ロボット(R.U.R) (岩波文庫 赤 774-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003277423

感想・レビュー・書評

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  • 特別展「生誕100年|ロボットと芸術~越境するヒューマノイド」 | インターネットミュージアム
    https://www.museum.or.jp/event/99119

    ロボット - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b248450.html

    https://booklog.jp/users/nyancomaru/archives/1/4915665216

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      街角詩人ロボット / Bunkamura(渋谷) / チェコセンター東京
      https://tokyo.czechcentres.cz/ja/...
      街角詩人ロボット / Bunkamura(渋谷) / チェコセンター東京
      https://tokyo.czechcentres.cz/ja/program/robot-poet-shibuya
      2022/07/07
  • AI全盛期の現代に読む、1920年の「ロボット」。今でも作り続けられる「ロボットが人間に反旗を翻す」プロットの始祖と思うと感慨深いが、人と同等・人より優れたロボットへの根源的な恐怖を始めて捕らえたものといえるだろう。技術は進歩し、AIは普及する。私はAI肯定派で、このロボットのような汎用AIに不安を持ってはいないが、非常に面白く読んだ。
    ロボットに倫理観を持たせられるか?ロボットが労働を担うことになったら?生殖・出産とは?など、AIに関する真面目な議論の要素が既に描かれている。古びない古典。

  •  人間より強力な機械はあり、人間より早く正確に計算するコンピューターはあった。しかしコンピューターがチェス、将棋、囲碁で人間より強くなり、プロ棋士でさえコンピューターに学ぶようになると、価値観が変化する。囲碁ソフト同士が対戦を繰り返し、更に学習して強くなる現在である。
     今より100年近く前、今に近い状態(電子機器の発達によって)のロボットを想定し得た事は、作家の頭脳が優れていたのだ。
     人間を補助するための電子機器なら良いが、連結して反抗を始める時が来るかと、怖れる者の僕は一人である。
     この戯曲は長編で、上演に適しているかどうか判らない。僕の読むところ、人類が滅びロボットも滅ぶ、暗黒物語である。

  • 1989年初訳、2012年第21刷。その時に買って6年間ずっと積ん読状態だった。本棚の奥にあったわけではない。いつも朝食や夕食を摂る時に側にあり、テレビを見る時に側にあったのに、手に取らなかったのである。読めば数時間で読めるこの本のことを薄々は知りながらも、手に取らない、この悪癖は、思うに人間だけに身についたものかもしれない。

    ほんの気まぐれに手に取り、やはり一気に読んだこの本にはこの様に書いている部分がある。年寄りのロッサムは、ロボットを人造人間の様に作ろうとして失敗する。それを継いだ若いロッサムは、こう思うのである。

    ドミン 人間の組織構造を一目見てとるや否や、これはあまりにも複雑だ。よい技師ならもっと簡単に作れると分かったのです。そこで組織を作り変え、何を取り除けるかあるいは簡単化できるか実験を続けたのです。要するにグローリー様、退屈ではございませんか?​
    ​​​​ヘレナ ​いいえ、それどころかとても興味がありますわ。​​​
    ​ドミン それで若いロッサムが申しますには、人間というものは、例えば喜びを感ずるとか、バイオリンをひくとか、散歩に行くとか、そもそもいろいろ多くのことー本来はむだなことーをする必要があるのです。(略)若いロッサムは1番経費のかからない労働者を発明しました。それには簡単化しなければなりませんでした。労働のために直接役に立たないものはすべて捨ててしまいました。それによって人間をつくることをやめにして、ロボットをつくったのです。(24p)​

    AIと人間の違いが、おそらく此処にあるだろう。今からおよそ100年前(1920年)、チャペックはそのことを予言した。蓋し、おそるべし。

    このあと、人間の魂を入れてつくったロボットが反乱を起こす。人間は滅びる。ロボットの魂の秘密は、何処にも明らかにされない。ロボットさえもわからず、やがてロボットさえも滅亡する一歩手前で、ロボットが涙を流す。「ロボットの涙」これが象徴的に現れたのはロボットが生まれた直後だったのだ。映画「ブレード・ランナー」で「涙」が重要な意味を持ったのは記憶に新しいことである。人間は、なんと進歩していないことか。

    2018年10月読了

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      手塚治虫は、結構早くにチャペックの「山椒魚戦争」を読んでいたみたいで、「ロック冒険記」に結実しています。
      手塚もチャペ...
      kuma0504さん
      手塚治虫は、結構早くにチャペックの「山椒魚戦争」を読んでいたみたいで、「ロック冒険記」に結実しています。
      手塚もチャペックも、非人間的なモノに人間の業を仮託するのが好きな書き手なんだと思っています。。。
      2022/07/07
    • kuma0504さん
      猫丸さん、
      そうか最初は「ロック冒険記」だったのか‥‥。そういえばキチンと読んだことなかったかも。
      「山椒魚戦争」関連で言えば、てっきり「鳥...
      猫丸さん、
      そうか最初は「ロック冒険記」だったのか‥‥。そういえばキチンと読んだことなかったかも。
      「山椒魚戦争」関連で言えば、てっきり「鳥人体系」がそれかと思っていました。ロボットの反乱は、それこそ「鉄腕アトム」やいろんな作品で描いているし、確かに手塚治虫はチャペック大好きだったんだろうなあ。
      2022/07/07
  • 近未来。ロボットが人間が嫌がることを全てやってくれている世界。
    100年以上前に、これを創造するとは。

  • ロボットが「機械」よりも「クローン」に近い。今は今でまた考えさせられる。登場人物一人一人名前に込められた意味も奥深い。

  • この作品の本質は、シンギュラリティとか、人間とロボットの違いとか、そういう類のことではないように思いました。欲と物質と生産、愛と信仰と非生産、といったキーワードを中心に、人間とロボットが、どちらも生きとし生けるものとして、アダムとイヴの時代から近代までの観念をショートトラックでたどり直している、とでもいうのでしょうか…。
    生産のベクトルの究極に、子どもを産めないという非生産の人間世界がおかれているのは少しショッキングでした。
    登場人物の設定も興味深いです。特に紅一点のヘレナ。ギリシャ神話のヘレネーに由来していそうな気がしますが、そのヘレナが、ロボットの暴動においても破滅においても、鍵を握っているということ。一読しただけでは読み取りきれない深さがあると思いました。

  • 1920年に「ロボット」という語を生んだ有名な戯曲。チェコ語の"robota"(労働)から取られているというのも有名なエピソード。
    これだけ幅広く世の中に浸透した語なのですんなりと入ってくるが、作中に「ロボット」という語が出てくるたびに「よく考えたらこの本が初出なんだなぁ・・・」と、しみじみとさせられる。プロットも「感情を持ったロボットの人間に対する反乱」という現代から見たら非常にベタなものだが、これももちろんこの作品がオリジナル。
    最後の一幕は「新約聖書2ラウンド目」という感じでとても良い。
    AIが世間の耳目を集めている今だからこそ改めて読みたい一冊。

  • ロボット、という言葉の語源になった歴史的SF戯曲。ロボットもののSFが常に孕んでいるテーマの原点でもあり、いろいろ考えさせられる作品でした。

  • RURという原題を青空文庫で読んだ。英語版からの訳でキリスト教的な部分がかなり削除されていると訳者の後書きにあった。
    戯曲かドラマを次にぜひ見たい。

著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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