中世的世界の形成 (岩波文庫 青 436-1)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (481ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003343616

作品紹介・あらすじ

東大寺庄園の、十‐十六世紀の歴史を綿密に分析した著者(1912‐86)は、「人間が生き、闘い、かくして歴史を形成してきた一箇の世界」を見事に再構成した。古代的支配者=東大寺、それに抗争しては蹉趺・敗北をくりかえす人々。これらはまた著者が直面した暗い谷間の日本社会そのものにほかならぬ。中世史学の最高傑作の一つ。

感想・レビュー・書評

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  • 「人間が生き、闘い、かくして歴史を形成してきた一箇の世界」を描いた中世史研究叙述の傑作。
    舞台は、伊賀国名張郡東大寺領黒田庄。古代的権力である領主東大寺とそれを克服しようとする在地領主の蹉跌と桎梏。
    学生時代に読んだが、その面白さに読むのが止まらなくなった。これほど情熱的に記述された歴史書をほかに知らない。
    氏の領主制論は今日では止揚されているが、その記述の輝きは現在も失われていない。歴史学記述の金字塔。
    また、戦中に書かれたというその思想の迫力は、戦後歴史学のさきがけとなり、一大潮流となった歴史的作品でもある。

  • 中世の歴史を研究した、戦後の新しい幕開けを告げる書。勃興する武士を西欧の中世の領主階級になぞらえて、日本もマルクスの『ドイツイデオロギー』に表現された、世界史過程にあることを、「黒田荘」の資料に読み込んだ。極めて実証主義に徹している。中世の後期の「悪党」は、堕落ととらえたが、後に網野善彦たちに批判されることになる。

  • 奈良にすんでいた頃に興味を持って読んだ。
    東大寺、興福寺の覇権争いの中で史料を通して
    生きた人々の像を生き生きとうきあがらせた
    本作には衝撃をうけた。
    それまでに読んだどの本とも違うリアリティ
    だった。

  • 半年くらいかかって遂に読み終わった。(途中サボりすぎた……。)
    自分には難解すぎて全然理解できなかったが、わかったことと言えば「何を言っているのかわからない」ということである。「わからない」ということがわかった。

  • [ 内容 ]
    東大寺庄園の、十‐十六世紀の歴史を綿密に分析した著者(1912‐86)は、「人間が生き、闘い、かくして歴史を形成してきた一箇の世界」を見事に再構成した。
    古代的支配者=東大寺、それに抗争しては蹉趺・敗北をくりかえす人々。
    これらはまた著者が直面した暗い谷間の日本社会そのものにほかならぬ。
    中世史学の最高傑作の一つ。

    [ 目次 ]
    第1章 藤原実遠(所領の成立;経営と没落;領主と東大寺)
    第2章 東大寺(黒田庄の成立;古代的論理;二つの法)
    第3章 源俊方(家系;武士団の成立;中世の敗北)
    第4章 黒田悪党(古代の再建;中世的世界;終末)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


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著者プロフィール

1912年札幌に生まれる。37年東京大学文学部国史学科卒業。冨山房・朝日新聞社を経て、戦後法政大学で教鞭をとる。民主主義科学者協会、日本文化人会議、歴史学研究会で活躍。法政大学名誉教授。1986年死去。著書:『中世的世界の形成』、『古代末期政治史序説』、『歴史と民族の発見』(正続)、『歴史の遺産』、『平家物語』、『日本の古代国家』、『日本古代国家論』(全2冊)、『日本史概説』Ⅰ(共著)など。

「1977年 『戦後歴史学の思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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