ロボット(R.U.R) (岩波文庫 赤 774-2)

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  • / ISBN・EAN: 9784003277423

感想・レビュー・書評

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  • 特別展「生誕100年|ロボットと芸術~越境するヒューマノイド」 | インターネットミュージアム
    https://www.museum.or.jp/event/99119

    ロボット - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b248450.html

    https://booklog.jp/users/nyancomaru/archives/1/4915665216

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      街角詩人ロボット / Bunkamura(渋谷) / チェコセンター東京
      https://tokyo.czechcentres.cz/ja/...
      街角詩人ロボット / Bunkamura(渋谷) / チェコセンター東京
      https://tokyo.czechcentres.cz/ja/program/robot-poet-shibuya
      2022/07/07
  • 言わずと知れたSFの古典。SF的な要素はもちろんだが、イメージしていたより、意外にも人間模様が豊かにはじける感情にあふれていてよかった。

  • カレルチャペックの別のエッセイで、翻訳者のあとがきに、ロボットという言葉を生み出したのは著者であるという記述があり、気になったので読んでみた。

    戯曲と呼ばれるジャンルを読んだのは初めて。
    舞台の写真も載っていて、上手から登場とかの指示も記載があって、本当に舞台の台本!

    ROBOTA(賦役)というチェコ語がロボットの語源とななったらしい。
    現在IT化やAIが人間の仕事を奪うと警鐘を鳴らしている人が多いが、すでに100年近く前に機械化が進むことに危機感があったのだろうか。


    召使のナーナは敬虔なキリシタン、もしくは保守派を代表する意見を述べる(ロボットは自然に反する、人間には罰が当たる)

    社長のドミンは冒険心と信念を持っている先進派を代表する意見を述べる。(人間は労働から解放される)

    妻のヘレナが怯えたのは
    人間の形をしつつ人間のような思考をしない未知の生き物なのか、
    それとも自分がロボットによって変質してしまうことか、
    神の領域に足を踏み入れてしまう罪悪感か


    なんだか聖書をなぞらえているようなストーリーでもあるし、機械化における人間の変質と退化を示しているSFのようでもあるし、色々と深読みできる。

    ただ、聖書の内容にうとい日本人なもので、ソドムと言われても調べないとピンとこなかった…。
    旧約聖書と新約聖書の違いは勉強しておこうと心の片隅に思った。

  • AI全盛期の現代に読む、1920年の「ロボット」。今でも作り続けられる「ロボットが人間に反旗を翻す」プロットの始祖と思うと感慨深いが、人と同等・人より優れたロボットへの根源的な恐怖を始めて捕らえたものといえるだろう。技術は進歩し、AIは普及する。私はAI肯定派で、このロボットのような汎用AIに不安を持ってはいないが、非常に面白く読んだ。
    ロボットに倫理観を持たせられるか?ロボットが労働を担うことになったら?生殖・出産とは?など、AIに関する真面目な議論の要素が既に描かれている。古びない古典。

  •  人間より強力な機械はあり、人間より早く正確に計算するコンピューターはあった。しかしコンピューターがチェス、将棋、囲碁で人間より強くなり、プロ棋士でさえコンピューターに学ぶようになると、価値観が変化する。囲碁ソフト同士が対戦を繰り返し、更に学習して強くなる現在である。
     今より100年近く前、今に近い状態(電子機器の発達によって)のロボットを想定し得た事は、作家の頭脳が優れていたのだ。
     人間を補助するための電子機器なら良いが、連結して反抗を始める時が来るかと、怖れる者の僕は一人である。
     この戯曲は長編で、上演に適しているかどうか判らない。僕の読むところ、人類が滅びロボットも滅ぶ、暗黒物語である。

  • なるほど初めて出現したロボットという言葉は、バイオロイドに対して使われたのか。
    チャペックが、(後代に与えた影響として)金属と螺旋のロボットを苦々しく思っていたということは、ロボットがそのまま人間の比喩だったことの証拠だろう。

    そして最後の人間は見送る側の存在になる。

    カリガリ博士思い出させる舞台の写真も素敵。

    再読すると、前半の巧妙さがはっきりとわかる。
    独特な人生観をもつドミン、俗な精神と高邁な理想を併せ持つ男たち、そしてひとり労働を忘れないアルクビスト。

    前半の主役は人間。
    後半の主役はロボット。
    前後半通してアルクビストは共通し、馬鹿娘のヘレナはある種イノセントな存在ロボットヘレナとして生まれ変わっている。

  • 1989年初訳、2012年第21刷。その時に買って6年間ずっと積ん読状態だった。本棚の奥にあったわけではない。いつも朝食や夕食を摂る時に側にあり、テレビを見る時に側にあったのに、手に取らなかったのである。読めば数時間で読めるこの本のことを薄々は知りながらも、手に取らない、この悪癖は、思うに人間だけに身についたものかもしれない。

    ほんの気まぐれに手に取り、やはり一気に読んだこの本にはこの様に書いている部分がある。年寄りのロッサムは、ロボットを人造人間の様に作ろうとして失敗する。それを継いだ若いロッサムは、こう思うのである。

    ドミン 人間の組織構造を一目見てとるや否や、これはあまりにも複雑だ。よい技師ならもっと簡単に作れると分かったのです。そこで組織を作り変え、何を取り除けるかあるいは簡単化できるか実験を続けたのです。要するにグローリー様、退屈ではございませんか?​
    ​​​​ヘレナ ​いいえ、それどころかとても興味がありますわ。​​​
    ​ドミン それで若いロッサムが申しますには、人間というものは、例えば喜びを感ずるとか、バイオリンをひくとか、散歩に行くとか、そもそもいろいろ多くのことー本来はむだなことーをする必要があるのです。(略)若いロッサムは1番経費のかからない労働者を発明しました。それには簡単化しなければなりませんでした。労働のために直接役に立たないものはすべて捨ててしまいました。それによって人間をつくることをやめにして、ロボットをつくったのです。(24p)​

    AIと人間の違いが、おそらく此処にあるだろう。今からおよそ100年前(1920年)、チャペックはそのことを予言した。蓋し、おそるべし。

    このあと、人間の魂を入れてつくったロボットが反乱を起こす。人間は滅びる。ロボットの魂の秘密は、何処にも明らかにされない。ロボットさえもわからず、やがてロボットさえも滅亡する一歩手前で、ロボットが涙を流す。「ロボットの涙」これが象徴的に現れたのはロボットが生まれた直後だったのだ。映画「ブレード・ランナー」で「涙」が重要な意味を持ったのは記憶に新しいことである。人間は、なんと進歩していないことか。

    2018年10月読了

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      手塚治虫は、結構早くにチャペックの「山椒魚戦争」を読んでいたみたいで、「ロック冒険記」に結実しています。
      手塚もチャペ...
      kuma0504さん
      手塚治虫は、結構早くにチャペックの「山椒魚戦争」を読んでいたみたいで、「ロック冒険記」に結実しています。
      手塚もチャペックも、非人間的なモノに人間の業を仮託するのが好きな書き手なんだと思っています。。。
      2022/07/07
    • kuma0504さん
      猫丸さん、
      そうか最初は「ロック冒険記」だったのか‥‥。そういえばキチンと読んだことなかったかも。
      「山椒魚戦争」関連で言えば、てっきり「鳥...
      猫丸さん、
      そうか最初は「ロック冒険記」だったのか‥‥。そういえばキチンと読んだことなかったかも。
      「山椒魚戦争」関連で言えば、てっきり「鳥人体系」がそれかと思っていました。ロボットの反乱は、それこそ「鉄腕アトム」やいろんな作品で描いているし、確かに手塚治虫はチャペック大好きだったんだろうなあ。
      2022/07/07
  • チャペック1920年作の戯曲。
    シンプルなストーリーでありながら根源的な問いを孕んでおり、読みながら色んなことを考えさせられる。倫理、人権、理性、差別、神性等々。
    ここにでてくるロボットは金属やプラスチックで作られた「機械」ではなく、人間のように生体組織をもった「生物」であり、今でいう「クローン」なのでなかなかに生々しい。当然倫理的な問題にもなってくる。現代も続く論争を予言しており「山椒魚戦争」にも通底している。
    RUR社の重役たちは彼らなりの信念や理想をもって仕事に取り組んできた。それが正しいかどうかは誰にも分からないが。
    やがて人間はなぜか子供を産めないようになり、対してロボットは意思と感情をもつようになって反乱を起こす。登場人物唯一の女性ヘレナの感情的な行為によって皆は窮地に立たされる。ただ一人生き残ったアルクビストは絶望の淵に追いやられるが、やがて愛し合う若い男女(ロボット)を見つけ、希望をもって新しい世界に送り出す...。
    西洋宗教は進化論を否定し、創造主があるとき突然に今のままの姿の人間、世界、宇宙を創造したとしているわけだが、ある意味、天地創造にまで思いを馳せる本著はSF小説としても永遠の輝きを持つだろう。

  • 近未来。ロボットが人間が嫌がることを全てやってくれている世界。
    100年以上前に、これを創造するとは。

  • SFの古典とされる戯曲。序幕含め、全四幕。原題はR.U.R(ロッスムのユニバーサル・ロボット)で、ロッスムはロボットを製造する企業名。本書内には、実際に登場人物を演じたらしい役者の古い写真が挿入されている。

    「賦役=robota(ロボタ)」を元にしたロボットの言葉が生まれた時点でその反乱がテーマだったこと、ロボットが機械仕掛けではなく生物学的人造人間だったことに驚く。解説では、各登場人物名の意味を知る。SFに慣れたいまの目で見るとストーリーに新奇さは感じないが、「ロボットの反乱」のオリジナルを確認できたことに満足した。

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著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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