ニコマコス倫理学(アリストテレス) 上 (岩波文庫 青 604-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360415

感想・レビュー・書評

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  • 「「人間というものの善」とは、人間の卓越性(アレテー)に即しての・・最も善き最も究極的な卓越性に即しての魂の活動である」(P41)


    さて、それではそのような善を実現するための魂の活動とはいかなるものなのか。あらゆる事象に対して、バランスを有した中庸の状態に裏付けされた行為。一言で表すとこうなるだろうが、表現は簡単なように見えて読み終わるとよくわからない、という部分が多い。

  • 読むのに非常に時間がかかった…
    古典に慣れていないと、読み進めるのに大変苦労する。数度同じ文を読んでようやく理解出来る所も多々…それでも、手にとったからにはと解説を検索しながら読了しました。カタカナのルビに惑わされすぎないこと。
    善、幸福とは何なのか、さまざまな角度からアリストテレスが思考した道筋を辿ることができる。
    人間として、国家としての幸せ、正しさ、徳とは一体何なのか?何をもってしてよい人間、よい行いであるのか?
    やり過ぎず、やらな過ぎず…なるほど現代にも通じるものがあると感じ、下巻に続く。

  • 「万学の祖」の異名をもつアリストテレスによる2300年前の倫理学の聖典。
    弟子のニコマコスが執筆した本書は、人間にとっての幸福とは何かを説き、後世の哲学界に深刻な影響を及ぼしたとされている。

    人間のにとっての究極目的、最高善は、「それ自身として常に望ましい善であって、他の何かゆえに望まれる善ではない」のであり、それこそがエウダイモニア「幸福」であると。

    他にも、
    苦悩に対して無感覚であるよりも、その苦悩を感覚し、平静に耐え抜くことができる姿勢そのものは幸福である(ストア派的?)

    知識を有する者が、必ずしも知識を持たない者よりも実践において役にたつ場合があり、その差を生むのは経験である(経験主義的?)

    など、上巻だけでも以後の西洋哲学の源泉をつぶさに掬い上げることができた。
    確かに、師匠のプラトンが観念的であるのに対し、極めて実学・実践的な思想が描かれている。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706517

    古代ギリシャの哲学者・アリストテレスの著作を編纂した倫理学書。

  • 2300〜2400年?も前に生きていた人が書いた(講義した)ものとは思えない。資本主義も新自由主義も存在しないし国家(共同体)や経済の規模や概念も異なる、そんな時代での考察だけど、現代に生きる僕でも充分に共感や気付きを得られる内容が多かった。

    徳のうち技術に関する話は自分の仕事感、また友愛(フィリア)に関する話は、自分の職場や家族との人間関係を改めて考えるきっかけになった。

    ここまで共感出来るのは、この本が人間の本質を突いているからだろうか?それともアリストテレスの影響も受けつつ長年掛けて形作られた倫理・哲学世界の延長線を僕が生きてるからだろうか?

    答えはわからないけど歴史や古典をもっと勉強したいと思われてくれる一冊だった。

    因みに本の読解は難しかった。NHKの解説本(100分で名著シリーズ)やネットの解説を頼りながらなんとか読み進めた。

  • 読んだ

  • 古代ギリシアにおける代表的な倫理学の名著。
    万人の人生の究極の目的は、「幸福」すなわち「善く生きること」であるとし、このともすれば曖昧な概念を精緻に分析。
    ルネサンス以後も、西洋諸国の思想、学問、文化、人間形成に多大な影響を及ぼした。

    (※本書の要旨を一部引用。)

  • (01)
    倫理を分析し,愛(*02)や政治への接続を思索した書である.特にそれはあるべき個人について語られ,徳や卓越性とされるアレテーが人間の状態をよりよい善に漸近させることを至高としている.もちろん社会における人間ということが前提となっており,その共同性や他者との関係から,主体のあるべき姿を探ってはいて,例えば,人間というあり方を,獣性(テーリオテース)や奴隷状態から峻別し,家政的(オイコノミコン)なものから政治や政治の場としての都市を抽出し,徳のある個人をこの場にある人間として考究している.
    ゆえに,現代の自己啓発本やセミナーなどの主張に,見合うような字句も本書から引っ張ってくることもできるのだろう.中庸というバランス感(*03)を大事にして,快楽,名誉,財貨,そして知や学のちょうどいい加減について語りかけている箇所は,現代でも実用的であるかもしれない.

    (02)
    親愛(フィリア)について考究された第8巻と第9巻はとりわけ面白く感じられる.この親愛は,男女間の性愛や家庭的な愛とは,かなり趣を異にする愛であり,同性間や仲間,あるいは国家的な愛や,知への愛(フィロソフィー,哲学)へも横断するような概念でもある.いってみれば古代的な人間関係の単位や集計として.また政治学(そして戦争学)と倫理学の接着剤として,かなり重要な提起であろう.
    知についての,直知,知慮,智慧,学などの整理も,近代の科学や学問を考える上でもおさえておきたいところである.また,「棟梁の位置にある者」としての歩きテクトーンも登場し,社会や善にある建築が標榜される.おそらくギリシア哲学の再考から始めたアーレントも語っている制作や活動への言及もある.運動の問題は,現代思想にも通じ,映像学への応用が可能だろう.そして,倫理にとっても重要な状態でもある観照(テオーリア)は風景学の視点場をなすに違いない.

    (03)
    バランスをどのあたりに調節するか,というのは実践であるとともに,今がどのあたりにあって,バランスされる全体を見通せる認識が必要であり,著者はその認識の方法や状態として知や学を位置付けている.
    しかし,エウダイモニアとされる幸福な状態や,そこから得られる幸福感については,ダイモンの存在を根拠としており,バランスは,知や学が水平的なパースペクティブにあるとすれば,ダイモンとの垂直的で直接的な関係によって人間が神に垂らされているような感覚と認識が想定されている.この神学的な場面と倫理という主題はいつも合わせて考えたい問題でもある.

  • 903円購入2010-10-22

  • アリストテレス『ニコマコス倫理学』岩波文庫 読了。幸福とは卓越性(徳)に即して活動すること。徳とは思量選択に基づき随意的な性質を有する中的状態すなわち中庸。各論点が詳細に検証されているが、自分でも中庸はどんな状態か思考すべき。彼の論証過程をきちんと理解したいが、そこまでの余裕なく
    2011/01/19

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著者プロフィール

なし

「1997年 『天について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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