- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003314487
感想・レビュー・書評
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この時代の学者というのは、どうしてこのように大所高所から物事を見ることができるのでしょう。全体を見通す眼力、それにもかかわらずささやかなことも感知できる嗅覚、スケールが違うという気がします。たぶん、現在の学者先生に言わせれば、それは誤りだと思うところもあるのかも知れません。でも本書はエッセイであって、学術論文ではありません。それに、そういう細かい瑕疵を指摘するよりも、和辻哲郎の物事の全体をつかむセンスをこそ見倣うべきではないかと思います。
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2019/08/15
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土下座
思考という無知を超越した経験によって得られる一体感(今フロムの愛するということ読んでる)
それを拡充できないのはなんでだろう。 -
気軽に読むためには、ある程度知識が必要で、堅い印象も受ける。しかしそれを乗り越えられるなら、面白い随筆集だと思う。
和辻は、『古寺巡礼』『風土』などで有名であるが、随筆も上手い。様々なことに目を向け、鋭い感性を働かせ、思索を巡らせる。そして、随筆の形でそれをまとめている。
和辻の私生活に触れると同時に、有名人の様子も垣間見ることができる。漱石については、若干この随筆によってわたしの中の低評価が改められた。
知識人の論文などダメだという人でも、このレベルの随筆であれば何とかなるのではないだろうか。 -
和辻の随筆(本人は短文と呼んでいる)を集めたもの。日本の芸術、文化の美しさを丁寧な言葉遣いで詳細に表現している。人との交流についても細やかな観察力で描写している。特に夏目漱石については人物像を知る上で興味深い内容だ。
尚、1920年代から1960年代の幅広い時代の随筆であるが、文体や思想にぶれがないことに感心させられた。