史記を語る (岩波文庫 青 133-2)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003313329

作品紹介・あらすじ

司馬遷の著した中国最初の正史『史記』は、古代中国の社会と人間を生き生きと描きだし、日本でも広く親しまれてきた。中国史研究に多大な業績をのこした著者が、六十年にわたる『史記』研究にもとづき、『史記』の成り立ちと構造の全容の解明を試みた名著。『史記』の世界へと格好の入門書。「『史記』の中の女性」を併収。

感想・レビュー・書評

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  • さすが宮崎市定である。相手が司馬遷であろうが、書いたものをなんでもうのみにする男であるなど評価に容赦がない。ただそれでも嫌味にならないのは、宮崎自身が司馬遷と同じく自由を信条とする歴史家であることが随所から伝わるからか。

  • 222
    [司馬遷の著した中国最初の正史『史記』は、古代中国の社会と人間を生き生きと描きだし、日本でも広く親しまれてきた。中国史研究に多大な業績をのこした著者が、六十年にわたる『史記』研究にもとづき、『史記』の成り立ちと構造の全容の解明を試みた名著。『史記』の世界へと格好の入門書。「『史記』の中の女性」を併収。]

    目次
    1 『史記』読法―『史記』はどう読まれてきたか
    2 正史の祖―紀伝体の創始
    3 本紀―中国の弁証法
    4 世家―政権割拠の力学
    5 年表―どこまで歴史は遡れるか
    6 列伝―古代市民社会の人々
    著者『史記』関係論文一覧
    『史記』略年表
    『史記』の中の女性

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00224343

  • 司馬遷が生きた時代も、気が遠くなるくらい遥かな昔であるのに、『史記』に登場する人物の行動が、現代の我々にも、多く共感できるというのが非常に不思議ではある。

  • 宮崎市定らしい史記の紹介と解説・解釈。平易な文で読みやすいが、内容は含蓄に富み、流石碩学の書く本は違うと思わされる。司馬遷に対して若干当たりが強いように感じるのはご愛敬か。

  • 岩波文庫『史記列伝(全五巻)』および『史記世家(上中下巻)』を読む前に、本書を読了。本『史記を語る』で概略を知った後に『史記列伝』を読み始めた方が、頭に入りやすいと思ったため。宮崎市定さんの語り口が面白い。また普段あまり使わない表現にも多く遭遇した。

  • 1996年(底本1979年)刊行。中国の歴史書のテンプレートともなった司馬遷著「史記」。それを、本記、世家、表、列伝に分けて簡明に解説。個人的な見解も付与しているが、その記述された内容の説明に重点を置いているのが特徴か。個人的には、①各種制度の実情(封建制度と郡県制度との違い、秦漢の差異。さらには租税制度の実態と運用など)、②民衆の生活実態、農商工業の実情に興味があったが、あまり書いていない。本記・世家は英雄伝に近く、また、列伝も剣豪や義侠伝といった、庶民英雄伝に近いテーマだからである。

  • p.20
    自分自身を先達視するのは烏滸がましいが、この場合、やはりそこまで言わないと、意味が通じない。私には六十年かかった経験を、読者が一晩で卒業できるならば、それは全く無益な時間にはならないだろうと信ずる。

    そりゃもうドエライ方が、こんな風にしておもしろい本を書いてくれて、それが読めるなんて、本当にありがたいことです。

  • ミーハー的にキングダム(マンガ)の影響で手に取った本だったがかなりの良書。史記の解説を通じて、2000年前の中国が実に活き活きと歯切れ良く語られている。一読しただけでは初心者にはわからない部分がかなりあったけれども、もう一度読み返したくなる、あるいは関連書籍をさらに深堀したくなる類の書籍。学問に生涯を捧げた人間の文章はやはり一味違うな、と改めて思った。

  • 史記を全部読んだつもりになれる。伍子胥や趙高の馬鹿の話、刺客列伝は当時の舞台も影響しているのではないかという考え方にはなるほどと思える。

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著者プロフィール

1901-95年。長野県生まれ。京都帝国大学文学部史学科卒業。京都大学名誉教授。文学博士(京都大学)。文化功労者。専門は,東洋史学。主な著書に『東洋に於ける素朴主義の民族と文明主義の社会』(1940年)、『アジア史概説』全2巻(1947-48年)、『雍正帝』(1950年)、『九品官人法の研究』(1956年、日本学士院賞)、『科挙』(1963年)、『水滸伝』(1972年)、『論語の新研究』(1974年)、『中国史』全2巻(1983年)ほか多数。『宮崎市定全集』全24巻+別巻1(1991-94年)がある。

「2021年 『素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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