武家の女性 (岩波文庫 青 162-1)

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著者 : 山川菊栄
  • 岩波書店 (1983年4月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003316214

武家の女性 (岩波文庫 青 162-1)の感想・レビュー・書評

  • 大学の授業で読んだものを個人的に再読。教科書にのるような歴史ではなく、今のわたしの暮らしに繋がるような身近な歴史。女性はいつの時代もたくましくつよく美しいなと思った。

  • 江戸時代・水戸に住んでいた著者が書いたエッセイ。

    桜田門外の変~明治維新あたりの水戸の歴史が
    生き生きと描かれている。

    この時代を女性から見た感想が書かれているのが
    興味深い

  • それにしても、まるで実際に見てきたような描き方である。母が語る過去の鮮やかな精彩が読者にまで伝わってくる。菊栄は婦人問題研究家、夫の山川均はマルクス主義者であった。初版は戦時中に刊行されており思想色は見られない。藤原正彦がお茶の水女子大の読書ゼミで採用し、広く知られるようになった(『名著講義』2009年)。
    http://sessendo.blogspot.jp/2015/11/blog-post_26.html

  • 当時の幸せを今の価値観では計ることができないとした考え方は当時の人のものとしては新しく、その考えを持っていた著者の聡明さが素晴らしいと思った。
    昔のことといわず、年配の方から話を聞くことの大切さを感じた。

  • 着物は衣服として以上の意味をもっていた。

  • 幕末動乱の水戸藩に生まれた、中級武士女性の聞き書き。
    日常生活、狐にばかされた話、凄絶な嫁いじめ。
    さらには天狗党の乱で混乱する水戸藩の様子がよくわかる。とても貴重な史料。

  • 幕末水戸藩の下級武士の家庭で育った母の話~塾の朝夕、お縫い子、身だしなみ、遊びごとなど~当時の日常生活を描いた非常に素朴な本。日本人が勤勉でまじめだった姿が浮かび上がってきます。
    アイロンの代わりに、口に含んだ水を吹きかけて重石の板を乗せて皺を伸ばすなど(大変だなぁ・・・)、男性視点での歴史本では決して出てない武家の暮らしぶりが描かれてます。
    武家といってもよほどの上流でない限り、暮らしぶりは貧しいです。
    しきたりが厳しくて自由の少ない生活を送りつつ、規律と守り節を乱さない姿勢はやっぱり凛々しい。清貧。
    幕末の受難の時代には、当人のみならず、家族や幼い子供までが斬罪や永牢に処されたことも書かれています。自決した主人の首を刈ろうとする賊の前に「それをお渡しするわけには行きません。この姿になっておりますものを、それ以上なさることはございますまい。強いてと仰るならまず私から御成敗願いましょう。」と立ちはだかった新妻に、天誅組も思わず「おみごと!」と首を刈らずに去った話と、牢獄で殺される断首される直前まで5歳の息子に論語を教え続けた女性のエピソードが印象的。

    完全な男尊女卑の社会で女性に入る情報もほとんど無かった中、男系が断絶された家が女系の手で再興されたり、明治初期に教育界で活躍したのは辛苦を重ねた下級士族の女性が多かったりという維新後の話は、怠け身の耳には痛いです(^^;引き締まる!

  • 武家の女性は女性としてのレベルが高そうなイメージがあり、手に取った
    何となく、岩波文庫にはハズレが無いような気がしている
    寺子屋などの様子も描き出されていて、おもしろい

  • 読み易く、優しく、背筋がしゃんとする文章です。

  • さらっと読んでしまったため、あまり印象が残りませんでした。

  • 幕末の水戸藩の下級武士で生まれ育った著者の母千世の、武士の女性としての生きざまを書き下した名著。

    お塾の朝夕、お縫い子、身だしなみ、遊びごとなど本当に当時の日常生活を描いた非常に素朴な本ですが、当時の日本人の本当に勤勉でまじめだった姿が浮かび上がってきます。特に、当時は儒学の影響が強かったため、男性は論語を素読するなど手習いに相当力が入っていたようです。

    また、女性は女性で、「家庭は教室でもあり、職場でもあり、保育所でもあり、養老院でもあり、いっさいを意味していた」という背景から女性の立ち位置と、家庭のごたごたを起こさない、家庭を収める女性の凛とした女性像が浮かび上がります。

    男女の役割はそれぞれこうあるべきだということでは当然ないですし、むしろ時代は私たちに新しく変化することを求められていますが、「変わるものと変わらないもの」を見極め、それこそ江戸時代から、そして50年後、100年後も変わらない日本人の良さこそ、今最も見直すべきなのかも知れないとこの一冊を読んで感じました。

  • 昭和18年に書かれた本。著者の母きくは存命中だったが、彼女は水戸藩士の娘だった。子供の頃の思い出話が綴られている。
    冒頭の写真を見て驚く。庭で掃除をしている老婆きくは箒をなぎなたのように構えて持っている。
    下級武士の家では、農家から買った綿で主婦が糸を紡ぎ、機織りで織、縫った。広い敷地の藩邸で野菜を作り、衣食住すべてを藩領の中で賄う自給自足だった。
    武士は家の中でも外でも人に会う時は刀を差すのが礼儀だった。子どもも元服までは脇差しを必ず差して塾に通った。興味深いのは、男の子は父親、女の子は母親が家庭教育をしたこと。礼儀作法など厳しくしつけられたそうだ。
    お嫁に行くと、姑は30代、その上に50歳くらいの姑、更に70代の姑と3人いることもあったらしい。
    それにしても江戸時代の武士は貧しくしきたりに縛られて不自由だ。町人の方が自由で豊かで楽しそう。

  • 藤原正彦の「名著講義」で題材になっていたのを見てから、ずっと半年ほど積読になっていたものをようやく読むことができた。

    女性解放運動家山川菊栄が、自分の母の思い出話から、封建制度の時代から明治維新へと移り変わっていく、激動の時代を生きた武家の女性たちの日常を描いた本書。

    倹しい当時の暮らしを、でも悲壮感に浸ることなく、女性や子供たちの生活に根ざした視点でいきいきと描いている。
    物質的にも社会の制度的にも辛かったであろう時代を、ひょっとすると現代のわれわれよりも幸せだったのではと思わせるほど、人々のぬくもりの中で日々暮らしている彼らを美しく描き出していた。
    子どもたちが、近くの藩士の奥方に裁縫を習いに行ったりお塾へ手習いに行ったりするその様は本当に微笑ましく、時代がいつであれ、日々の暮らしのその大もとにあるものは変わらないんだなと、しみじみと感じた。

    ただ、「子年のお騒ぎ」「受難の時代」では、水戸藩の内紛のかどで、その本人のみならず、家族や幼い子供までが斬罪や永牢に処されたことが書かれていた。そういう時代があったという歴史の一部としてしか認識していなかった事実を、著者の語りから改めて知らされると、私たちと同じ、ごくごく普通に生きていた人々に本当にあったことなんだと強く思い知らされて、背筋が凍る思いだった。

    終章で著者が、平凡な家庭の女たちこそが、力強く明るく、辛い時代を生き抜く土台を作ったのだとまとめていたのにすごく救われた気がした。

  • 「ちょっと江戸まで 4」で紹介されいて、面白そうだったので。

  • 「水戸藩士の娘にして社会運動の大家による、旧幕時代の女の生きざま」と聞くと、どんな峻厳苛烈な筆致かと及び腰になってしまう。だがそんな恐れは無用、むしろ「はんなり」などと流行りの形容詞が似合う、面白うてやがて哀しき(なにしろ、血で血を洗う騒乱には事欠かなかった水戸藩だ)昔がたりの記であった。
    舞台となる青山家は、学問をもって奉公する百石取りの「下士」。これは食うにも困る浪人でも、めいめいにお付きがついて一家団欒など望むべくもないご大家でもない絶妙の立ち位置で、当時の「普通の人々」の生活や常識、思考回路などを、それは活き活きと今に伝えてくれる。第一級の史料と言って差し支えない。

    後半は次第に、「女たちには当時はっきりと知らされなかった」幕末の動乱期の話題になっていく。その頃から登場人物が増え、しかも互いに姻戚関係にあったりするのだが、文庫化時にわざわざ付したという巻頭の系図がそれにしてはお粗末なのは残念。通勤電車の中で読んだのでなければ、人物相関図を自作したいところだった。

    2011/1/22〜1/24読了

  • 幕末の水戸藩下級武士の家に生まれ育った、山川菊栄の母・千世の思い出話を元に武士の家庭と女性の日常生活を描いた生活誌。

  •  別の本を探していた棚で、ふと見かけたもんで手にとりました。
     幕末期水戸藩の下級武士の家庭はどんなんだったか、著者のお母様からの聞き書きです。

     「よほどの上級の人はともかく、お武家様は町家の人間とは比べものにならないくらい貧しいんだけども、規律を守り節を乱さない毅然としたその姿勢を、自分達とは違うものとして町民は敬っていました」みたいな話を聞いたことがあります。それを裏付けられた気が。
    うーん。あんたらすげーわ。偉いわ。そりゃー私ら敵いませんわ。
    そんな気する。

  • 左翼思想家、山川菊栄が母の語る、水戸藩の武士の家庭にあった話を淡々と綴った一冊。何となくきいていることも、こうやってきちんと書き留めていくことで後にものすごい重要な資料になるのよね。山川菊栄の筆が親族の話を書いているにもかかわらず、からっとした、客観性があるのは彼女の教育の高さと比例しているのだろう。読みやすい。さすが柳田國男、いい人に頼んでいる。(2007.12.30)

  •  安政4年、水戸藩の下級武士の家に生まれた青山千世の一代記を、娘にあたる山川菊栄が聞き書きを作成した一代記として知られている。

     江戸時代はリサイクルの時代といわれ、木綿の循環利用や形見分けの習慣が伝えられるけれども、根底には木綿や衣服が貴重品であった時代を物語る。 しかしそうした内向きの出来事とは別に、元治元念に発生した水戸藩騒動や、明治維新によって没落の激しかった階層が上級武士か下級武士であったか。時代をこまかく記憶して記録化したことも重要であろう。家からでることには制限があったであろうが、細かく伝えていることは、藩にとって重要事件と解され、うわさの話のなかからそれなりに正確に事態を把握しようとした姿が見えてくる。

  • 筆者の山川菊栄は女性解放運動を行った人物として有名である。
    女性解放運動家と聞いて強い女性のイメージを持ってしまったが、本書を読むと優しくて丸い性格の女性像が浮かんだ。
    彼女の母や祖母から伝わった武家社会の女性像の話を読んで、男尊女卑というが当時の女性もそれなりに楽しく生きていたのではないかな、と考えさせてくれる。

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