- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003346952
感想・レビュー・書評
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再読。上巻と同じく、女性の語りなので、定番の看護婦とバザーの初め、大奥下りの御殿女中のエピソード、吉原の花魁など芸妓、娼妓系の話が多め。吉原の花魁で今紫ともてはやされた女性のその後の話なども興味深かったが、娼婦といえどもどこか華やかなイメージのある江戸時代とうってかわって、明治になってから浅草十二階の界隈にあった私娼窟の話などはとても陰惨。
『明治百話』では本人の語りもあった山田浅右衛門(七代吉利)の娘の談話も面白い。処刑のプロとして多くの罪人を斬ってきた浅右衛門が、晩年は仏のような人だった。妻子を捨てて歌吉という芸妓と心中した男の、残された本妻が新橋で芸者屋を始めてついに娘・貞子が山県有朋の妾→後妻になった話や、大奥に上がっていて13代家定のお手付きになった女性の話、相馬事件の話などが面白かった。
天下の糸平と呼ばれた田中平八の話題や、彰義隊の話も頻出。江戸っ子に聞くとどうしても彰義隊の話題は必須なのでしょう。一人だけ関西弁の語り手がいて、ええじゃないかが流行った頃の話題もありました。天下の糸平は池田屋事件で新選組に捕縛・拷問された古高(俊太郎)の友人で、池田屋以来新選組が大嫌い、のちに甲州で偶然新選組と遭遇したときに(甲陽鎮撫隊のことか)官軍に注進してカタキを取ったとのこと。
いずれも、当事者ではなくお祖母さんや叔母さんからの伝聞であることが多いのだけど、女囚「蝮のお政」の監獄内の話は、どうやら本人談話なのでなかなか凄味がありました。
あと現代も安産のご利益があるといわれてる水天宮、戌の年の戌の月の戌の日には、前の夜から大勢の人が並んで(今でいう徹夜組…)門が開くなり雪崩込み人が殺到、将棋倒しなど壮絶なことになったそうで、さらにそのお札を高額転売する人間も出現。現代人の品格のなさが取りざたされがちな昨今ですが、実は江戸時代から何も変わっていないんじゃ・・・とちょっと思いました・・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009.5.21