも大活躍
    北アフリカ大陸に漂流したティラン君、戦略に長けたキリスト教徒として戦争には勝ちまくり、占領地では誇りと徳の高い行いを見せる。
    そのため当初は敵だったアスカリアス王(24歳くらい)は、自分を打ち破ったティランにすっかり傾倒して義兄弟の契を交わし、キリスト教の洗礼も受ける。
    この後もティランは北アメリカ大陸のモーロ人を次々にキリスト教徒に回教させるのだった。

    ❐プラエールちゃんも元気だよ!!
    ティランと共に北アフリカに漂流したプラエールちゃんは、親切なモーロ人の奴隷になって(親切だとしても、立場はと主人一家と奴隷)2年が過ぎていた。プラエールの働きや機転を評価したご主人は、その地域の王族のジュスタ王女にプラエールちゃんをお勧めする。そこへちょうどティランの軍隊がやってきて徹底抗戦を宣言していた。懐かしいティランが同じ街にいる、プラエールちゃんは女王様にお使いを買って出る。そして身元を明かさずにティランに向かって「戦で制圧した私達をこれ以上苦しめることが騎士道でありましょうか。」と命掛けの大演説をする。
    最初は「奴隷女がつべこべ言うな、勝った我々の権利だ」という態度だったティランも、プラエールちゃんが「あなたのことを待っているギリシャの皇女様のことはお忘れでしょうか。」と語ったことにより、プラエールちゃんの正体に気が付き、愛しいカルマジーナ皇女への愛が心に溢れ出る。

    このティランとプラエールちゃんの交渉は50ページ近くに及ぶ。この時代、戦争に命をさらされる人々だが、戦争を回避するための話し合い、説得というものの重さを感じる場面だった。

    ティランは、プラエールちゃんを制圧したその地域の女王に任じる。しかしプラエールちゃんは数日間の女王様生活を楽しんだ後に時本来のジュスタ王女に領土のすべてを返し、ティラン軍とともにギリシャ帝国へ帰らんとする。
    そしてプラエールちゃんは、ティランの従弟であるアグラムン領主と結婚しました。この後勝ち続けるティラン軍にフェス(現モロッコの付近)の領土をもらったアグラムン領主とプラエールちゃんは「フェス国王と王妃」になった。
    プラエールちゃんはギリシャでは宮廷の皇女付きの侍女だった。王妃になってからも「ギリシャ皇女侍女なら申し分ない」として他の国の王族から迎え入れられる。宮廷侍女というのは家柄も高いだろうし、いまでいえば履歴書に書くと一目置かれる学歴または経歴って立場なんですね。

    なおアグラムンはスペインの地域であり、アグラムン領主は以前も出てきていたが急に「ティランの従弟」と紹介された。この物語ではこんな感じの「後付設定」がわりとある。『ドン・キホーテ』においては作者セルバンテスに物語の矛盾を指摘する声があったようだが、その元となった本物の騎士道本や騎士道物語では、後付とかご都合主義とか矛盾とかは気にされなかったようだ 笑

    ❐ギリシャ帝国は大変だった。
    ティラン不在のギリシャ帝国は戦争にも負けて領土を削られまくっていた。そんななかでちゃっかり総司令官になっているのが、ティランの甥で弟子でギリシャ皇妃の若い愛人のイポリトくん。イポリトだけは連戦連勝でギリシャ首都と皇帝一家の命を死守していた。
    カルマジーナ皇女はティランを夫にすると二人だけの誓いをたてていたが、ティランはカルマジーナ皇女に裏切られたと勘違いして黙って立ち去っていた。急に冷たくなったティランに戸惑うカルマジーナ皇女は、修道院に入りティランの無事を、もし死んでいるなら魂の安らぎを祈っていた。
    そんなところに、ティランが北アフリカ大陸でも大活躍、モーロ人を次々にキリスト教徒に回教させたという喜ばしい知らせが入ったのだった。

    ❐ティランとカルマジーナ皇女はついに
    この二人は愛し合っているが正式な寝台での行為は先延ばしになっている。今回はプラエールちゃんがティランをカルマジーナ皇女の寝室に招き入れて「今度という今度こそ最後までヤっちゃいなさいよ!?ここでヘタったりしたらあんたなんか勇敢な騎士じゃないからね!?٩(๑`^´๑)۶」とケツを蹴っ飛ばして寝台に送り込む。フェス王妃様になってもプラエールちゃんは変わらないのだったヾ(≧▽≦)ノ
    そしてこの行為場面が当事者であるカルマジーナ皇女の実況中継なんですよ。文学における性行為場面でこんな書き方は初めて読んだわ 笑・笑

    ❐マケドニア公爵夫妻のこと
    3巻からずっと捕虜だったティランの従弟のマケドニア公爵ディアフェブスも、ティランにより取り戻されました。
    いっときは「自分がギリシャ皇帝に即いちゃおうかな」くらいにブイブイ言っていたが、捕虜になったりまた助け出されたり、浮き沈みの激しい人生ですね。おそらくこの後のマケドニア公爵夫妻は、このまま裕福な人生を終えたのだと思う。

    ❐ティランの終幕
    ティランは正式にカルマジーナ皇女の婚約者となり、ギリシャ皇帝の帝位継承者、つまりは「カエサル」になった。カエサルというのはローマ皇帝の称号であり、副皇帝の意味もある。
    自分が不在だった間に(およそ3年かな?)失ったギリシャ帝国の土地をすべて敵から取り戻す。

    <しかし運命の女神は、人間がこの世において、それほど大きな栄誉と幸福を手にすることは許さなかった。なぜなら人間はこの世に置いてではなく、天国において栄光と幸福を褒美として与えられる存在として上に寄って作られたからである。P390>
    ということで、最強の主人公として縦横無尽の勝利を得まくっていたティラン・ロ・ブランは、突如病を得てそのまま死に至ってしまったのだ。
      うわあ、呆気ない。

    そしてカルマジーナ皇女は嘆いて嘆いて嘆いて亡くなり、さらにギリシャ皇帝も亡くなってしまう。
    なお、カルマジーナ皇女の死を前にした懺悔では「贖罪司祭は、教皇の大勅書によりコンスタンチノープル皇帝とその子孫たちの罪をしに際して許し、赦免する権限を与えられていた。それは歴代ローマ皇帝が協会に寄進をしてきたことにより得た特別な権利」(P420抜粋)と書かれている。
    あの世の沙汰も金次第ってやつですか^^;

    ❐その後
    物語はティラン死後のギリシャ帝国の栄光が書き連ねられていく。
    ティランの甥であり弟子であるイポリトは、ティランの死をそこまで嘆いていなかった。このままなら自分が皇后と結婚してギリシャ皇帝になれるからだ。そしてその通りになった。3年後に皇后が亡くなったのでフランス王女と再婚して、子供たちによりギリシャ帝国は栄えていった。
    イポリト皇帝夫婦は徳の高い人生を送り、天国での栄光が約束されているだろう。

    …いや別にね、勝ち取った人と地位についた人が違うってのはよくあるし(明治維新とか革命政権とか)別にいいのよ。しかしティラン急死のときには「人間はこの世で幸福を得るのではなくてあの世で褒美として与えられる」といっておきながら、イポリトのこの世でもあの世でも完全勝利は良いのか(ーー??)
    そしてセルバンテスの『ドン・キホーテ』で、アロンソ・キハーノの死の床でみんなは泣きながらももらえる遺産のことを考えると笑顔も出ていた、という記述を思い出しましたよ。 

    ❐神と戦争
    騎士が決闘や戦争をする正当性はすべて神を根拠にしている。
    ティランが圧勝寸前の戦いに向けて自分の軍隊に飛ばした檄で、彼らの生死や宗教に対する考えが出ている。
    「死を恐れて逃げるな、捕虜になって恥辱の生涯を送るより、カトリック教徒として名誉と名声を得て死んだほうがよい。殉教したものは天国に迎えられて主から栄光を賜るのだから。そして敵を皆殺しまたは全員捕虜にすれば、その評判が広がりモーロ世界中を震え上がらせ、我々は恒久的な平和を手に入れることができるんだ。だからこそ、敵とは休戦も和平もしない、命も財産も保証はしない無条件降伏を突きつけるだけだ。不服なら抵抗でも何でもしてこい。」(P286あたり)
    …これが「正義の騎士」の台詞なのか、現在では過激テロリストがいうような言葉だと思うんだ(-_-;) なんというか、この頃はユダヤ教、イスラム教、キリスト教の根本は一緒だよ、ということがもっと当たり前の感性で、言っていることも似ているんだろうか。

    この騎士たちは敵に対して容赦がない。正しいものに神はご加護をくださるので、文字通りに「勝てば官軍」なのである。負けたということは「間違っているということを神が教えてくれたのだ」と本気で信じているのだ。
    そこで勝ったら相手の物を徹底的に略奪する。登場する王侯貴族たちは大変な資産を持っているんだが、戦争相手からの略奪が正義であればこれだけ裕福にもなるよなあ。


    ===
    なんのかんのと長編物語を読み終わりました。
    最初は全4巻もあるーと躊躇ったのですが、読書は勢い、今読まねば一生読まないだろうと思って読み始めたら、読みやすいし話は面白いし、色々知ることや考えることもできたので案外早く読み終えました。
    その時代に、その土地でしか書けないものを読むと、その時の当たり前がそのまま感じられていいんですよね!

  • 北アフリカでモーロ人をやっつけ、キリスト教に改宗させたりと相変わらず大活躍中のティラン君。ギリシャのことはすっかり忘れたかのようにアフリカでもチヤホヤされていたところ、あるモーロ人の王女の奴隷になっていたピラエール・ダ・マ・ビダと再会。もう彼女ほぼ影の主役(笑)でもここまでですでにアフリカで3年の月日が流れていてびっくり。さらに1年くらい戦争して、やっと二人ともギリシャに戻れることに。

    正直4巻は半分以上アフリカでの戦争の話メインで、私が喜ぶ昼メロばりの恋愛パートが少なかったのでちょっと不満(笑)にっくき悪役乳母ビウダは、もっと痛い目にあって欲しかったんだけどアッサリ自殺して退場しちゃうし。でもまあ愛しの皇女カルマジーナ様と再会したティラン君がついに皇女様との寝室での戦いに勝利したのでまあよしとしておきましょう。

    しかしモーロ人相手に戦えば無敵、さらにあれほど鉄壁ガードだった皇女様の城を攻め落としたティラン君ほどの猛者も、突然の不治の病には不戦敗。皇女様との正式な婚礼を目前にしながらあっさりティラン君死去。あまりの唐突さに読者も呆然。

    アーサー王なんか読んでてもそうですが当時の人たちは何かショックを受けるごとに気絶、死ぬほど悲しい、死ぬほど嬉しいなどの理由でいちいち気を失うほど感情爆発させる傾向があったようですが、本書でももれなく頻繁にどのキャラも卒倒、しばしば本当に死にかけたりしつつも実際にそれで死ぬことはなかろうと思っていたら、ティラン君の死後ついに皇帝が嘆きのあまりショック死。そして皇女様も、あの方なしでは生きていけないと思いつめるあまりティラン君の遺体を鼻血まみれにしてしまうほど嘆き悲しみ、宣言通り死んでしまいます。嗚呼。

    ここで終わってもいいと思うんだけど一応補足的にティラン君亡きあとの話も少しあり。皇帝と皇女を同時に失った皇后様は、しかしゲス不倫相手だった息子のような年のイポリト君(ティランの甥っ子だったの?)を新皇帝として夫に迎え、しかし年上の皇后様がわずか3年で亡くなった後は若い後妻を迎えたイポリト君によってティラン君の血筋はギリシャ帝国皇帝として栄えましたとさ、めでたしめでたし。

    というわけで全巻読み終えたわけですが、なかなか楽しかったです。イスラム教徒との戦闘においては、いかにキリスト教の神が正しいか、異教徒を改宗させてお手柄的エピソードもかなり多いけれど、基本的には娯楽小説で、やっぱり当時の読者も恋愛ドラマや明るいエロを楽しみにしていたろうし、それを不道徳と叩かれないためにキリスト教でコーティングする目的もあったんじゃないかという気もする。キャラクター的には騎士としては完全無欠の聖人君子のわりに皇女の寝室ではデリカシーのないティラン君より、お堅い皇女様と恋バナ大好きなその侍女たち、とくに陽気で開放的な侍女ピエラールや、悪役だけど乳母ビウダなんかのほうが人間的な魅力があって好きでした。

    • 淳水堂さん
      yamaitsuさん 四巻読み終わり・レビュー書き終わりましたー(^O^)

      寝室の行為でカルマジーナ皇女がいちいち口頭説明してくるので...
      yamaitsuさん 四巻読み終わり・レビュー書き終わりましたー(^O^)

      寝室の行為でカルマジーナ皇女がいちいち口頭説明してくるので「これ読者聞いちゃって良いんですか?^^;」な気分に 笑

      四巻末に出ていた地図に『ティラン』の移動した道のりが出ていますが、この広範囲で戦争行われていたのか、とちょっとぐったりしました…。

      物語としても面白かったのですが、当時はあまり細かい筋とか気にしなかったんでしょうかね、イポリティスとイポリトがごっちゃになっていないかとか、アグラムン領主も従弟って急に言われたり、そもそもティランの一族がアーサー王にもつながるんだとか、今なら「後付設定」が多いような^^;
      まあこんなことを感じられるのも、人々が物語に求めていたものの変化(昔はそんなこと気にしない、今は突っ込まれまくる)が感じられて楽しいのですが。


      yamaitsuさんとはレビューの好みが合うし、おそらく行動地域も近かったですよね(ギンレイ範囲)?東京にいらっしゃる間にお会いしたかったかなあともちょっと思ったりもしました。お互いこの先もご縁があるとよいです★
      2023/09/20
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんばんは!(^^)!

      おお、読み終えられたのですね!さすがお早い!
      やはり娯楽小説として圧倒的に面白いことが重要ですが...
      淳水堂さん、こんばんは!(^^)!

      おお、読み終えられたのですね!さすがお早い!
      やはり娯楽小説として圧倒的に面白いことが重要ですが、もしかしてカルマジーナ皇女の寝室実況中継(笑)など、文学として斬新な手法の面でももっと評価されるべきなのかもしれませんね。

      現代作家が史料を読み込んで書く歴史大河小説ももちろん面白いですが、当時の人しか知り得ない情報がリアルタイムで盛り込まれた作品はまた一味違う面白さ。この読書でなかなか貴重な体験をした気がします。

      そうそう、淳水堂さんとは私も神楽坂界隈でお会いしてみたかった!コロナ前ならブクログオフ会とかやってみたかったですねえ☆またご縁がありますように。

      私は今読んでる本が終わったら、やっとドン・キホーテに着手します!
      2023/09/20
  • 色々あってついに出陣にこぎつけたティラン。しかしここまでのグダグダの展開を一掃するかの如く乗っていた船が難破して、着の身着のままで北アフリカに流れ着くのであった。現地のモーロ人に助けられるのだが、恩人の息子と主君の仇がキリスト教に改宗したから親友となり、恩人がキリスト教に疑念を抱くと激高して殺害してしまうあたり、レコンキスタ最高潮だからだろうが、キリスト教重視だと思う。最終的にはギリシャ帝国を救うことに成功するのだが、実際には本書が書かれる30年ほど前にコンスタンティノープルは陥落している。つまり俺Tueeeな各戦記なろう小説なのだ。
     しかし、本書の真骨頂は最後の解説にある。このティランという作品はなぜバルガス=リョサがかくも推していたのか、それは恋あり戦争あり心理描写ありの全体小説だったからだというのだ。確かに凡百のものであれば、かくも長く語り継がれることも、ブクログでツッコミを入れることもなかったであろう。本書の時代背景や当時の受け入れる風土にも言及があり、この解説も含めて「日本語版ティラン・ロ・ブラン」といえよう。

  • 「諸君、頭を高く上げよ。この世で命よりも大切な名誉のために戦うのだということを想え。そうすれば富も繁栄も自由も栄光も後からついてくるであろう」騎士道とは、結局、名誉なんだと感じさせられます。

    嵐にあい、漂流したティランは、北アフリカのイスラムと戦い征服する。そして、ギリシャへ最後の戦いに挑む。
    戦闘は知恵の争いと語るが、要は、奇襲戦なのでしょうか。微妙に相手を油断させ、そこを鋭く攻撃し全滅させる。これは、真っ当な闘いなのか、疑問が残る。

    そして、降伏したイスラムに対する対応(全滅を求める騎士と降伏を認める皇帝)が、騎士と皇帝を区分する。だから、ティランにはギリシャを治める術はなかったのかもしれない。そして、神に召されることとなる。ここで、甥のイポリト登場が自然な帰結なのでしょう。

    長い騎士道の物語がここで幕を閉じる。あらためて、西洋がこの時代から”対話”で成り立っていることを感じる。常に、意見と反論。立場や老若男女を問わず語り合う。日本の武士道とは似て非なるものを突き付けられたようです。

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