モーツァルトの手紙 上: その生涯のロマン (岩波文庫 青 504-1)
- 岩波書店 (1980年8月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003350416
感想・レビュー・書評
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今月の初め、日本古来の芸能、歌舞伎の役者が、
傷害事件を起こし、世間を騒がしている。
連日の報道では、衝撃的な事件の内容もさることながら、
この俳優の日頃の奇行も話題となっている。
子供の頃より、格式ある家に生まれ、
将来進むべき道が定まっていた彼は、
幼い頃より、芸に関する事は徹底的に叩き込まれたかもしれないが、
普通の子供が、遊びの場など
自分と同じ位の年齢の人間が集まる場所に出向き、
家族以外の他者と接する事で、推さないなりに自らの体と心で感じ、
自然と身に着けていく社会性や世間一般の常識、
他者との付き合い方といったものは、
学ぶ事が出来なかったのかもしれない。
そのような事を考えつつ、世に多くの美しい曲を送り出しながらも、
若くして逝った天才音楽家モーツアルトの手紙を集めた本著を読んだ。
モーツアルトは、幼くして宮中に出向き、
権威ある人々の前で演奏し、神童ともてはやされた。
その成功体験は、幼い彼の心を震わせ、
今後の自分の人生を決定してしまうに十分なものであっただろう。
その後、彼は演奏旅行に度々出かけ、
旅先より家族に沢山手紙を書いて送った。
その手紙を読むと、モーツアルトは、いかに音楽を愛し、
そして音楽に愛されていたかわかる。
しかし、そのことは、
どれだけ幸せな事で、どれだけ不幸な事であったか。
彼は音楽以外の事は何も学ばない人間になってしまった。
これらの手紙は、モーツアルトの、
音楽以外の事は全く鈍く、
音楽家としての誇りが高すぎるが故に世渡り下手、
人を見る目が無く、金銭感覚がない人物像が浮き彫りにされている。
父親が息子を厳しく戒めながらも、はらはらしながら
見守っている様子も痛いくらいに伝わってくる。
下巻の悲劇が予想されるような内容である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022/2/9
『アマデウス』の流れでパラパラ読んだ。
父に対して従順な姿勢を示しながらも、時に「ぼくの大好きなお友だち!(仏語)」と呼んでおどけて見せる。有名な母の死に際して父に宛てた手紙は読んでいて涙を誘われるが、姉宛の手紙では逆さ文字を使ってふざけてたり、ベーズレ書簡に至っては卑猥な単語とダジャレの連発w
静と動の緩急が激しい書簡全体はモーツァルトの音楽そのものだなーと。
あとモーツァルトの信仰心の強さには驚いた。手紙の中でヴォルテールを嫌って罵倒していたり、母の死を神の仕業だと繰り返し繰り返し語っていたり。
まぁサリエリ(その他、彼の才能にひれ伏した人達)にとっては彼自身が神なんだけど。 -
下巻に譲る
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新書文庫
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意外にすんなり読めた。
人間らしいといえば人間らしい気がする。
音楽で頭が埋もれていてその他のことにはあまり
関心がないような感じの一部は共感できると思う。
面白かった。
下巻も読みたい。 -
モーツァルトの真実の顔がわかる
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後で書きます。
卒論で参考に
全2巻 所有 -
504-1 柴田治三郎訳 下巻欠