クオ・ワディス 上 (岩波文庫 赤 770-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003277010

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めるまでは二の足を踏んじゃうけど、一旦読み始めたらおしまい、中毒になってしまう物語。それが『クオ・ワディス』
    もう最初はね、登場人物やギリシャ神話の神々の名前に、ドラマティックな芝居の台詞のような会話の応酬などなど。わたし読めるのだろうかと不安一杯だった。
    でも、それぞれのキャラが個性的で想像しやすかったことで、頭の中でヤマザキマリさんの『テルマエ・ロマエ』風で彼らを登場させる。おぅ!これでバッチリだいっ。

    これは、ローマ帝国第五代皇帝ネロ、そうあの暴君ネロの時代のお話。
    ネロももちろん登場するのだけれど、この上巻で主要になってくる人物を4人紹介。

    《趣味の審判者》ペトロニウス。
    世渡り上手で色男、頭の回転は早いしネロにも信頼されている男。でも、出来すぎ感があって、ちょっと恐ろしい……あくまでわたしの印象!

    ペトロニウスの甥っ子。筋骨たくましい美貌の青年、ウィニキウス。
    彼は遊蕩に耽ってもある種の美的な節度を保つ心得があるとペトロニウスからお墨付きを貰っている……はず、はずなのにっ!
    登場は颯爽と爽やかだった彼が、恋した乙女リギアが姿を消したことから阿鼻叫喚!奴隷を殺しちゃったり酷い罰を与えたり、リギアへの想いも複雑怪奇。とにかくリギアのことしか頭になくなってしまった恋する男。節度ないないっ。
    お酒の席でリギアにしつこく言い寄り、滅茶苦茶嫌がっているのに無理やりお酒臭い接吻をしたこと。それが、一番の原因なんじゃなかろうか。百年の恋も冷めるってばよ!……あくまでわたしの意見

    そして、ウィニキウスの想い人。リギ族のお姫様。美しいリギア。
    彼女はウィニキウスのために策略したペトロニウスによって、自分を大切にしてくれていたアウルス家から皇帝のもとへと連れ出されてしまう。最初の頃、ウィニキウスのことは気になっていたのよ。でも、あの酒池肉林の宴で自分を大切な人たちから引き離した張本人が彼らと知るの。それにお酒を飲んだ彼の変貌振りにも恐れを抱いたのよね。自分を迎えにくると言われたことで、もう二度とあの家には戻ることが出来ないと悟り、逃げ出したの。
    彼女には信仰する宗教があり、その教えによって彼女には人を憎むことは出来ないし、逃げることしか許されなかったの。その宗教がこれからの物語の要になっていくよう。

    さらに後半に口八丁老人、哲学者キロン。もうこやつはね、うまいこと言ってはウィニキウスからお金を貰って、あっちとこっちを使い分けてる。つまりスパイ?いやぁ裏切り者だろ。そしてお決まりの小心者。さあ、上巻のラストの危機を彼はその口で逃れるのだろうか。

    さて。
    今のままのウィニキウスでは、絶対にぜーったいにリギアの愛を獲得することは無理ね。めちゃくちゃ自分勝手なお子ちゃまだし。(あの酒癖は治さなくちゃいけません!)全然魅力的じゃないもの。
    でも、リギアの信仰する宗教に触れたことで、何かしら彼の心にも変化が現れてくるのじゃないかしら。とにかく、その宗教はこの時代では迫害されてるの。この恋もこの時代の波も、これからどうなっていくのか。
    本当に面白いのよ~。

    • nejidonさん
      地球っこさん、あまりの嬉しさに思わずコメント欄を開きました。
      この作品は、10代の頃私のベスト本だったのですよ!
      もうもう、何度読み返し...
      地球っこさん、あまりの嬉しさに思わずコメント欄を開きました。
      この作品は、10代の頃私のベスト本だったのですよ!
      もうもう、何度読み返したことやら。
      確かDVDも出ていて、かなりクラシック版だったのですが
      そちらも見た記憶があります。
      主よ、何処へ、ですよね。クオ・ヴァディスの意味は。
      この作品に出会ったことから聖書を読んで、あれこれキリスト教文学を
      学んだという経緯があります。
      地球っこさんのレビューから、本を読むときの弾むような喜びが伝わってきます。面白いですものね!
      余談ですが、ローマ市内のヴァチカン市国にローマ・カトリックの総本山があって、
      そこからほんの数ブロック離れた地点に円形競技場のコロッセオの遺跡があるのですよね。
      それを思うたびに複雑な気持ちになります。
      風のように現れては消えるnejidonですが(笑)今年も
      こっそり&ひっそりよろしくお願いします。
      2019/01/02
    • 地球っこさん
      nejidonさん、明けましておめでとうござ
      います(*^^*)
      そしてコメント、ありがとうございます。
      nejidonさんとお久しぶ...
      nejidonさん、明けましておめでとうござ
      います(*^^*)
      そしてコメント、ありがとうございます。
      nejidonさんとお久しぶりに会うことが出
      来てとても嬉しいです!
      お元気でしたか?
      今、中巻を読みはじめたところです。
      ウィニキウスがリギアなどに看病をされ
      ながら、キリスト教の教えについていろ
      いろ考えているようなところです。
      このお話、面白いですね。
      おかげで今年は、古代ローマのことや宗教、古典文学などを中心に読書をしよう
      と思ってます。
      今はまだまだ知らないことだらけなので、
      ワクワクしています。
      nejidonさんも、いろいろ教えてください
      ねo(^-^)oワクワク
      2019/01/02
  • 古代ローマを舞台にした小説は今まで一切触れたことのないジャンルで、めっちゃ面白かった。
    海外の小説を読んでいると、必ずと言っていいほどキリスト教が登場してくるので、もう世界史=キリスト教なんだろうなーと思ってたけど、『クオ・ワディス』の時代背景はなんとキリスト没後数十年の超・黎明期。
    今では完全なマジョリティーであるキリスト教徒たちが異端者として迫害されているのも少し新鮮だった。物語はこれで終わらず、中巻下巻とまだまだ続くので、引き続き思う存分古代ローマの空気感を楽しみたい。

  • かのローマ帝国を舞台にした壮大な恋愛大河。
    泣いた。こんなに心が震える読書は初めてだ。
    愛している人、愛されている人、「愛なんてよく分かんないよ!」という人も、ぜひ。

    *個人的にはペトロニウスを推す。
    ♪Bartok「Romanian Folk Dances」と一緒に読むと雰囲気マックス。

  • 「ローマ―この頽廃の都では恋など懶い日々のほんの一興。だが、ウィニキウスは心のすべてを傾けた。相手はリギ族王家の娘、人質の身の上、そしてキリスト教徒だった―。ヘリニズムとヘブライズムの拮抗を背景に、壮大な歴史ロマンの幕が上がる」

    「時代の渦に巻き込まれたラブ・ロマンス。キャラがみんな立っててほんっとにおもしろい。」三宅香帆紹介より 

  • 4.12/438
    『暴君ネロの気紛れさえゲームのように楽しむ,美と快楽の信奉者ペトロニウス.一本気なその甥ウィニキウスは,リギ族の王女への恋からキリスト教に心を開き,やがてそのことがペトロニウスの運命をも変えていく.爛熟期の帝政ローマを舞台に,愛と暴力,信仰と頽廃が入り乱れて織りなす壮大な歴史ロマン.』
    (「岩波書店」サイトより▽)
    https://www.iwanami.co.jp/book/b248441.html

    原書名:『Quo vadis』
    著者:ヘンリク・シェンキェーヴィチ (Henryk Sienkiewicz)
    訳者:木村 彰一
    出版社 ‏: ‎岩波書店
    文庫 ‏: ‎355ページ(上巻) 上・中・下(全三巻)
    ノーベル文学賞

  • まだキリスト教が新興宗教の時代、というのはなかなか新鮮。しかし、面白くなりだすまでが長かった。ここからどう展開するか。
    ウィニキウスとリギアはどうなるかなぁ。DV野郎だけどね。

  • 悪訳で有名

  • ポーランドの作家シェンキヴィッチにより、1895年の著。文学的な文章が多く、ストーリー展開が遅いと感じた。

  • 面白くなるのは本を半分以上読み進んでからで、それまではひたすらくだらない演説ばかり。
    ここから先こそが物語りのキモなのか。

  • 色々な本を読もう、と思い立って年間100冊ペースの読書を始めてみたものの、自然と手が伸びるのはビジネス書や新書だったり、ライトノベルや漫画だったり。。これでは「色々な」とは程遠い。
    という訳でちょっとクラシックな本に手を出してみました。とは言え初出は1896年で、古典とは言いがたいのですが、描いているのはローマ時代。前に「古代ローマの饗宴」を読んでいたので、宴会のシーンなどはスッと入ってきました。

    キリスト教黎明期、ネロ治世下のローマで始まる恋愛譚。上巻はイケメン軍団将校ウィキニウスさんが女性に一目惚れして、病的に追っかけまわす?くだりです。なかなか良いトコロで上巻が終わったので、中巻が楽しみ。
    ペトロニウスやキロンといった、口から先に産まれてきました?系の話達者なセリフも見ものですし、キリスト教黎明期のローマの街の雰囲気はこんな感じだったのかなぁ、と思わせる描写はお見事(遥か後世のポーランドの人が書いたとは思えない!)。

    しかし、長い!まだ上巻を読み終わっただけなのですが、結構なボリューム。まぁ、まだ存分に楽しめそうです。

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