ネーデルラント旅日記 (岩波文庫 青 571-1)

  • 岩波書店
3.43
  • (1)
  • (5)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 64
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003357118

作品紹介・あらすじ

1520年夏、五十歳の画家は途切れた年金の支給を新皇帝カルロス五世に請願すべく、妻と侍女を伴い遠くネーデルラント(今のベルギー地方)への長旅に出る。その時綿密に付けた出納簿である本日記にはエラスムスやルッターも登場し、併せて残された見事な画業とも相まって稀有の旅行記になっている。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 画家デューラーがオランダ・ベルギー地域を旅した時の出納簿日記。旅費や生活費、絵の売買代金などが細かく記録されていて、当時の経済活動を知ることができる。
    面白いのは、真面目で尊敬される画家でありながら、楽しみとして友人と博打をやっていたりする。その勝ち負けまで記録しているところは、とにかくマメな人物であることが判る。また、宗教改革で有名なルターが捕えられたという知らせを聞いて、長い崇高な文を書いているのがとても印象的である。出納簿日記でありながら、その文だけは異様に長くてデューラーにとって、大変大きな出来事であったのだろう。
    この日記は、研究者やデューラーのファンには面白い内容だが、そうでない人にはやや退屈かもしれない。事前に巻末の解説を読んでから読むほうが判りやすいと思う。

  • 「旅行記」ではなく「家計簿」であり、ローストチキンにいくら、長靴にいくら払い、夕食はどうした、という無味乾燥な記載が続くので「おもしろい」わけではない。デューラー研究家でなければ読み込まないだろう。訳されたことがすごい(笑)
    もっともこの本を手に取るのは美術愛好家でデューラーも好きな人(私もその一人)に限られるだろうから、巨匠がひとりの人間として像を結び、「ちまちまと金銭に細かい」「でも王様や権力者に招かれ歓待されたり肖像画を依頼されている、さすが超大物」「下男にメランコリアをくれてやったりしている」ということを知ることには興味がわく。
    文章として価値があるのはルター逮捕を嘆きエラスムスに語りかける部分。唐突にキリスト者としての名文が現れる。また、デューラーという人が美術に留まらない社会・歴史の文脈にあって生々しい言葉を発していることに瞠目する。

  • ネーデルラント旅日記ということで、アムステルダムのことがわかるかと思い購入。

    読んでみると旅行先は南ネーデルラントという罠><
    内陸の河川を使った移動のメンドクサさ、異常に多い通貨というか硬貨というか・・・。旧ポンド・シリングなんて目じゃないほど。
    ルターやエラスムスもでてきて、当時の宗教改革が垣間見れて参考になった。
    出納簿日記ですが、プレゼントした自分の作品に値段をつけたり貰ったものを値踏みしたりと商人な面も垣間見れておもしろい。

    デューラーが大航海時代オンラインのリューベックにNPC配置されているのに気が付いたのが読了後というのは秘密。

  •  版画家、画家であるデューラーのネーデルラントまでの道中、様々な人との会食、会談、求められるままに書き溜めてゆく肖像画、その時々のキャッシュ・フローの状況、これらが「めっちゃ」細かく書かれている。興味深いのは、これらの現金出納の当時のレートが、巻末の解説に載っている事、これはいい。「めっちゃ」現実的になる。デューラー先生、結構気前のいいところがあるかと思いきや、何でこんなもんにこんな大金使うの、と思ってしまったり・・・。
     

全5件中 1 - 5件を表示

デューラーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×