- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003343722
作品紹介・あらすじ
日本は明治維新から日露戦争までのわずか40年たらずの間に封建国家から近代国家へと急速に移行した。秀れた日本史研究家ノーマンはこの最初にして最も中心的な著作で、日本の近代化すなわち資本制創出の驚嘆すべきプロセスをあざやかな手際で分析・叙述している。遠山茂樹「ノーマン史学の評価の問題」を再録。
感想・レビュー・書評
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岩波文庫
EHノーマン 「 日本における近代国家の成立 」
日本の近代国家の特異性を分析した本。明治維新にはじまり、工業化や農地改革、政党政治の変化を捉え、封建制から中央集権国家へ移行するプロセスを分析している
特徴的な論考は
*明治国家を 絶対主義国家と位置づけている点〜天皇や武士の国家権力?
*ヨーロッパ重商主義と異なり、日本重商主義は 資本主義の成長とともに 絶対的国家権力に寄りかかったとした点
細論として興味深かったのは
*西郷隆盛が明治維新に期待したもの(天皇の庇護のもと薩摩を中心とする列藩同盟)と反政府行動
*農地改革と地租改正の影響〜土地私有化、小作地増加、農業零細化
*伊藤博文の経済的征韓論〜日清日露戦争後日本の相対的地位の変化
「日本資本主義の任務は、国内で工業化と国内市場の開拓を急ぐことであり、国際的には強国としての承認を勝ちとること」という言葉から考えると、征服するか 征服されるかの選択肢しか考えていないようで 経済目的膨張政策は 当然の流れに思う
明治の改革者か掲げた「尊皇攘夷」のスローガンは〜すでに中国の上に重苦しくのしかかっていた外国資本の手を未然に払いのけようとする〜すぐれた号令
「富国強兵」は、政府の産業国家統制、補助金による工業化の促進、軍備と軍事工業の熱心な保護助成を通じて実現された
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著者:E.H.ノーマン
訳者:大窪愿二
定価1,111円
通し番号:青437-2
刊行日:1993/01/18
9784003343722
文庫 392ページ
日本は明治維新から日露戦争までのわずか四十年たらずの間に封建国家から近代国家へと急速に移行した.秀れた日本史研究者ノーマン(一九〇九―五七)はこの最初にして最も中心的な著作で,日本の近代化すなわち資本制創出の驚嘆すべきプロセスをあざやかな手際で分析・叙述している.遠山茂樹「ノーマン史学の評価の問題」を再録.
〈https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b246478.html〉
【簡易目次】
明治維新の背景
明治維新
明治初期における工業化
土地改革とその社会的帰結
政党と政治
ノーマン史学の評価の問題 -
封建社会が崩壊し外的内的状況により早急に近代国家らしいものを作りあげなければならなかった明治期の日本の為政者は人・物・金をどのようにコントロールしたのか。
カナダ人の歴史学者である著者が1940年に発表した著作であることにまず驚かされる。書かれた当時の思想や、外国人としての感覚があることは否めないが、日本の社会や風土の中で生まれ育った者が束縛されてしまうある種の力に捕らわれておらず、その点に於いては客観性が感じられる。 -
維新の派手さには目が眩むけど、地味な経済の問題も根っこにあるんだよ、というお話。
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¥105