- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003346921
感想・レビュー・書評
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再読。幕末百話の姉妹編。こちらは新聞連載ではないので、話者によって話の長短があり、場合によってははっきり語り手の名前が出ているが基本的には無記名(※このシリーズ、どうしても匿名希望という場合以外は、名前と職業は書いておいてほしかったなあと思いつつ)
のっけから、最後の首斬朝右衛門こと山田朝右衛門八代吉亮(※正式には九代らしい)の談話で引き込まれる。幕府の処刑(斬首)を一手に請け負った斬首のプロ。仕事が仕事だけにいろいろ言われることもあっただろうけれど、技術的にも精神面でもプロ中のプロで、やっぱり凄い。
明治13年に死刑の方法が絞首になって廃業するまでに彼が斬首したのは、大久保利通暗殺犯の島田一郎らや、雲井龍雄、思案橋事件の犯人=永岡久茂ら、おもに明治維新後の政治犯。先代である七代目吉利は幕末の人なので、吉田松陰、橋本左内、頼三樹三郎ら、安政の大獄の犠牲者を処刑しており、時代小説の題材になることも多い人物。
あと個人的に興味深かったのは女髪結「丸髷のおたき」の娘さんが語る母親から聞いた思い出話「木戸の奥方井上の奥方」木戸孝允、伊藤博文、井上馨らの奥様方の人物やエピソードが興味深い。木戸松子=幾松さんは元は京都の芸者だったけれど、とてもそう思えないほど江戸っ子肌で気前が良かったとのこと。
いろんな職業の人の話はどれもそれぞれ面白く、個人的には○○の団子、○○のおしるこ、等々どこのお店の何が美味しかった的な話が無駄に好き。
あとは元警官でスリ担当だった人の話で、裏稼業の人の隠語をたくさん紹介していたのが面白かった。「どうもヤバイから当分ズラカル」とか現代でもそのまま通用するけれど、どうやら元は裏社会の言い回しだったらしい。逆バージョンで「勉強する」と今なら普通に使う言葉が当時は漢語で難しい言葉だったらしく、女性が使ったりすると男性は良く思わなかったとか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
証言の羅列でつまらない
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購入: 2006年1月21日
廃棄: 2022年4月22日 -
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mmsn01-
【要約】
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【ノート】
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聞き取り書きの特性でもあり、欠点でもあるのだが、さーっと読むには読みにくい。明治人たちの等身大の証言としてはとても大切。
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明治初頭、時代の移り変わりを生きた名も無き人たちから聞いた様々な逸話を集めた本です。名も無きと言いながら、さすが激動の時代に生きてきた人達が語る話だけあり、内容は実に多種多様で、その一つ一つが魅力的です。少しだけ例を挙げると、こんな感じです。
<歴史上の人物にまつわる話>
・岩倉具視の警護を努めた側近達の話
(刺客に斬りつけられてお堀に落ちた岩倉を背負って避難したとか)
・木戸孝允や井上馨の奥方の髪を結った女髪結いの思い出話
(木戸の奥方は、ご維新の時に「いつ自分も切られるかもしれない」と覚悟していた話をこの髪結いに語ったそう)
<時代の移り変わりを生きる庶民のおもしろ話>
・電話線が架設された当初、大工たちが切支丹の魔法だと珍しがって電話線を引っ張って断ち切ってしまい、拘留に処させられた話
・牛肉を食べようとすると祖母が神棚に不浄を詫び始めるので、庭先に鍋を持ち出して食べていた話
<職業にまつわるあれこれ>
・首切り役人一家に生まれた男が語る様々な当時の有名人の最期の様子
・髪結屋が「ざんぎり」屋に様変わりし、官軍や若殿様などの髪を刈りまくった話
新たな文化が怒涛の勢いで流入してくる一方で、未だ江戸の名残を留めているものも数多く存在する…そんな時代の生の姿が、この本に収録された逸話から手に取るように伝わってきます。また、どの話も喋り言葉で収録されているので、語る人物の姿が目に浮かぶようです。歴史というものは教科書に載っている無味乾燥な単語の羅列ではなく、その時代を一生懸命生きてきた人達が作り上げたものの積み重ねだということを感じさせてくれる本です。 -
「幕末百話」に続き読了。上巻は幅広い話題をまさに50話。
著者が実際に当時の人々から聞いたものを纏めたものであり、明治の人々の生活の息吹を感じることができる。
それも老若男女、様々な身分の登場人物があり、飽きることがない。
ストーリー性がなく些細なことではあるが、新しい発見もあり、面白い。
幕末もそうだが、明治も時間の流れがゆったりとしていて、人間の本来の性にあった時間の流れのような気がする。
当時はまだ日本古来の伝統文化、日本の良さを”生活の中”に維持していた時代であり、日本人として忘れてはならないことを思い起こす。
ほんの一例ではあるが、表題「明治の質素倹約風」では、武家時代の家風が明治の家庭へ伝わって、質素倹約を基として、贅沢を怖れることは非常なものであった、とある。 -
明治を生きた人々からの聞き書き集。一般国民は何だか知らない間に徳川時代が終り、明治という日を迎えたのだなあ…と感慨深い一方、淡々と、かつタフに生きる市井の人々の姿に胸が熱くなります。
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『幕末百話』を読んだら、次はやっぱりこれでしょう。実は幕末と明治って、かなり地続きな時代ではありました。が、やっぱり明治はどこか「変」なのです。奇妙な亀裂があるような、あるいはそう大差ないようななんとも微妙な落差を感じ取れる一冊だと思います。