韓非子 (第2冊) (岩波文庫 青 210-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003321027

感想・レビュー・書評

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  • 韓非子を読むと

    アホやなぁと思うようなシーンがたくさん出てきます。


    楚王などの王さえも、アホやなぁと思います。

    その数々のエピソードを読んでいると

    でも、そのアホなのが人間なんやなぁ

    という思いに至ります。


    時が経っても同じ愚行を何千年と繰り返してきているわけで。

    人間はアホなんやから

    そんな中でも過去の人間の生と死をもってして築いてきた教材があるわけなので

    すこしでも今に活かすことができたら
    それだけで素晴らしいことやと思います。

    そこに「自分の経験」からだけでなく
    「他人の経験」を本で学ぶ価値があるのではないかと思います。


    また
    古典は時代の淘汰を生き残ってきた良書であり
    人間の本質をえぐるようなことを書き連ねてありますので

    今の時代の価値観からして良いとか悪いとか
    そんなことは全く関係なしに書かれているところが
    また面白いです。

    特にこの韓非子に関しては
    今まで起こってきた人間の在りようを
    しかも今の現代では考えられないようなことも平然と行われてきたことに
    衝撃を受けるような本です。

  • 儒教好きで韓非子を読んでて「?」と思ったところがあったけど、ようやく?の理由がわかった。
    この人は老子の考え方に基づいてる部分があると思われる。だから、論語などの儒教から入った私からすると「何か引っかかりを感じて気持ち悪い」ことが書かれていたのか。
    個人的に韓非は好きなので、これからも読み続けます。

  • 書き出しは、老子についての記述から。仁義礼について、あとは道理について書いている。

    そのあと、繰り返し、賞と罰の重要性について書いている。気づいたのは、法家思想とか性悪説とかいうと罰のイメージが強いが、賞の大事さについてもよく書いている。
    加えて、誰しもが得ることが可能な賞と、誰しもが防ぐことが可能な罰が大事と書いている。

    あと、好き嫌いを悟られてはいけないと。悟られる→その通りに臣下が動く→法を守らなくなる、から。

    どういう賞罰を立てるか、についても書いてある。

    この時代に、すでに、こんなにも数多くの賞罰に関する事例があることに、驚きを感じる。

  • *オフィス樋口Booksの記事と重複しています。アドレス;http://books-officehiguchi.com/archives/3885141.html

    これらの本の構成は、漢文(原文)→書き下し文→口語訳の順で各段ごとにつけている。

    中国の法思想・政治思想の本であるが、読者自身が韓非子の思想を身近な具体例がないので、ピンとこないし、自ら考えなければならないので、初学者向けとは言えない。今後の研究方針として、政治思想の研究で、これらの本と私の専門分野との往復をしながら研究を進めたい。

  • 安定しているうちが維持しやすい。兆しの現れないうちが処置しやすい。

    小を見るを明という

    これを打ち破りたいと思えば、必ずしばらくこれを助けてやれ。これを奪い取りたいと思えば、必ずしばらくこれに与えてやれ

    その知らざるところに至りては、老馬と蟻とを師とするをはばからず

    お前さんたちの長所はあっても、それが役に立たない国に行ったのでは、生活に困らないようにと望んだところで、とても無理な話だろう

    賢明な君主は誰にでも獲得できるような賞を定め、だれにでも避けられるような罰を設ける。

    事を挙げて患い無きは、堯も得ざるなり(事業を行なってなんの心配もないというのは、堯でさえありえないことだ)

    紛らわしいことを告げ、偽りの仕事をさせて、試す

    事が起こって利益のある場合は、その利益を受けているものが事の中心となっているのだ。害がある場合は、必ずその反対側を見てよく調べることだ。

  • 『韓非子』の読み直しをしている。岩波第二冊は、老子の法家的解釈を示す「解老」「喩老」、約70の説話をあつめる「説林」にはじまり、「観行」「安危」「守道」「用人」「巧名」「大体」の六篇がある。この六篇は儒家や道家との折衷思想であり、第一冊にあった韓非の思想を薄めたもののようである。そして、「内儲説」に終わる。説話については、「七術」「六微」に分類された「内儲説」よりも、整理されていない「説林」の方が面白みがある。「解老」では、「道とは万物の然る所なり、万理の稽(あつ)まる所なり」と「道」と「理」の結合がみられる。報償という利によって、民を誘導する術が書いてあるが、本当にこんなに簡単に人を誘導できる者だろうか。木の棒や豆を運んだりするのと、戦場で戦うことは危険の程度がちがうものだし、何だか民を馬鹿にしすぎなようにも思える。賞罰がなければ、民が苦しいことをしないのは事実であろうが、そう簡単に誘導できると思うのも考えものである。「六微」を論じた部分は、ほとんど臣下の陰謀を扱ったものであり、人の恨みは恐ろしいものだということは分かるが、やはり陰謀は露見するものであるから、自分の生きる方針とするよりも、身を守るために知っておくべき事という意味合いが強い。「六微」の部分はいわば、悪智恵のデータベースであるが、悪智恵がよく成功すること、それがよく露見して残ってしまうことをあらわしていると思う。

  • 現代目線で読むのにいちばんの読みどころかも


    ●マネジメントなお話
    (用人 第二十七)

    人主、成し難きを立てて、及ばざるを罪すれば、則ち私怨生ず。人臣、長ずる所を失いて、給し難きに奉ずれば、則ち伏怨結ばる。

    労苦にも撫順せず、憂悲にも哀憐せず、喜べば則ち小人を誉めて、賢も不肖も倶に賞せられ、怒れば則ち君子を謗りて、伯夷と盗跖とをして倶に辱せしむ。

    故に、主に叛く者有り。



    ●まずは運だよ、能力なんか3番目だよ、なお話
    (功名 第二十八)

    明君の功を立て名を成す所以の者は四あり。一に曰く、天時。二に曰く、人心。三に曰く、技能。四に曰く、勢位。

    天時に背けば、十堯と雖も冬に一穂を生ずること能わず。人心に逆らえば、賁・育と雖も、人力を尽くすこと能わず。故に天時を得れば、則ち務めずして自ずから生じ、人心を得れば、則ち趣(うなが)さずして自ずから勤め、技能に因れば、則ち急にせずして自ずから疾く、勢位を得れば、則ち進めずして名成る。

    水の流るるが若く、船の浮かぶが若し。自然の道を守りて、窮する毋きの令を行う、故に明主と曰う。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=35493

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN10624868

  • 第二冊は老子と政治的な説話集。老子と韓非子は対局にあるようでいて、孔子のような、上古の聖王を、理想とする上から目線の教条主義ではない、人間に根ざしているという点では同じ目線なのかも知れない。

    その上で、様々な政治的処世術に関する説話が満載されている。技術や文化、人権意識の芽生えなど、数千年で変わったところも多い一方、功利的な人間の本質は変わらないことがよくわかる内容となっている。

  • 第二冊には、『韓非子』全55篇のうち解老 第二十から内儲説 下 六微 第三十一までの12篇を収録。解老篇は『老子』のもっとも古い解説である。説林篇からは、たくさんの説話が収録された説話集となっている。

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