- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003357514
作品紹介・あらすじ
ルネッサンスは自然の理想化的表現に至ったが、ミケランジェロにはすでに調和的な古典主義と異なる表現が現われていた。主観にもとづく精神の創造力に価値をおくマニエリスムは世界を迷宮としても表現し、二十世紀復権する。膨大な例証による詳説。
感想・レビュー・書評
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著者によると、狭義には後期ルネッサンスとバロックの間に位置する芸術を指すマニエリスム概念は、古代から今日までのヨーロッパのあらゆる芸術・文学のうち古典様式と相互関係にあるものへと拡充できる。古今の作品を行きつ戻りつしながら、没落・死・時間・眼・機械・楕円・迷宮といったテーマを例に論証されていく。通勤電車内で読み進めようとしたらそれこそ迷宮に迷い込みそうになったので、自宅でじっくり取り組める時間にメモをとりながら読み直していくと、著者の語ってくれる美術史がおぼろげながらみえてきた。
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美術
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文庫化されたのか! すげえ! でも、図版をじっくり見るなら単行本をお勧めします(高いけど)。
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熟読している若桑みどり著[マニエリスム美術論]が、土台にある私には、[マニエリスム]を時代の様式として捉えるのではなく、表現の様式として、近代美術の思考表現と結びつける事に、かなりの衝撃をうけた。
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自分のための読書メモ。
高山宏が多くの所で、この本を紹介し、大体の流れを頭に入れてから読み始める。ぼくの理解はこんな感じ。
ただ奇を衒っただけで手法にはしって、何でもやりすぎちゃった感じのあるマニエリスム。これを生み出したものは何か?それを作り出したのは、16世紀の危機的な社会状況。絵画とか芸術に込められているのは、芸術家の世界の見方、切り取り方。だから、まじめにというか、融通がきかなくて、まぁどうにでもなるかとか考えられない人は、ある意味発狂し、そのバラバラになった世界を一つにまとめようとするビジョンを探し、表現しようとする。
第1章がとてもおもしろい。ここを読んでいると、頭の中で、後期ルネサンス、イギリスのダン、ロマン派が一連の流れの中で、つながりそうな感じがする。
同僚に、マニエリスムってなんですか?と聞いてみた。曰く、『知的末法思想』。納得。