ペドロ・パラモ (岩波文庫)

  • 岩波書店
3.92
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本棚登録 : 778
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003279113

作品紹介・あらすじ

ペドロ・パラモという名の、顔も知らぬ父親を探して「おれ」はコマラに辿りつく。しかしそこは、ひそかなささめきに包まれた死者ばかりの町だった…。生者と死者が混交し、現在と過去が交錯する前衛的な手法によって、紛れもないメキシコの現実を描出し、ラテンアメリカ文学ブームの先駆けとなった古典的名作。

感想・レビュー・書評

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  • 誰が生きていて誰があちらの世界の人なのかだんだんとわからなくなってくる。

    2回目の読書会の課題本

  • 1955年に刊行されたメキシコ文学。ある街の、そしてペドロ・パラモという男の盛衰を描いた物語。現在と過去、そして生と死の境を虚ろなものとして、断片を読み進めることで読者の中に物語の「像」を浮かび上がらせる。ふわふわゆらゆら、白昼夢のような本。

    適当ででたらめに見えて、精緻に構成された小説であり、一度読んで全てを汲み取るのは難しかった。どこかのんびりとした語り口も特徴的で、読む前に持っていた「死者の町」というジメッとしたイメージを乾いた手触りに変えている。

    ややネタバレになるが、これは「始まったときすでに終わっている物語」であり、時間が一方通行に進むのではなく、"断片として在る"というこの書き方・感覚は『あなたの人生の物語』に近いと感じた。

  • 岩波文庫のカバーに書かれた「ラテンアメリカ文学ブームの先駆け」というコピーのせいで、ブームが去って久しい今更読んでもなぁ、、、という感じがしてずっと積読状態だったのをようやく読んでみました。
    そういうの抜きにしてすごいやつでした。
    とりあえずは、”父親を探してコマラにたどり着いた「おれ」は・・・”、みたいにある意味普通にはじまったかと思うと、時間がきれぎれの無数の断片に散らばってしまう。最初はなんだこれ???と一枚一枚拾って読んでたら、ぼんやりと関係とか因果とかおぼろげに見えてくる。ふむふむおもしろいぞこれ、と思いながら終わりまでたどり着いて、ん?そういやなんか色々見覚えあるぞ、と思って最初に戻ると、完璧な円環構造にあることに気がついて、そのまま2周目突入。
    2周目になるとさらにあれはこれだったんだ!!という発見がありますます面白い。しかも文庫本で200ページ程度、という2周繰り返すのにちょうどよい長さ。
    でも技巧とか手法が前衛的で面白い、とかそういうことじゃなくて、誰もかれもが死んでいる神話的な世界においてはこう語られることに特段違和感を感じない。欲望と暴力に彩られながらも同時に詩情に満たされるというなんとも不思議な世界観にひたれます。
    なんかひさしぶりにガツンとくるやつでした。
    あと最初は絶対ネタバレなしで読んだ方がいい。”おれ”が実は・・、ていうびっくりは味わうべき。

  • 3.92/631
    『ペドロ・パラモという名の,顔も知らぬ父親を探して「おれ」はコマラに辿りつく.しかしそこは,ひそかなささめきに包まれた死者ばかりの町だった…….生者と死者が混交し,現在と過去が交錯する前衛的な手法によって紛れもないメキシコの現実を描き出し,ラテンアメリカ文学ブームの先駆けとなった古典的名作.(解説 杉山 晃)』(「岩波書店」サイトより▽)
    https://www.iwanami.co.jp/book/b248477.html

    原書名:『Pedro Páramo』
    著者:フアン・ルルフォ (Juan Rulfo)
    訳者:杉山 晃, 増田 義郎
    出版社 ‏: ‎岩波書店
    文庫 ‏: ‎223ページ

    メモ:
    ・世界文学ベスト100冊(Norwegian Book Clubs)

  • 1回読んだだけではわからない小説。
    メキシコ人の死生観について知るために読んだ一冊でしたが、この生死が混在している感じ、中々独特でした。

    解説にあった、メキシコ人は打ち上げ花火のようだというフレーズが駆け巡る小説でした。

  • 文体と物語、過去と未来、生と死、全てが渾然一体となっている。独特の読み味に病みつきになって、いつまでもコマラから出たくなってしまう恐れがあるので注意。

  • うなされるようなモノクローム万華鏡体験。ラテンプレイボーイズの音楽が聴こえてくる。

  •  2021年1月10日(日)読み始め、1月22日(金)に読み終える。本文を読み終えたのは21日(木)。

     魔術的リアリズム。台詞がだれのものなのかわかりにくくて読みづらい。何度か読み返さないとなかなかわからないのかもしれないなと。

  • 70の断片からなる夢というか悪夢のような小説。
    生者と死者が入り混じり、過去と現在を行ったり来たりする。

    墓の中で話をする死者たちは、どこか折口信夫「死者の書」の大津皇子の声のよう。湿った土とひんやりとした石に響く声。

    実際の話、そんな声が聞こえるかと聞こえない。
    けれど、生きている身近な人の声は聞こえるかといえば、それも怪しい。
    できるだけ、そのような声に反応できる耳と感性は持っていたいと思う。

  • もう少し経験値を積んでから再読する

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