九鬼周造随筆集 (岩波文庫 青 146-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003314623

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  • 2019/07/28

  • 神保町という場所に近く住まいを構えているが、この町はいったん足を踏み入れるといくらお金があっても足りない場所である。天気の良いある春の日にぶらぶらと神保町を歩いていると、ふと九鬼周造の随筆集が目に入る。薄い岩波文庫で安いし、どうやら絶版ではないかという気がし、九鬼周造が何を書いているのだろうと興味を持ち、迷わず手に取った。

    九鬼のエッセイは、格調高い文章で小気味よいリズムだ。お気に入りは、「青海波」「飛騨の大杉」「ある夜の夢」。私の興味の特徴上、どうしても自然に目を向けた作品に心惹かれてしまうようだ。しかし、複雑な家庭環境で育った、東京時代の岡倉覚三との思い出話、留学時代の話、ちょっとした言葉遊びのような一編、どれも面白いものばかりだ。

    素晴らしさから言えば青海波の右に出るものはないと感じた。日本舞踊の青海波は、これを読んでから鑑賞すると、胸を打たれる思いであった。

    彼のエッセイからは、言葉の音韻や、言葉や感覚から想像できる"もの"を大事にしていたことがよく分かる。そういった感覚は私も大事にしたいと常々思っていたので、とても心に響いた。「飛騨の大杉」のなかで、ある芭蕉の句の解釈について、机上で頭から割り出した解釈で遠方にいて感覚が足りない、と苦言を呈しているのには、その通りだと思った。そして「人間は自然に対して価値を附与するためにみずから空間的位置を決定する必要があり、時間の契機も大きな意味を持っている」という節には、なるほどと唸った。

    また、本書から九鬼は植物採集の愛好家であることがわかり、一層の親近感を覚えた。折々で植物採集や植物学を愛した哲学者について語っており、19世紀の知らない植物学者の名前があったのでいくつか調べてみたら、その著書はドイツ語でしか出版されておらず、残念な思いだった。これまでもそうだったが、博物学の文献は、20世紀以前になるとドイツ語やフランス語で執筆されており行き詰まるのだ。


    全体的なことを言うと、本質ではないが、いくつかのレビューで散見された通り、収録されている随筆には重複が見られた。せっかくだったのだから、こんな薄い文庫本にせずに、もっと収録してくれればいいのに、と残念な思いだ。また、初出年月日がないので、書かれた時代背景が分かりにくいのも難点。ぜひ、編集し直して、再びこの世に出して欲しい。九鬼周造がより一層好きになった随筆集である。

  • 哲学者・九鬼周造の随筆集。全24編。テーマは多岐に渡るが、岡倉天心と母を巡る回想が綴られた「根岸」「岡倉覚三氏の思い出」が注目される。

  • 青146-2

  • 『いきの構造』で知られる九鬼周造さんの随筆集。わりと読みやすかったような記憶。調子に乗って『いきの構造』も買ってみたものの未読のまま…

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